ドイツではドライブスルー検査が各所で行われ、基本的には誰でも検査が可能。『日本経済新聞電子版』(日本経済新聞社)の4月5日に報道によると、日本の1日当たりの検査数が約2千件であるのに対し、ドイツの1日当たりの検査数は5万件に及ぶという。また、ドイツでは医師が防護服を来て自宅に訪問し、検査をする体制も整っており、ドイツのメディアは「症状は出ていないものの感染した人を囲い込む、感染拡大の防止ができている」と報じることも多い。しかしながら、検査までのハードルは決して低くはないと言う。
「ドイツでは感染が疑われた場合、政府が設置した専門の電話番号に電話を掛け、指示に従うのですが、ドライブスルー検査をするように言われることがほとんどのようです。病院に直接出向くと感染が広がる可能性があるためだと思いますが、車がない人は検査ができません。その場合は、医師が訪問しますが、高齢者が優先になるので、順番が回って来るのは1週間以上後になると聞いたことがあります。ただし、その時の検査数の多さや住んでいる州の人口にもよるので、一概には言えない部分はあります」(ドイツ在住日本人)
また、ドイツではホテルなどを療養施設にすることで、新型コロナウイルスのための病床数を1万床以上確保すると同時に、軽症だと思われる人は自宅療養することで、医療崩壊を防いでいる。だが一方で、よほど切羽詰まった状態でないと入院はできない現状があるようだ。
「知り合いの40歳の女性が新型コロナウイルスに感染し、高熱、息苦しい、だるいなどの症状があったそうです。しかし、病院は入院を拒否。自宅で療養するように言われたそうですね。女性は3週間ほど症状が続いていますが、それでも入院はさせてもらえません。もちろん病院の状況によるので、この例がすべてではないですが、一刻を争う状況でないと入院はさせてもらえないと言われたそうです。入院できる人を厳しく限定することで、医療崩壊を防いでいるのだと思います」(前出・同)
しかしながら、ヨーロッパの世論を調査する機関『YouGov』が4月11日に発表した報告によると、ドイツ国民の66パーセントが新型コロナウイルスに対する政府の危機管理能力に満足していると答えているようだ。感染者数の増加も少しずつ減ってきており、政府の対応と国民の協力が実を結んだ結果と言えるだろう。4月15日に行われた議会では、感染者の少ない州は5月より、受験がある重要な学年のみ少しずつ学校の再開を検討していくことになったが、教室内の人数を制限するなどの対策を取るそうだ。
こういったバランス感覚に優れた対応も、国民からの信頼を得ている要因の一つだろう。
記事内の引用について
「ドイツ、1月6日の初動カギ コロナ大量検査可能に」(日本経済新聞電子版)より
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57681220U0A400C2EA1000/