高校通算歴代最多となる111本を放った超大型新人は、はやくもシーズンオフの主役の一人として堂々たる存在感を示している。
■「規格外」の数字を超える期待
先月行われたイベントの中で、目標とするホームラン数を問われた際には、迷わず「60本」と答えた清宮。日本人では今なお未到達の領域ではあるが、彼の未来にはその数字ですら実現する姿を想像してしまう。魅せてくれるのは、ライナーでスタンドに突き刺さる打球か、もしくは、滞空時間が長く放物線を描きながら場外へ消えてしまうほどの飛距離のアーチか。いずれにしても、日本中の多くのファンの期待を裏切らぬ、華やかなスラッガーとしての成長を見せてくれるはずだ。
そして、それ以上に注目したいのが、一年目からの出場試合数だ。
高卒ルーキーがプロの世界で好成績を残すことは容易なことではなく、昨今、投手では松坂大輔や田中将大、藤浪晋太郎等は、年間を通して先発ローテーションでの活躍が見られたが、野手での常時出場はとなると、極めて稀と言っていい。高卒野手でレギュラーとなり規定打席に到達したプレーヤーは、1988年の立浪和義まで遡らなければならず、平成に入ってからは、未だに成し遂げた者はいない。あの松井秀喜でさえも、一年目はプロの壁にブチ当たり、シーズンの半分はファームが居場所となっていた。
だが、前例の少ない一年目からのレギュラー獲得ではあるものの、難題はより一層、ゴールデンルーキーを輝かせる要因になる筈だ。球場に足を運ぶ観客は、常に彼の一挙手一投足を観ることが出来、目の前には躍動する姿がある。それこそが、プロスポーツを観戦するもっとも至福の時間たり得る。
■「新しい背番号」とともに
球団からの期待を込められ、背負うこととなった背番号は『21』。従来、投手のエース級が背負ってきた数字を与えられた理由として、様々な意味があると伝えられた。
その一つとして、これまでの野球界の枠にとらわれない選手になってほしいという願いが込められているという。そして、その思いを現実にできる資質は間違いなく備わっている。もはや、誰もが視線をそむけることが出来なくなった「金の卵」は、まさにあらゆる常識を覆すために生まれたといえるかもしれない。
清宮幸太郎、はやくもパ・リーグの、いやプロ野球の新しい「顔」として眩いばかりの光を放ち始めている。