「首脳陣の中にはリリーフに専念させるべきと意見もあり、矢野燿大監督も迷っていました。10月28日に先発登板し、中6日の調整をさせ、先発で結果を出しました。来季は先発で起用されると見ていいと思います」(プロ野球解説者)
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リリーフで投げていた時のように速球で押しまくるのではなく、時折、緩い変化球も投げていた。その緩急のコンビネーションが功を奏したようだが、藤浪の好投と前後して飛び込んできたのが、「来季の投手コーチ人事」の話だ。
球団は高代延博二軍チーフコーチ、香田勲男二軍投手コーチの退任を発表している(3日)。香田コーチだが、こんなエピソードもある。
「一軍を担当していたころ(2016~18年)、試合前のミーティングで『我が軍は…』と言い、阪神ナインをビックリさせたことがありました。『我々のチームは』と言いたかったんでしょう。『軍』は巨人だけですよ(笑)」(チーム関係者)
ジャイアンツ出身者らしい失敗談だが、藤浪が二軍で悶々としていた時のお目付役であり、居残り練習にはトコトンまで付き合う熱心さは有名だった。
スカウトに転じていた久保田智之氏の配置換えも伝えられているが、投手コーチの増員も囁かれている。
「久保田氏は岡田時代の鉄壁のリリーフトリオ・JFKの一角。でも、金村、福原、安藤の3投手コーチが残留なら、久保田氏を加えて4人中3人がリリーフ出身で、先発投手を見るのは、金村コーチだけ。バランスが悪い」(前出・プロ野球解説者)
今季限りでの引退を発表した藤川球児にコーチ就任を再打診するという話もあれば、ソフトバンク二軍コーチに転じた久保康生氏の帰還論も聞かれた。
「山本昌氏が本当に来るのでは?」(前出・チーム関係者)
臨時コーチとして、藤浪の再生に尽力した山本氏を慕うトラ投手は多い。
昨年の秋季キャンプ中でのことだ。トラ投手たちは氏が着替え終わるのを“出待ち”し、「メシ、連れてってください!」とおねだりもしていた。
「山本氏の人柄でしょう。他のコーチ、OBが昔話をすると、最終的には自分の自慢話になります。山本氏は『こんな風に考えちゃったから、ダメだった』と、自身の失敗談を聞かせていました。藤浪も、その失敗談に自身を重ねていました」(前出・同)
久保氏の名前が出たのは、優勝した05年時の投手コーチだったからだろう。ワンポイントのフォーム改造やアドバイスに定評があり、何人もの投手を飛躍させたことから「魔改造のコーチ」とも言われている。
投手コーチの人事がザワザワしている理由は、藤浪に尽きる。「完全復活させてくれ!」の思いがチーム内外に強くあり、見方を替えれば、新コーチに求められるのは「藤浪の操縦法」だ。投手コーチのプラスアルファがあるのか。矢野監督にすれば、誰でもいいから、藤浪を“魔改造”してくれの心境だろう。(スポーツライター・飯山満)