「この日、投じたストレート11球全てが150キロを超えていました。それでも打たれるとは…。不振の原因は技術的な問題ではなく、精神的に何かあるのではないか」(プロ野球解説者)
DeNAの守護神・山崎康晃のことだ。山崎は1点リードで迎えた6回からマウンドに上った。先頭打者こそ抑えたものの、その後、3連打を浴び、同点を許してしまった。本来ならば、試合中盤で出てくる投手ではない。9回の最後を担うクローザーだが、不振で配置替えとなっている。
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150キロ強を計測した状態を指して、前出のプロ野球解説者がこう言う。
「山崎の不振の原因は、勤続疲労だと思ってきました。前回登板の巨人戦(9月20日)も失点しています。2試合とも、ストレートを狙い打ちされている感もあります」
ストレートを狙い打ちされている状況は、ラミレス監督にも報告されている。それでもあえて勝ちゲームで起用してきた理由だが、「来季のため」だと予想されている。失点を積み重ねることで、「ストレート主体のピッチングスタイルを変えるべき」ということを、本人に自覚させているのではないか、と。
「山崎にはフォークボールもありますが、基本的に力でねじ伏せるタイプ。打ち損じを誘うピッチングもできれば、息の長いクローザーになれるんですが」(前出・同)
ラミレス監督は来季も見据え、成績を落とした主力選手たちに復調のきっかけを与えようとしているようだ。「来季」と言えば、野手陣でも、そんな選手起用が見られた。
22日、一軍復帰したベテラン助っ人のホセ・ロペスをスタメン起用している。
「ロペスは不振で二軍落ちも経験しました。残り試合を一軍で過ごせば、来季からは外国人枠から外れます。そうすると、ロペス以外の外国人選手を4人も一軍登録することができます」(ベテラン記者)
もっとも、今季の残り試合を捨てたわけではない。2位でペナントレースを終えるのと3位に甘んじるのとでは、雲泥の差がある。「原巨人を最後まで苦しめた」という結果が残れば、来季の士気も高まるからだ。
「ラミレス監督の契約は『1年』。今オフに契約を延長するか、新監督を迎えるかをフロントが判断します。一般論として、退任する監督は自身の成績を上げ、次に繋げようと選手を酷使する傾向にありますが、ラミレス監督はリリーフ陣に連投をさせたくないと、ブルペン管理を今も徹底しています」(球界関係者)
選手を犠牲にしない。一見、簡単そうに見えてできないことだ。ラミレス監督は“良い指揮官”と言えそうだ。
育成名目で若手中心のスタメンを組めば、ファンが離れてしまう。観客数の上限が緩和されたというのに、ペナントレースが消化試合になってしまうとは皮肉な限りだ。(スポーツライター・飯山満)