トリガーは約1万5000冊以上の蔵書タイトルの中から、マンガを読みながら、お酒や軽食が楽しめカフェ風サロンとなっている。しかし、ただマンガを大量に置いているカフェという訳ではない。同サロンで重視していることは、今まで知らなかった運命の一冊への出会いの“きっかけ”とのこと。
マンガHONZのレビュワーで、同サロンの責任者でもある、株式会社サーチフィールドの小林琢磨社長は「まず、このサロンで特徴的なことなのが、(各マンガを)3巻までしか置かないんです。マンガ喫茶というのは読みたいマンガを読みに行く場所ですが、トリガーは知らないマンガに出会える場所にしたいのです」と語る。その作品との出会いを、より良いものとしてもらうため、同サロンでは数名の専属のマンガコンシェルジュが常駐しているとのこと。どのマンガを読んで良いかわからないという人は、コンシェルジュに頼めば利用者の要望に合うマンガをセレクトしてくれるそうだ。
3巻までしか置かないということで、同サロンのマンガ冊数は、普通のマンガ喫茶とほぼ変わらないが、“作品数”となると、約4000タイトルもあり、どこのマンガ喫茶よりも圧倒的に置いている点数が多いという。小林氏によると、この3巻までというのは、重要な意味を持っているそう。ちょうどカフェを楽しみながら読める長さであることに加え、その作品を読んだことをきっかけに、読者が全巻買う可能性もあるからだ。小林氏は、この方法で、サロンのみならず、マンガ業界全体の盛り上がりを狙っている。ちなみに、この各作品3巻までを置くという方法は、あの堀江氏も良い方法だと褒めたらしい。
さらに小林氏は同サロンをマンガ業界のキーマンにしたいと語り、「トリガーを作ったのって、本質をいってしまうと、ここを飲食店ではなく、メディアにしたいと思っているんですね」と大きな目標を明かした。オープン後は、マンガにまつわる各種のイベント展開や、そのイベントの様子を伝える、動画配信なども計画しているそうだ。
また、サロンで提供されるメニューもユニークだ。軽食には「上官の食料庫から盗んできた肉(肉団子)」、「花の『シャケトー』(シャケトースト)」、「プロシュートの兄貴(生ハム)」など、マンガ作品にちなんだ名前が付けられている。飲み物も同様に「神の雫・白(白ワイン)」、「燃えろ俺の小宇宙!(モスコミュール)」などの名前が並ぶ。元ネタがわからない人はコンシェルジュにモチーフとなった作品名を聞いて盛り上がるのも面白いかもしれない。他にも、蔵書の中には、手塚治虫の『火の鳥』オリジナル復刻版、水木しげるの『幻想と怪奇』などの希少本もあるため、貴重なマンガ本に興味がある人も注目だ。(斎藤雅道)