金子がアクシデントに見舞われたのは、「4-2」と日本ハム2点リードで迎えた5回表1死の場面。日本ハム・渡邉諒が中堅方向へ放った打球に対し、金子はダイビングキャッチを試みるも捕球できず三塁打に。この際に地面に左ひざを強打した金子は顔をしかめながらその場に座り込み、駆け付けたトレーナーと共にベンチ裏へ。その後出場続行はできず負傷交代となった。
全力プレーで負傷した金子に対し、ネット上には「ナイスガッツだけど痛めた箇所が心配」、「思いっきり膝打ってるからなあ、重傷じゃなければいいが…」といった心配の声が多数寄せられている。一部では、「ダイビングで足を怪我っていうのは広島時代の丸を思い出す」、「丸みたいな怪我だったらシーズン絶望までありそうで怖い」といったコメントも見られた。
名前が挙がっている31歳の丸佳浩は、これまで広島(2008-2018)、巨人(2019-)でプレー。今シーズンは24日終了時点で「.283・17本・51打点」といった数字を残しているが、過去にダイビングキャッチが原因で戦線離脱をしいられたことがある。
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2018年4月28日、マツダスタジアムで行われた広島対阪神の一戦。当時プロ11年目・29歳の丸は、ここまで「.312・5本・16打点」と好調。「3番・中堅」でスタメン出場した同戦はヒットこそなかったが、四球を2つ選ぶなどチャンスメイクの役割を果たしていた。
その丸をアクシデントが襲ったのは、「5-4」と広島1点リードで迎えた5回裏1死二、三塁の場面。ここで打席の大山悠輔が放った中堅への痛烈な打球を、丸は前に倒れ込みながらダイビングキャッチ。ヒット性の当たりをファインプレーで犠牲フライにとどめた。
ところが、飛び込んだ際の衝撃で痛めたのか、丸は右足を引きずるような素振りを見せる。この様子を受け、広島ベンチからはすぐに廣瀬純外野守備走塁コーチとトレーナーが丸のもとへ駆け付けたが状況は変わらず。結局、丸は顔をしかめながらベンチ裏まで歩いて下がり、そのまま負傷交代となってしまった。
その後チームは「7-5」で勝利したが、この間に病院で検査を受けた丸は「右ハムストリング筋挫傷」を負ったことが判明し翌29日に登録抹消。丸の離脱を受け、緒方孝市監督は「出られないなら全員でカバーして頑張るだけ」と前を向いたが、右のエースである大瀬良大地は「丸さんがいないのは痛い」と落胆するなどチームにとっては大きな痛手となった。
故障が原因の登録抹消はプロ人生初で、2013年5月20日ロッテ戦から続いていた連続試合出場も700試合でストップすることになった丸。本人は抹消翌日の30日に「残念だけど、悲観はしていない」と気丈に語ったが、同年5月26日中日戦で復帰するまで約1カ月の戦線離脱をしいられた。
復帰後は再び好調を取り戻し、このシーズン「.306・39本・97打点」といった成績でチームのリーグ3連覇に貢献した丸。ただ、当時のファンの間では、負傷がなければトップと惜しくも2本差で逃した本塁打王のタイトルを含め、さらに良い成績を残していたのではと悔やむ声も多かった。
丸は今回の金子と同じく足を故障しているが、ダイビングキャッチには他の箇所を故障するリスクもある。巨人(1986-2006)、パイレーツ(2007)で活躍した桑田真澄は、巨人時代の1995年5月24日阪神戦で小フライに飛び込んだ際に右ひじを強打し靭帯断裂。これによりトミー・ジョン手術を余儀なくされ、同年と翌1996年を棒に振っている。
現在阪神でプレーする糸井嘉男は、2018年9月21日広島戦でダイビングキャッチを敢行した際に左肩を負傷。その後、病院で「左肩腱板部分損傷」と診断されたことで同月29日に登録抹消となりそのままシーズン終了となっている。
金子の負傷について球団は病院には行かずアイシング治療で様子を見る方針だと伝えられているが、翌25日の試合で金子はベンチ入りメンバーから外れている。負傷次第ではこのままシーズンが終了する可能性もあるだけに、軽傷であることを願うばかりだ。
文 / 柴田雅人