身長167センチ、体重73㎏。この小柄な体形からか、「こんなに息の長いピッチャーになるとは思わなかった」との声も多く聞かれた。
「本人の努力もあるが、野球に対しては常に貪欲です。新型コロナウイルス禍による活動休止の期間中、同僚の五十嵐亮太投手(41)にナックルカーブを教わっていました」(チーム関係者)
“新しいもの”を吸収しようとする姿勢が、肉体を老けさせない秘訣なのかもしれない。
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「巨人の予告先発は今季負けナシの菅野ですが、彼は神宮球場が大の苦手。快挙達成の可能性は高い」(前出・同)
今春キャンプ中、ヤクルトOBや沖縄県浦添市でのキャプを視察したプロ野球解説者と話をした時、必ず出た言葉が「40歳の石川がエースでは(チームが)キビシイ」だった。40歳の体力を考えると、シーズンを通してローテーションを守り抜くのは並大抵のことではない。かといって、フロントは大型補強には乗り出さなかった。
「責任感の強いピッチャーでもあります。目立った大型補強もなかったので、当然、自分の置かれた立場も理解していました」(スポーツ紙記者)
前半戦の不振は、「自分がやらなければ」の気持ちが空回りしてしまった結果でもあるという。
石川の成績を改めて見直してみた。意外なことに、投手タイトルは08年の最優秀防御率の1回のみ。だが、大きな怪我を負って長期欠場したこともない。与えられた責務を寡黙に全うする、そんなタイプでもあるようだ。
石川が東都大学リーグで活躍していた01年当時を知る元スカウトが、こんなことを話していた。
「長所は、肩の可働域が大きいこと。剛速球が投げられなくても、体が小さくても、あの可働域の大きさならプロで通用すると評価していました」
その大きな可働域は、今日も健在だ。投手にとって大切な肩、肘の大きな怪我を負わなかったのはそのおかげだろう。
巨人戦と言えば、6月26日は勝利投手の権利を持ってマウンドを下りたが、救援陣が打ち込まれ、試合も落としてしまった。その時、リリーフ投手たちは石川に頭を下げたが、「オレのことはどうでもいい。試合を落としたことを反省しろ」と叱咤したそうだ。
開幕戦も救援陣が打ち込まれる不運に見舞われた。24日の練習後には、記者団に「喉から手が出るほど勝ちが欲しい」と言った。夏場の連戦で救援陣にも疲れが溜まってくる頃だ。誰かに任せて試合を落とすなら、自分の手で――。そんな不退転の気持ちも秘めているのではないだろうか。“新球”ナックルカーブで巨人打線を翻弄してもらいたいものだ。(スポーツライター・飯山満)