今オフの国内FA市場の目玉である中日・大野雄大投手の残留が決定的となり、それに代わる先発投手の補強策として、韓国・斗山のアルカンタラの獲得をめざすという。
「昨年オフ、韓国球界で活躍していたサンズを獲得したルートから上がってきた投手です。150キロ強の力強い真っ直ぐとスライダーを投げ分ける右腕です」(関係者)
今季、規定投球回に到達したのは、西、青柳の2人だけ。後半戦には高橋遥が出てきたが、すでに帰国したガルシアも退団濃厚であり、「先発投手の駒不足」と判断したのだろう。
もっとも、同日先発した藤浪晋太郎は「5回被安打4無失点」と好投している。「藤浪を使えば?」の指摘もないではない。
「四球も出せば、対戦したDeNAの拙攻に救われた部分もありました。でも、一時期に比べれば、別人のように良くなっている。西、青柳、高橋遥、藤浪の4人がしっかり投げてくれれば問題ないと思うが」(プロ野球解説者)
アルカンタラが前評判通りの活躍をすれば、“投手王国”になるかもしれない。
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しかし、そのアルカンタラが「韓国・斗山の所属」と聞くなり、こんな声も聞かれた。
「巨人じゃないの?」
巨人は昨季、韓国・SKワイバーンズで17勝を挙げたサンチェスの獲得に成功している。3億4000万円というお高い買い物にはなったが、それは日米韓の争奪戦になったため。サンチェスを上回る成績を収めたことにより、アルカンタラの元にはやはり米球界のオファーも届いているとのことで、マネー戦争は避けられそうにない。
巨人優勢の声が出た理由だが、お金の話だけではないようだ。
「アルカンタラを最多勝に導いたのは、捕手のパク・セヒョクです。そのパク・セヒョクは阿部慎之助二軍監督と『自主トレ仲間』で、シーズン中もラインで連絡を取り合う仲なんです。阿部二軍監督とのツーショットをパクが地元韓国のメディアに公開したこともありました」(特派記者)
それだけではない。後藤孝志野手総合コーチだ。後藤コーチは斗山でのコーチ経験もある。アルカンタラが日本球界へのステップアップを狙うとすれば、信頼する女房役のパクに相談し、斗山球団も巨人を推すだろう。
「阪神はサンズが好成績を残したことで韓国ルートに再び重点を置くようになりました。好待遇で迎えたウィリン・ロサリオが不振に陥った時は、しばらくは韓国ルートを使わないみたいな言い方でしたが」(前出・関係者)
中日・大野の残留が決定的となり、阪神の補強構想は修正を余儀なくされた。ファームには才木、浜地、及川など他球団も一目を置く逸材がいる。藤浪が好投した日のウラで先発投手の補強策が出るのは、彼がまだ信頼を取り戻せていないからかもしれない。オフの補強で巨人と張り合うよりも、若手育成、藤浪の先発復帰を優先すべきだが…。(スポーツライター・飯山満)