今シーズン、初となる最多安打のタイトルを獲得するとともに、主要打撃部門(打率、本塁打、打点)でも全てベスト3に名を連ねる成績を残した。
確実性、勝負強さと何れも特徴の一つだが、やはり相手投手の脅威となるのが長打力。2018年まで4年連続でリーグトップを記録した長打率も、今季両リーグ通じて唯一の6割台(.623)で、再び1位に返り咲いている。そして、その豪快なスイングから放たれ、球場のあらゆる方向に打ち込むことが出来るホームランこそ柳田の魅力だろう。
9日の西武との最終戦でも、独特のアーチを描いた打球が今季29本目の本塁打となっている。
3回の第二打席、西武の左腕、齊藤大将が投じた初球、外角への変化球を捕らえると、あっという間にボールはレフトスタンドポール際へ吸い込まれていった。バットの先で合わせただけにも見えたものの、逆方向へと飛距離が伸びていく、まさに「ギータ」にしか打てない一発だった。自身は30本に届かなかったこともあり、「惜しかった。(この成績が)現時点での力」と控え目に心境を口にしつつも、最後までスラッガーとして、ファンの期待に応え続けた。
早くも今シーズンのMVP候補にも挙げられているが、昨年怪我で不本意なシーズンに終わった柳田にとって、2年ぶりに離脱なく迎える短期決戦が目の前だ。一昨年のCSでは、ライオンズとのファイナルステージで2本塁打を記録し、MVPに選出される活躍を見せていて、短期決戦でこそ、その打撃はチームに最も勢いを与える強力な武器となることは明白だ。今季のCSはチームにとっても3年連続日本一への最初の関門であり、唯一シーズン対戦成績で負け越している千葉ロッテ打倒の為には、柳田の「一発」が必須であることは言うまでもない。
異例の長期契約で、「生涯ホークス」を宣言したのがおよそ1年前。チームへの愛着と想いを、プレー、そして成績で体現した今季、最後までチームの先頭に立ち、CS突破、そして日本シリーズへと突き進む。球界No1を誇るフルスイングの「破壊力」で、柳田悠岐は鷹軍団を更なる上昇気流に乗せていく。(佐藤文孝)