オンラインで会見を行った高野連・八田英二会長は「苦渋の決断をお伝えする悲しい日になった」と無念の心境を吐露。中止を決定した具体的な理由については、“選手らの移動・宿泊を伴うことから感染リスクが大きい”、“各学校で休校・部活動停止が長引いているため、練習が十分にできていない選手が怪我をする危険性がある”、“授業期間確保のため、夏休みを短縮する動きがある中での開催は学業の支障にもなりかねない”といった点を挙げている。
夏の甲子園の中止は、米騒動が全国に波及した影響で代表決定後に中止された1918年の第4回大会、第2次世界大戦の影響で地方大会の途中で中止された1941年の第16回大会に次ぎ79年ぶり3度目。今年は3月19~31日にかけて行われる予定だった第92回選抜高等学校野球大会(春のセンバツ)も中止されているが、春夏連続の中止は史上初めてのこととなる。
中止の決定を受け、ネット上には「球児たちの気持ちを思うと本当に言葉が出ない」、「毎年欠かさず見てきた大会が無くなるのはファンとしても辛い」、「一番大切なのは人命だから高野連の判断は正しいと思う」、「残念だけど他競技も中止が続いている状況だから仕方ない」といった反応が多数寄せられている。
夏の甲子園の中止を受けて、現役プロ選手・OBもコメント。西武・山川穂高は21日、自身のツイッターに「俺が高校生ならやる気はでないな。落ち込んでも怒ってもいいと思う」と投稿した。
楽天・今江敏晃育成コーチは20日、自身のインスタグラムに「やるせないよな。悲しいよな。悔しいよな。俺も経験したけど 高校3年生が最後の夏にかける思いは人生かける思いだよな」と投稿。野球部内の不祥事により高校最後の夏を戦えなかった自身の境遇と、今年の高校3年生を重ね合わせている。
元巨人・上原浩治氏は21日に自身のブログに投稿。「甲子園に出たことのある人たちは、出たことで人生が変わったって言う人がいるぐらい凄い大会」とした上で、「どうにかして試合を、実戦を出来ないものだろうか…」と救済策の実施を望んでいる。
今回の中止を受けては複数の県高野連が救済策として県内で行う代替大会の開催を検討しているといい、会見の中では八田会長も一定の財政支援を行う旨を口にしている。一方、大阪・吉村洋文知事が20日に「考え直してもらいたい」、「高野連はリスクをとってやるべきではないか」とコメントするなど高野連に中止の撤回を求める声も少なくないが、果たして世論による撤回はあるのだろうか。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
山川穂高の公式ツイッターより
https://twitter.com/Hotamyon
今江敏晃コーチの公式インスタグラムより
https://www.instagram.com/toshiakiimae8_official
上原浩治氏の公式ブログより
https://www.koji-uehara.net/