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ソフトB・松田「やっぱり俺はプロ野球選手だ」 観客解禁で復調気配、工藤監督も「一番乗ってほしい」と期待

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松田宣浩

 その存在感の大きさを改めて思い知らされた気がした。

 今シーズン初めて、プロ野球が有観客で開催された7月10日、PayPayドームは松田宣浩の一振りにより、それまでの空気が一変した。

 初回から三者連続を含む4つの三振を奪うなど、絶好の立ち上がりを見せていた楽天のエース則本昂大に対し、2回裏2死後、この試合最初の打席に立った松田は、初球、149kmの外角ストレートを捕らえると、右方向へと上がった打球はそのままライトスタンドに飛び込んだ。

 ダイヤモンドを回り、チームメイトの祝福を受けた後、2020年シーズン初めて見せた「熱男」ポーズは、歓声が制限されているスタンドの観客の分まで、力が込められているように見えた。

 それまで打率2割を下回るなど、不調のどん底に喘いでいたものの、スタンドのプロ野球ファンの前で放ったこの日の今シーズン初本塁打に加え、翌日にも貴重な同点本塁打を打つなど、夏を迎えるとともに本来のバッティングを取り戻しつつある。

 今季ホークスは柳田悠岐の復帰、バレンティンの補強など、3年連続日本一へ向けて攻撃面での強化は万全のはずだった。ただ、グラシアル、デスパイネの両外国人の来日が遅れていることもあり、打線の厚みがもう一つ足りないことに加え、投手陣の失点も目立ち3連敗を2度記録するなど、開幕から投打の歯車も噛み合わない戦いが続いていた。その中で、ムードメーカーでもある松田の存在が、例年以上にクローズアップされていた。
 
 松田の復調がチームへも好影響をもたらしたのは明らかで、首位楽天戦は10日から3連勝で、ようやく借金返済し、続くオリックス戦でも勝利し、今季初の貯金も得た。「一番乗ってほしいのはマッチ」とは工藤公康監督のコメントだ。指揮官の願いの通り、松田の成績とチーム状態が比例して上向きとなっているのが面白い程だ。

 11日の今季2号を打った試合後、「やっぱり俺はプロ野球選手だ」と観衆の前でプレーすることへの喜びを語っていたという。松田の存在、そして豪快な一振りはチームを上昇気流に乗せるとともに、プロ野球を観る者に勇気と活力を届ける。果たして、ファンと共に繰り広げる「熱男」パフォーマンスはこの夏、何度、観られるのだろうか。(佐藤文孝)

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