36回目となる今回は、フロリダ州タンパのレイモンド・ジェームススタジアムでの開催が決定していたが、アメリカ国内での新型コロナウイルスの感染拡大により、会場をフロリダ州オーランドにあるWWEパフォーマンスセンターに変更。無観客試合とし、日本時間4月5、6の2日間にわたって世界配信された。無観客も2DAYS開催も『レッスルマニア』史上初のことだった。
『レッスルマニア』は8万人から10万人近くを動員するマンモスイベント。近年では、会場近くで『レッスルマニア』前後に世界中の団体が興行を行うのも恒例になってきており、『レッスルマニアウィーク』と言われるようになっていた。ただ今年、WWEでは新日本プロレスの獣神サンダー・ライガー氏も出席予定だった殿堂入りセレモニーをはじめ、『レッスルマニア』関連イベントの全てを中止にしたため、日本を含むアメリカでの興行を予定していた各団体は中止を余儀なくされている。
『レッスルマニア36』の対戦カードは事前に発表されていたが、2日間の振り分けは放送を見るまでシークレットとされていた。既に主力ブランドのロウ、スマックダウンもWWEパフォーマンスセンターから無観客試合で世界配信されており、スーパースターたちは、よりカメラの向こう側を意識したパフォーマンスを繰り広げていた。一番感じたのは試合中、選手がとにかく対戦相手に対して挑発の言葉を投げかけること。これを実況が邪魔することなく、しっかり拾っているのだからスゴイ。
またジ・アンダーテイカー対AJスタイルズの墓場マッチは、壮大な墓場のセットで両者が死闘を展開し、まるでハリウッド映画のアクションシーンを見ているかのようなプロレスの試合だった。さらに、ジョン・シナ対ブレイ・ワイアットでは、シナが過去の幻想の世界に引きずり込まれ、現実に戻ると敗北を喫するなど、WWEは無観客試合でしか味わえない新たな領域にチャレンジしている。
フロリダ州ではWWEの無観客試合継続を認めており、コロナが収束するまではこのスタイルを続けていくようだ。日本時間11日に開催する次回PPV 『マネー・イン・ザ・バンク(MITB)』のMITBラダーマッチは、WWE本社ビルで開催されることが発表されており、ここでも我々の想像を超えたものを見せてくれそうだ。
(どら増田 / 写真・©2020 WWE, Inc. All Rights Reserved.)