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東京立ち食いそば紀行・第4回「みとう庵」

 よく美味しい立ち食いそば店を称して「町場のそば店並だよ」と言うことがあるが、今回紹介する”みとう庵”は並どころかそれ以上。なにしろしょっぱなから店でそば切り。よくある茹で立てどころの話じゃないですよ。さすがに香りノドごしともに最高で、ズルッとすすればかぐわしい蕎麦の香りが口中に拡がる(この時期は新そば!)。しかもこれだけ本格的なもりそばで300円! なんでこんなスゴい店が実現できちゃったのか? 実はその秘密は、経営元にあるのだ。

 そもそも“みとう庵”の経営母体は野川麺業(株)。なにしろ老舗のそば店であるわけだから、そばの質に関しては折り紙つき。そのうえに長い歴史からなるそば作りのさまざまなノウハウを持っているわけだから、美味いそばが出てくるのも、そう不思議なことではないのだ。

 しかし、それでもこのクオリティのそばを300円という値段で出すというのは、やはり並な話ではない。なぜにここまで破格な店を始めたのか? その動機を野川麺業(株)社長の野川博史氏に聞いてみた。

 「もともとそばは庶民のファーストフードだったんです。それがいつの間にか高級なものになってしまった。それはそれでよいんですけど、基本的には毎日食べるデイリーフードですからね。安く腹いっぱい、美味しいそばを食べてもらいたくて、みとう庵を始めたんです」(野川博史氏)

 とはいえ、いわゆる立ち食いそば店というのは初めての試みであり苦労も多かったようだ。
 「最初は揚げたて天ぷらをメインにしたんですが、揚げる時間がかかってお客さんを待たせてしまったり。値段も二枚盛り500円が基本だったのを一枚300円にしたり、いろいろ試行錯誤して、やっと今の形になったのが今年になってからですね」(同・野川氏)

 美味しいそばを食べてほしい、という“そば愛”に満ちた野川社長は、今後も“みとう庵”のさらなる展開を考えているとか。

 なにかとバタバタ慌ただしくなる師走。そばの原点、“みとう庵”でもりでも手繰って乗り切ってみよう!

みとう庵
東京都豊島区南大塚3-49-8
営業時間=【月〜金】11:00〜16:00、17:00〜20:00
【土】11:00〜15:00
定休日=日曜・祝日、第4、5土曜
もりそば:300円、きざみ鴨汁せいろ:400円

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