通常、理事選とは、角界に厳然と存在する「一門」同士が事前協議によって、そのポストの割り振りを決するもの。いわば、相撲協会の“互助会体質”の最たるものが理事選なのだ。その協会の旧態依然体質に、ガチンコな“過激派”貴乃花親方が弓を引いた。今回の理事選において、二所ノ関一門に割り振られた理事のポストは3つ。すでに一門内で、理事候補には二所ノ関(元関脇・金剛)、放駒(元大関・魁傑)、鳴戸(元第59代横綱・隆の里)の3親方の選出が内定していた。角界改革のために燃える貴乃花親方はそれを良しとせず、慣習を断ち切って断固立ち上がるが、周囲の親方衆からは「2年待て」と猛反発を受ける。その2年も待てぬとばかりに一門離脱、無所属出馬と相成った。
角界のガチンコ改革に燃える若きプリンス、立ち上がる! と捉えれば響きはよいだろうが、実は今回の貴乃花親方の周辺に、あるキナ臭い噂が流れている。なんと、彼の行動を後押しし、裏で糸を引いているのが、前協会理事長の北の湖親方(元55代横綱・北の湖)だというのだ!
北の湖前理事長といえば、時津風部屋リンチ死事件やロシア人力士大麻騒動などの一連の角界不祥事の責任を負い、自ら理事長職を辞した印象がある。しかし実情としては、在任末期には理事会で堂々と退任要求を突きつけられるなどのクーデターに遭い、石もて追われるような引き際であった。
そして今回の貴乃花親方の造反劇を裏で操っているのが、己を追い出した現行の理事会に強い恨みを持つ前理事長…という噂が今流れている。クーデターに破れた者が、クーデター返しを目論む−−。本当ならば初場所の大相撲に水を差す“泥試合”であるが、真相が明るみになる日は来るのだろうか…。