「場所はハワイです。3人は名球会のイベントで揃ってハワイに行っており、そこで金本監督が福留と鳥谷を呼び出したんです」(関係者)
現地時間12月14日夜、3人は名球会の一行を離れ、ホノルル市内のレストランでテーブルを囲んだ。名球会の会合である以上、金本監督が自軍の都合を主張したということは、「どうしても年内に伝えたい話があった」と見るべきだろう。
「そういえば、11月に球団納会がありましたよね(同22日)。お開きになった後、金本監督はやはり、福留と鳥谷、そして糸井(嘉男=36)の3人を呼び出し、短い時間でしたが、話をしています。3人のベテランに対する信頼の厚さと感じましたが」(在阪記者)
糸井を含めた3人のうち、名球会入りを果たしている福留、鳥谷を再び呼び寄せたわけだ。目撃者によれば、金本監督が何かを力説し、福留、鳥谷は真剣な表情でそれを聞き入っていたという。
先の関係者がこう続ける。
「金本監督はベテランがきちんと活躍してもらわなければ、思い切って若手を起用できないと考えています。その方針は監督就任当初からずっと変わっていません。納会後もそんな話を福留、鳥谷、糸井に繰り返し力説していました。ハワイで、福留、鳥谷に喝を入れ直したのでは…」
球団納会後、そして今回のハワイでの密会。2度も同じ時をした理由は、金本監督が来季、優勝を意識しているからだろう。
「金本監督はウィリン・ロザリオ(28)の獲得に成功したことを物凄く喜んでいました。年間30本塁打が期待できる助っ人です。韓国プロ野球を経験しているので日本球界にも順応しやすいと見ています。韓国と日本では投手のレベルも違いますが、映像を見て、金本監督がホレ込んだ大砲タイプです」(前出・在阪記者)
17年シーズンを振り返り、金本監督が「優勝のために足らないピース」と見ていたのは、大砲タイプ。プロ野球解説者の多くは藤浪晋太郎(23)の復活や先発投手陣の再整備の必要性を上げているが、谷本球団副社長兼球団本部長は、「今年に関してはもう終わり。このメンバーでベストを尽くしていく」と語っており、その言葉通りなら、フロントと金本監督の見解は合致しているということになる。しかし、こんな声も聞かれた。
「二軍監督に配置換えとなった矢野燿大氏は関西系メディアに出演し、来春キャンプはこれまで以上にハードメニューの練習をすると予告しています。通常、ベテランは『鍛える』という意味での練習メニューは免除となり、マイペース調整も許されますが、矢野二軍監督の話だと、例外は認めないようです」(前出・在阪記者)
ベテランは開幕前にぶっ壊れてしまうのではないか? また、来季は宿敵・巨人との一戦でペナントレースが開幕する。巨人側は早くもエース・菅野智之の開幕登板を予告しているが、鳥谷を始めとするベテランたちは、実は、菅野に対する苦手意識も強い。ハワイでの密談ではこうした対菅野の“マイナス思考”にも喝を入れたのだろう。
「金本監督は猛練習を積み重ねて一流になった人。でも、今の若い選手は体を動かす前に『この練習には何の意味があるのだろう?』と考えてしまいます。理論的に練習の目的を説明してやらないとダメ」(前出・プロ野球解説者)
掛布雅之二軍監督が今季限りでユニフォームを脱いだのは、金本監督と練習に関する考え方の違いとされている。先の谷本球団副社長の発言から察するように、フロントと金本監督が合致しているのなら、チームは優勝争いを繰り広げても、指揮官と選手の間に溝ができてしまう。金本監督はベテランに喝を入れるよりも、若手選手とのパイプ役を頼むべきだったのかもしれない。