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田尾氏は2004年オフ、3年契約で楽天の初代監督に就任。ただ、翌2005年にチームが「38勝97敗1分・勝率.281」と借金59の最下位に沈んだことで、同年9月25日に任期を2年残して球団から解任されている。今回の動画で田尾氏は、その直後にあったという金銭面の裏話を披露した。
解任決定直後に、球団から功労金を出すという書面をもらったという田尾氏。功労金は所定の額を12等分して毎月支払う形だったというが、「球団に対してマイナスコメントをしたら、それ以降は功労金は出さない」という条件が付けられていたという。
この書面を見て「これ口止め料だよな?」、「これは功労金としては絶対もらえないなあ」と疑問を抱いたという田尾氏は、即座に球団に電話し「功労金って書いてますけど、口止め料って直してもらえませんか?」と要求。球団側は「ちょっと考えます」と言葉を濁したというが、田尾氏はこの時点で功労金をもらわない決心がついていたため、これで自分と球団の金銭面の話は終わりと考えていたという。
ただ、球団側は3年契約を1年で打ち切った以上一定の金銭は支払わないといけないという考えだったといい、田尾氏は10月に球団の三木谷浩史オーナーと都内の飲食店で会談することに。功労金の話も含め球団側に不信感が募っていたという田尾氏は、その場で三木谷オーナーに「三木谷さん、この組織はおかしい」と苦言を呈したという。
2005年が創立初年度の楽天は弱かったが、それでも球団を愛してくれるファンがたくさんいたという田尾氏。「これからもそういうふうに愛されていってもらいたい」、「(そのために)いい組織になってもらいたい」という気持ちで物申したところ、三木谷オーナーは「色々ご迷惑をかけて申しわけありませんでした」と平謝りだったという。
その後、会談の中で三木谷オーナーから「(残り2年の契約費用は)全部僕のポケットマネーから出しますよ」と言われたという田尾氏。ただ、2年目の分は全額支払われた一方で、3年目の分は「付け足しのような」金額しか支払われなかったと笑い交じりに語っていた。
動画内では田尾氏だけでなく、2015年に指揮を執った大久保氏も同年に辞任した直後の裏話を披露。当時の星野仙一球団取締役副会長から受けた提案などを明かしている。
今回の動画を受け、ネット上には「そんなドロドロした話があったとは知らなかった」、「火中の栗を拾ってくれた監督にこの仕打ちは酷いな」、「口止めをするってことは、外にバラされたらまずいようなことがあったってことだよね?」、「全額払うって言って結局払わないって三木谷はケチだな」といった反応が多数寄せられている。
「楽天は2004年オフに50年ぶりの新規参入球団として創設されましたが、所属選手は近鉄と合併したオリックスのプロテクトから漏れた選手や他球団の戦力外選手がほとんど。誰がやっても最下位濃厚と言わざるを得ないほどの薄い選手層でしたが、田尾氏は『3年で戦えるチームを作り次にバトンを渡す』という思いで引き受けています。結果的には1年で解任となりましたが、シーズン最終戦で選手から胴上げされ、ファンの間でも解任に反対する署名運動が起こるなど決して周囲からの評価は低くない監督でした。ただ、楽天が次の監督に野村克也さんという大物を招へいしたため、一部では『球団は当初から田尾を大物監督を招くための時間稼ぎとしか見ていなかったのでは?』という憶測もありましたね」(野球ライター)
当時はソフトバンク・王貞治監督やロッテ・バレンタイン監督にトレードの相談を持ち掛けるなど、GM的な役割も精力的にこなしていたという田尾氏。志半ばでの解任直後にあった裏話に驚いたファンも多かったようだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
大久保博元氏の公式ユーチューブチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UCKa1VlSq1WwdSQWv4JFdgxg