『半沢直樹』と言えば、“やられたらやり返す、倍返しだ”のキャッチコピーでおなじみ。サラリーマンはもちろん幅広い世代から支持され、初回平均視聴率は19.4%、最終話はなんと42.2%という驚きの数字をたたき出した。さらに同ドラマは、『サザエさん症候群』を減らすという、ある種の社会現象を起こしたことでも話題となった。サザエさん症候群とは、日曜日の夕方頃から翌日の通学・仕事のことを考えて憂鬱になり、体調不良などを訴える症状のこと。アニメ『サザエさん』(フジテレビ系)が日曜日の終わりの代名詞となっていることから、こうしたネーミングがついたと言われている。
実際に、『半沢直樹』が放送されていた2013年の夏、ネット上には「いつもはサザエさん症候群になる私が、こんなに日曜日の夜が待ち遠しいのは久しぶり」「日曜日の夜がちょっと楽しみに変わった」「半沢直樹が終わったら、またサザエさん症候群のサラリーマンが増えそう…」という声が多数上がっていた。見る人をスカッとさせる内容と、次を期待させるストーリー展開が、このような現象を生んだという見方が強い。
現在はというと、やはり日曜日の夜には「明日からの仕事のことを考えたら寝れない…」「寝たら月曜日が来ちゃう。でも寝なきゃ」「日曜日の夜、どうやって気持ちを落ち着かせていますか?」など、悲観的なコメントが多く見受けられる。同ドラマ放送から約5年経ち、働き方も多様化している今もなお、サザエさん症候群に悩む人は多いようだ。実際、翌日の月曜日は一週間のうちで最も突然死・自殺・病気が多い、と2017年5月22日付の「東洋経済オンライン」は報じている。
そんなストレス社会で働く人が、『この世界の片隅に』によって少しでも心を癒やすことはできるのか。『半沢直樹』とは全く異なるジャンルだが、日曜日の夜が楽しみになるような物語を展開することが期待される。