NPB公式サイトによると、制限選手とは「選手がその個人的事由によって野球活動を休止する場合、球団はその選手を制限選手とする理由を記入した申請書をコミッショナーに提出」することで受理される制度のこと。申請が受理された場合、対象選手は日本、アメリカ、韓国、台湾、中国の5か国の球団への移籍が制限され、年俸も1日につき300分の1に相当する金額が減額されるという。
2017年に育成選手としてソフトバンクに入団した21歳のコラスは、昨シーズン支配下昇格を勝ち取りプロ初本塁打もマークした期待の野手。しかし、先月初旬にMLBとの契約を目指して母国キューバから失踪・亡命したと複数メディアが報道していた。
現在もどこにいるのか所在がはっきりしていない中、コラスの制限選手化に踏み切ったソフトバンク。MLBへの移籍を狙って契約を反故にしようとするコラスの思惑を阻止すること、そして他の助っ人選手に対し“あの球団はゴネれば簡単に解雇にしてくれる”というレッテルを貼られることを防ぐことなどが狙いとみられている。
今回の一件を受け、ネット上のファンからは「今できる対応としては一番の正解だと思う」、「妥当な制裁、コラスのゴネ得は絶対に許しちゃいけない」、「これを許すと後に続く選手が増えるだろうから、球団には断固として抵抗してもらいたい」といった反応が多数寄せられている。
一方、「枠がもったいないからもう解雇で良くない?」、「貴重な支配下枠潰すくらいならクビにしろ」、「どうせ戻ってこないんだからさっさと切り捨ててほしい」といった声も複数見受けられた。
「今回のソフトバンクの対応は、今後に悪しき前例を作らないための当然の対応であるといえます。ただ、コラスを制限選手として支配下選手枠(最大70名)の中に留め置いたとなると、その分育成選手の支配下昇格チャンスは減少します。現在、ソフトバンクはコラスを除き65名の選手を支配下に抱えていますが、コラスで1枠、そしてシーズン中の緊急補強用に1枠必要と仮定すると、残る枠は最大でも3枠。そのため、本来なら支配下に昇格できていた選手が、コラスの存在により昇格できなかったという事態が起こることも十分に考えられるでしょう」(野球ライター)
ソフトバンクは今オフ、昨シーズン中に支配下にしなかった育成選手・長谷川宙輝(現ヤクルト)の流出を許している。今回の一件に異を唱えているファンは、もしかしたらこの点も踏まえているのかもしれない。
文 / 柴田雅人
記事内の引用について
NPB公式サイトより
http://npb.jp/