10月22日の広島戦後、阪神・矢野燿大監督は「趣旨」の異なるさまざまな質問をぶつけられ、ちょっと混乱していた。広島に敗れたゲーム内容の質問もされたが、今オフの大粛清を予告するようなハプニングも起きていたのだ。
「ボーアが試合登録から外されました。夫人も、このまま退団するようなニュアンスの書き込みをブログ上で発表しています」(在阪記者)
そのボーアは試合前の練習に参加している。時折、若手にじゃれつくなど明るく振る舞っており、シーズン途中での退団なんて微塵も感じさせなかった。
矢野監督は「枠の問題」と説明した。1試合に登録できる外国人選手の人数は4人まで。投手のエドワーズを使うためで、他意はないと言っていたが、
「大山悠輔が本塁打王争いをしています。対戦投手のマークを集中させないためにも、大山の前後に長距離タイプのバッターを置いておかないと」(プロ野球解説者)
とのこと。僅差でのAクラス争いも続いているだけに、ここでボーアを外すのは良策ではない。
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矢野監督が答えに窮したのは、ベテラン左腕・能見篤史に関する質問だった。同じく、試合前に今季限りでの退団が決定した。7回からリリーフ登板し、全球ストレート勝負で三者凡退。球団から事実上の戦力外通告を受けたことを明かし、コメントも発表している。
「テンポ良く抑えられたしね。能見自身もいろんな思いを持って」
ベテランの投球を称賛した。聞きたかったのは、そんなことではない。福留、藤川、能見と、チームはベテランを切り捨てようとはしている。再建を急ぐのは分かるが、引退発表を円満に行ったのは藤川球児だけだ。福留、能見は現役を続けたいとしている。ベテランのメンツも潰すようなやり方は、チームを混乱させてしまう。
「能見は配球に長けたピッチャーです。それを教えたのは、現役時代の矢野監督です。『捕手・矢野』が若手時代の能見を鍛え上げ、なぜ、この球種を要求したのかなど、駆け引きを教え込んだんです」(球界関係者)
能見は捕手陣の教育係でもあったようだ。通常、解雇要員は一軍監督が最終決定を下す。矢野監督との信頼関係を聞かされると、ベテラン選手のリストラはフロント主導で進められているようだ。その通りだとすれば、矢野監督の知らないところで「来季のチーム再建構想」が進められているのだろうか。
オフの激震は避けられそうにないが、宿敵巨人の最短優勝は25日とされている(同時点)。状況次第では、矢野監督は目の前で胴上げを見る屈辱にも見舞われそうだ。(スポーツライター・飯山満)