流行が拡大して以降、ドイツでは政府からの要請により多くの州で4月19日まで学校が休みになったり、企業が自宅勤務を指示したりしているが、そういった状況になってからというもの、ドイツでも多くの人が買い占めに走った。食べ物がなくなるという恐怖感から買い占めに走る人もいるが、多くの人が、食糧を買い占め、できるだけ外に出ずに自宅に引きこもろうとしているという。
「場所にもよりますが、ドイツの多くの地域では、とにかく外に出ないようにという雰囲気が強いです。今、スーパーは人混みを作らないように営業時間を通常より延ばしていますが、開店と同時に食料を買う人で溢れ、その後はガラガラ。商品が豊富な朝のうちに買い占めて、あとはしばらく外出を控えようということでしょう。今は車もほとんど通っておらず、外に出て散歩をしただけでも軽蔑されそうな雰囲気です」(ドイツ在住日本人)
こういった傾向はインターネット上でも強く見られる。ドイツに住んでいる人のFacebookのプロフィール写真には「#Stay Home,It could save lives(もし生きたければ家にいよう)」と書かれたフレームを付け、外に出ないことを呼び掛ける人が多くいる。SNSなどで外に出たいなどと書いた時には、多くの人に叩かれるようだ。
「ネット上では、『家にずっといて子供が可哀想だから外に出たい』と書いた人が、『状況を分かってない』『家でできる遊びを考えろ』とかなり批判されていました。家の庭やマンションの中庭で遊ぶ子供はいるものの、公園で子供はほとんど見かけませんね」(前出・同)
そんな中、今、ドイツのSNS上で広がっているのが、「ZUSAMMENHALTEN」という運動だ。日本語に訳すと「一緒にいよう」といったような意味を表す。「ZUSAMMENHALTEN」は、夜の9時にバルコニーに出て、感染の拡大で人々が外出することを恐れる中、働いている医療従事者や警察、スーパーの従業員らに対し、みんなで拍手をし、感謝しようというものである。特に住宅が密集した地域では、通りに響き渡るほどの拍手が1分ほど聞こえることもあるようだ。
「ドイツの『Yahoo!』もこの運動について呟き、人々の間で話題になっています。イタリアとスペインでも同じ運動が起きているようで、ドイツではしばらく毎日続けようという声が多いですね。ドイツでは盛り上がるというより、皆さん、粛々と拍手をしていました」(前出・同)
医療従事者などをいたわる一方で、ドイツでは多くの人が新型コロナウイルスに対して恐怖を抱いていることがうかがえる。