今回番組では昨年12月に収録され、今年1月3日に『再会~今だから言える、聞ける、話せること~』(BSテレ東/午後9時~)で放送された巨人・阿部慎之助二軍監督と元巨人・上原浩治氏の対談をVTRで再放映した。その対談の中で、阿部二軍監督は上原氏とのエピソードを明かしている。
巨人一筋(2001-2019)で現役生活を送った41歳の阿部二軍監督と、巨人(1999-2008,2018-2019)、オリオールズ(2009-2011)、レンジャーズ(2011-2012)、レッドソックス(2013-2016)、カブス(2017)でプレーした45歳の上原氏。両者は2001年から2008年、2018年から2019年の計10年間共に巨人でプレーし、2002年には2人で最優秀バッテリー賞を受賞した経験も持っている。
阿部二軍監督によると、自身がプロ1年目の時はファンやマスコミから批判を浴び続けたとのこと。そして、それが原因で「投げるのもサイン出すのもイップスになった」という。
“イップス”とは、緊張や不安などにより自分の思い通りのプレーができなくなる運動障害のこと。2015年にはヤクルトの2007年ドラフト1位・増渕竜義が、イップスが原因で27歳の若さでの引退を余儀なくされるなど選手生命を脅かす症状として知られている。
「この前こうやって打たれたな」などと考え込むうちに投手への返球や二塁送球、さらには投手とのサイン交換でもミスが目立つようになったという阿部二軍監督。ただ、上原氏が「いいよ、もうこの辺に投げてこい!」とミスを責めずに受け入れてくれたことで気持ちが救われたという。
また、阿部二軍監督は上原氏に精神面で助言を求めた際、「なるようにしかならん」と言われたことも告白。この言葉を聞いて「こういう大投手でもそう思って投げてるんだ」、「死ぬわけじゃないしな。なるようにしかならないよな」と開き直ることができ、イップスの克服につながったという。
一連の発言を聞いた上原氏は、「何も練習してない奴に『なるようにしかならん』と言っても絶対何もならない」と補足。「(阿部二軍監督は)そこまで練習をちゃんとしてたからそう思える」と語っていた。
番組では今回の対談VTRが再放映であるとの説明はされておらず、テロップによる説明もなかったが、ネット上には「対談したのは知ってたけどBSは見れなかったから、地上波で再放映してくれて嬉しい」、「何で1月にやった内容をまたやってるのかと思ったけど、開幕延期中だから野球のコーナーは再放送でもありがたいな」、「他のメディアも過去のインタビューとか対談とか再放送してほしい、ノムさん(野村克也さん)のインタビューとかだったら絶対見るよ」といった喜びの声が多数寄せられている。
対談が収録された昨年12月から状況は一変し、新型コロナウイルスの影響により現在も開幕延期が続いている球界。各球団は感染防止のため報道陣の取材を大幅に制限し、その影響でファンが野球のニュースや特集を目にする機会も減っている。今回の再放映は、野球に“飢えた”ファンのためを思っての決断だったのかもしれない。
文 / 柴田雅人