プロ野球12球団が6月2日から実施する練習試合の日程を発表した(5月27日)。移動に伴うリスクを抑えるため、特定地域に集中しているが、同19日開幕のペナントレースの日程に関しては、いまだ“調整”が続いている(同時点)。開幕カードを組み直す件については、12球団が合意しているが、「移動を頻繁にしない」ということは、長期間の滞在にもつながっていく。移動が頻繁にならず、長期間にならない“適度な遠征”、そこに球場を確保する難しさも重なり、NPBの担当チームを悩ませているそうだ。
そんなペナントレースの日程に関する“怪情報”が飛び込んできた。矢野阪神が「8月の甲子園球場」の使用を“辞退”する方向でいた。
「阪神は東京ドームでの巨人3連戦で開幕戦を迎えることになりそう(同時点)。本拠地・甲子園での主催ゲームを開催するのは7月に入ってから」(球界関係者)
「移動」の一件で、本拠地でのお披露目はかなり遅れそうだが、それが甲子園球場の使用を辞退する理由にはならない。
夏の甲子園大会の中止はすでに決定している。毎年、高校球児に明け渡していた8月の甲子園球場のスケジュールは「白紙」となっており、阪神が利用しても問題はないはず。また、「もう大きな影響はないはず」とも言われているが、高校球児に甲子園を明け渡していた間の長期遠征が阪神ナインに負担となってきたのも事実だ。それでも、辞退は阪神球団内の決定と見て間違いないという。
「都道府県の高野連は、独自の大会を開催する方向で調整を始めました。都道府県の優勝校が甲子園球場に来る機会、地元兵庫県の大会にも提供するようです。8月中、阪神が甲子園球場を利用するのは数える程度になると思われます」(前出・同)
京セラドームもあるから、スケジュール的にも影響がないと判断したのだろう。阪神の大英断と言っていい。
「今の阪神選手、特に若い選手は甲子園球場の雰囲気に呑み込まれています。エラーをした時の野次、チャンスで打てなかった時のため息など…。今季は、無観客試合を含めて、阪神にとってプラスに転じる要素が多いのでは」(在阪記者)
その一例が、藤浪晋太郎のノーコン病だ。ボールカウントが先行した時点で球場全体がざわつき、その雰囲気に呑み込まれ、投球フォームもバラバラになっていく。他選手も同様だ。誰かがエラーをすると、連鎖的にエラーが連続する。こうした状況を考えると、甲子園の使用辞退は、「阪神ナインのため」でもあるようだ。
今回の阪神の英断によって、夏の甲子園大会の中止が決定した際、高校球児たちにエールを送ったプロ野球関係者の言葉が“本心”であることも証明された。高野連サイドも、阪神の厚意を球児たちに反映させてほしいものだ。(スポーツライター・飯山満)