>>巨人・堀内元監督、ヤクルト助っ人の判断ミスに苦言「ここは当てちゃいかん」 チャンスを潰す併殺打を一喝したワケは<<
しかし、同時にこんな見方もされていた。「セ・リーグ6球団のうち、クローザーがまともに機能しているのはヤクルトだけと言っていいでしょう。石山泰稚が好調なのは大きい」(プロ野球解説者)
クローザーの活躍を表すセーブポイントだが、目下、セ・リーグのトップはDeNAの山崎康晃(6S)だが、防御率は8・74(同時点)。4度もサヨナラ負けを喫している広島は言うに及ばずで、巨人、中日はクローザーが交代した。阪神は代役クローザーのスアレス(5S)が好調なので救われたが、藤川球児がまだ本調子ではない。高津監督が山田に“夏休み”を与える決断ができたのも、石山(5S)が好調だからだろう。
「石山はスライダーを決め球にしていますが、そのスライダーの曲がり具合が、少し変わったと思います」(在京球団スタッフ)
ヤクルトの関係者によれば、活動休止の期間中、ベテランの青木がこうアドバイスしたそうだ。「(左バッターの)内側に来るボールがあるといい」――。
石山はそのアドバイスを受けた後、少し悩んだという。急に新しい球種は覚えられないからだ。そこで考え出したのが、スライダーの曲がり具合を変えることだった。
「マエケンこと、米ツインズの前田健太投手のスライダーが左バッターの内側に曲がっていく感じです。石山はマエケンのスライダーをイメージして、スライダーの投げ方を少し変えたんです」(前出・同)
短期間でそれが習得できたということは、“マエケンのスライダー”が自身に合っていたのだろう。セ5球団が抱く今春オープン戦までの石山とは異なるピッチングスタイルが確立された。
「昨年、石山を指して『真っ直ぐが速くなった』という声がよく聞かれました」(スポーツ紙記者)
昨季は不振だったが、“覚醒の兆し”はあったようだ。高津監督は現役時代、クローザーとして活躍していた。クローザーがシーズンを通じて好調を保つ難しさは、最も分かっている。この石山が好調なうちに野手陣を休ませる作戦は悪くないが、登板過多になってしまえば、話は違ってくる。
山田を欠いて戦うのは、3位阪神(7月28日~)。目下、2位のヤクルトは巨人を追い掛ける一番手だが、阪神とのゲームは「1」。状況次第では順位を大きく落とす可能性もある。そう考えると、高津監督は“度胸”があるようだ。(スポーツライター・飯山満)