ピーク時は1日の感染者が6000人を超えていたドイツだが、5月に入ってからは1日の感染者が100人ほどになる日も多かった。しかし、規制が解除されて10日が経とうとするあたりから感染者数が増加し、1日の感染者が1000人前後になる日が数日、見受けられている。公共の場で集まっていい人数は州ごとに決まっており、屋外の集会などのイベント事は最大50人まで、それ以外の日常での集まりは最大10人まで許可しているが、政府は数名で集まる際も社会的距離を保つよう促している。しかし、実際のところは保たれていないことが多いようだ。
「規制は解除ではなく、緩和なのに、解除されたかのような雰囲気があります。各地でパーティーが開かれ、警察が出動したというニュースもよく聞きますね。ちなみにうちのマンションでも、規制が緩和された週に若者が集まり、夜遅くまで音楽をかけてパーティーをしていました」(ドイツ在住日本人)
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また、ロックダウン中は、マンションの庭で遊んでいると他の住人が注意する光景が見られるなど、慎重な人が多かったが、今では注意する人はほとんど見かけないという。
「天気がいいせいか、多くの子供が外で複数人で集まって遊んでいますよ。明らかに10人以上なこともあります。もちろん社会的距離は保たれていませんが、注意する人はほとんどいないですね」(前出・同)
さらに、ビアガーデンがオープンしたことで、より人々が外に出て集まるようになったという。ドイツのネット上では、ビアガーデンのオープンを喜ぶ声がほとんどで、「ロックダウン明けに飲んだビールが今までで一番美味しい」「ビールの美味しさに涙が出そうだった」などの声が挙がっている。
「ビアガーデンの再開が発表されてすぐ、ドイツ人の友人にビールを飲みに行こうと誘われました。まだ外出することに抵抗があると断ると、『天気がいいのにもったいない』『ロックダウンは緩和されたのに何を心配してるの?』と言われ、驚きましたね。日本人は感染して他人に迷惑をかけないように外出自粛をする人がほとんどだと思いますが、ドイツ人は法律で言われていたから外出自粛をしていた人がほとんどです。法律はきちんと守るドイツ人ですが、法律が全てという社会的雰囲気が悪い方に働いている気がします」(前出・同)
そんな中、ドイツのメルケル首相は5月27日、国民に向けて「新型コロナウイルスは消滅したわけではない。急速な感染拡大はいつでも起こり得るため、十分な注意が必要だ」と呼びかけ、第2波が来る可能性を示唆した。しかし、ドイツのネット上では「2波はあるものだと思ってるし、規制が緩和されている今のうちに楽しもう」「2波を心配してたら何もできない。できるだけ普通に生活してたい」という声も多く見られ、緊張感が緩んでいることがうかがえる。
新型コロナウイルスに対する心配をする人が少なくなっているドイツだが、第2波が来ないことを願うばかりだ。