「矢野燿大監督は今季40歳になる藤川球児をクローザーに据えるつもり。各メディアでもそう発言していますが、リップサービスではなく、本当にそのつもりです」(在阪記者)
藤川は昨季56試合に登板し、16セーブ、23ホールドの好成績を残している。今春キャンプでも順調な仕上がりを見せており、特に原巨人は「藤川攻略」に躍起になっているという。
昨季対戦カード別の「藤川の防御率」
巨人 0・00
DeNA 0・00
ヤクルト 0・90
広島 3・00
中日 5・23
シーズン成績としての防御率は1・77だから、「藤川は中日が苦手」と言っていいだろう。
「山本昌氏に臨時コーチを頼み、同じく中日OBの井上一樹氏を打撃コーチに招聘したのは『藤川に強い理由を聞き出すため』なんて話も出ていたんです。実際は違いましたが」(プロ野球解説者)
中日サイドを取材してみると、「特に対策はない」らしい。ザックリとだが、藤川は昨季中盤からストレートの威力も取り戻し、クローザーに返り咲いた。中日打線はストレートの威力、球速が蘇っても脅威には感じなかったとのことだ。中日打線にしか分からない藤川の弱点があるのだろう。
「藤川は中日を意識しています。中日にだけ打たれていますから、意識するなという方が無理かもしれません」(前出・在阪記者)
キャンプでの藤川だが、カーブを投げる割合が多かったような気がする。関係者に確かめてみると、「中日対策の一環と思ってもらってもいい」とのことだった。
「巨人、DeNA、広島なども独自に藤川対策を立てていますが、同時に『なぜ、中日だけが藤川を攻略できたのか』も研究しています」(前出・プロ野球解説者)
今年の阪神キャンプだが、練習施設が増設されている。これまではウエイトトレーニング、選手の一時的な待機所は仮設テントだった。指揮官が矢野監督に代わって、それまで必須メニューとされていたウエイトトレーニングが「本人の自由」と改められ、昨年は「自分には合わない」とし、やらなくなった選手もすくなくなかった。新しい施設ができたことで、またウエイトトレーニングに興味を持ち始めた選手もいたが、藤川は違う。
「ウエイトトレーニングの器具を使った練習は、あくまでも補助。ランニングなど昔ながらの練習で体を作っています。復活できたのはウエイトトレーニングを止めたからでしょう」(球界関係者)
藤川は若手に混じって、黙々と走り込んでいる。矢野監督が“40歳クローザー”でもシーズンを乗り切れると思った理由は、この辺にありそうだ。(スポーツライター・飯山満)