本動画で井端氏は、今自分が現役なら打てそうにない投手を1~3位までランキング形式で選出。1位にプロ8年間で「71勝52敗・防御率3.38・654奪三振」といった数字を残し、2016年には最多勝(16勝)、最高勝率(.842)の2冠に輝いた野村の名を挙げた。
野村を1位とした理由について、井端氏は「現役の時から打てなかった。先日(対戦成績を)調べたら22打数1安打(.045)だった」と打率1割以下に抑えられたことが要因と説明。
続けて、「チェンジアップと思ったら真っすぐだったり、スライダーと思って振っても(バットの)先っぽにしか当たらなかったり。それぐらい自分の中で錯覚を起こさせる投手だった」と現役当時の苦戦ぶりを語った。
井端氏によると、野村は「ボール自体にびっくりするようなボールはない。ストレートは140キロぐらいで、スライダー、カーブ、チェンジアップといった変化球も速く(は)ない」とのこと。それでも打席の中で球種を見極めることは難しかったとした上で、「腕の振りとかにだまされ続けてたのかな」と投球フォームが球種を判別しづらくした要因ではと分析した。
「打席の位置を変えたり、自分のバットよりも重たい井上一樹(元中日/現阪神一軍打撃コーチ)さんのバットを借りて打ちに行ったりもしたが一緒だった」という井端氏。野村が投げる試合で解説を務めている時は、しばしば「(野村を)打ってる人すごいな」と思っていると語っていた。
今回の動画を受け、動画のコメント欄やネット上には「菅野、千賀あたりが1位と思ってたから野村が1位なのは意外」、「22打数1安打は相当キツいな、よっぽど投球フォームが見づらかったんだろうか」、「野村は凄くコントロールがいいから、なかなか打てるコースに球を投げてこなかったっていうのもありそう」といった反応が多数寄せられている。
現役時代に中日(1998-2013)、巨人(2014-2015)で活躍した45歳の井端氏と、プロ入りから広島(2012-)でプレーする30歳の野村。両者は2012年から2015年にかけセ・リーグで対戦を重ねている。
「野村はストライクゾーンとボールゾーンへの意図的な球の投げ分け、いわゆる“出し入れ”ができコントロールに定評がある投手で、“投げる精密機械”と呼ばれるほどのコントロールを武器に通算213勝を挙げた元広島・北別府学氏と比較する声も多くあります。また、2冠を獲得した2016年にはアメリカメディアが次期日本人メジャーリーガー候補として、当時日本ハムの大谷翔平(現エンゼルス)と共に野村の名前を取り上げたこともありました」(野球ライター)
現役時代の井端氏は通算で「打率.281・56本・510打点・1912安打」といった数字をマークしており、決して打力が低かったわけではない。それだけに、1本しか安打を打てなかった野村の印象はいまだに強く残っているようだ。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
井端弘和氏の公式ユーチューブチャンネルより
https://www.youtube.com/channel/UCVhXntGHOpB4vnfkBdN5HlA