また一軍で、9日の敵地広島で先発を任された井納翔一も、登板前日に「10日が同級生の石川の誕生日なので、ウイニングボールをプレゼントできるように頑張る」と意気込んだ結果、6回を被安打4、1失点ピッチングで見事に今季2勝目を挙げる事に成功。井納は12日にTwitterで、約束通り石川にボールを渡し「これからもチームの為に頑張る」と共闘を誓っていた。
昨年の1000本安打を達成した際も、ヒーローインタビューで後輩の筒香嘉智からサプライズケーキがプレゼントされ、ナインが集まって記念撮影が行われた。現役のみならず、OB達からも「気遣いをスマートにできる。本当に凄い」と絶賛されるなど、愛されエピソードは枚挙に暇がない。
チームでは日本人野手最年長となっているが、昔から変わらぬスマートなスタイルと、キャップの後ろからなびく金髪、若々しいプレーからは34歳の年齢は全く感じさせない。現在一軍は好調な状況だが、これから稀に見る強行日程も予想される今シーズン。昨年、大型連敗に終止符を打つ貴重なホームランを放つなど、チームの雰囲気を変えることができる“特殊能力”を持つ石川は、どこかのタイミングで必ずその力が必要とされる日がやってくる。16年目にして新背番号42を背負う熱い男は、栄冠掴むその日の為に、太陽の下で淡々と爪を磨く。
取材・文・写真 / 萩原孝弘