阪神がスタッフミーティングを行った(1月8日)。どの球団もそうだが、この時期に一、二軍の全首脳陣を集め、春季キャンプにおける選手の「一軍か、二軍か」の振り分けを決める。今年は東京五輪が開催されるため、その期間中、ペナントレースがいったん中断となる。そのため、開幕戦が例年よりも約一週間、前倒しとなる。キャンプのスケジュールも実戦形式の練習を早める必要があり、調整の遅いベテラン、注目の新人選手をあえて二軍スタートにするなどの配慮が行われている。スタッフミーティングとは、意思統一と確認の場でもあるのだ。
そんな全首脳陣が結束を固める会合の場で、衝撃的な決定もされていた。
「外部からの協力者がさらに増えることになりました」(球界関係者)
同関係者によれば、今季8人にまで膨れ上がった外国人選手のことが話し合われ、彼らとのコミュニケーションを円滑に行うため、駐米スカウトにキャンプに同行してもらうことになったそうだ。
駐米スカウトとは、阪神での在籍経験も持つアンディ・シーツ氏と、ジェフ・ウィリアムス氏の2人。状況次第では4番もあり得るとされるジャスティン・ボーア内野手や、ジェリー・サンズ内外野手の他、ジョン・エドワーズ、ジョー・ガンケル、ロベルト・スアレス投手の3投手が新たに加わり、先発の一角を担うだろうオネルキ・ガルシア投手とも契約を延長した。シーツ、ウィリアムス両氏はキャンプ常駐ではないが、長時間の練習など日本球界の習慣や阪神の雰囲気を説明するという。
関西地区で活動するプロ野球解説者がこう続ける。
「阪神フロントは『矢野監督は外国人選手とのコミュニケーションが巧くない』と見ています。サポートするつもりで、シーツ、ウィリアムス両氏のキャンプ訪問を決めたのだと思います」
しかし、今春のキャンプでは山本昌氏が昨秋に続いて臨時コーチを務めることがすでに決定している。山本氏の指導が好評だったことは繰り返すまでもないが、こんな指摘も聞かれた。
「昨秋キャンプ中、投手陣への指導内容を統一させる意味で、現任コーチは『練習中、口を挟んではならない』と通達されていました。今春キャンプもそうなるんですかね?」(前出・関係者)
山本氏と阪神の福原、金村両一軍投手コーチが異なる指導をしているのではない。選手側に伝わる言葉のニュアンス、捉え方があるので、その誤解を生じさせないために、昨秋キャンプでは山本氏に一本化させたのだ。
外国人選手には活躍してもらわなければ困る。投手陣の飛躍のためにも指示系統の一本化は必要だ。とは言え、これでは、現任コーチの存在意義がないのも同然だ。
「臨時コーチや、キャンプ期間中の協力者はあくまでも『外部の人』。ペナントレースの勝敗に責任を持つ必要はありませんからね」(ベテラン記者)
関西地区では「山本氏のコーチ就任の待望論」も出ているそうだ。今春キャンプでは、現任コーチの“ヤル気”も継続させなければ、矢野監督はペナントレースで苦しむことになるだろう。(スポーツライター・飯山満)