PRIDEの舞台で数々の名勝負を繰り広げてきた吉田が、戦極という新たな戦場に進化した姿で復活する。
この日の会見にはWVRの木下直哉代表が出席。吉田の対戦相手としてバーネットが決定したことを発表。さらには大事な旗上げのメーンを吉田VSバーネットに託すという。木下代表は「吉田選手からはとにかく強い選手を、と言われてきた。歴史に残るような試合をしてほしい」と期待を寄せた。
吉田の対戦相手に決定したバーネットといえば、2002年3月に王者ランディ・クートゥアをTKOで破り、最年少でUFC世界ヘビー級王座を獲得したのを皮切りに、03年にはパンクラスで近藤有己を下し、キング・オブ・パンクス無差別級王座を獲得。06年にはPRIDE無差別級GPで準優勝するなど、総合格闘技界の“金メダリスト”だ。1992年のバルセロナ五輪柔道78kg級金メダリストの吉田とはいえ、かなりの難敵と相対することになった。
しかし、2006年の大みそか「PRIDE男祭り」でジェームス・トンプソンにTKO負けして以来、およそ1年2カ月間の充電期間で吉田は進化を遂げている。
今年1月からはボクシングWBA世界スーパーフライ級、同バンタム級の2階級を制した戸高秀樹のジムに週3回通いパンチのトレーニングを行っている。さらにスポーツジムでトレーナーの指導の下、筋力アップを図るなど打撃と筋力をパワーアップしているという。
五輪を制した柔道仕込みの寝技に加え、パンチの強化、筋力アップと新たな武器を手に入れた吉田。自らの成長に手応えを感じているのか「打ち合い?それもあるかも」とニヤリ。パンチ力には定評のあるバーネットを相手に、真っ向から打撃戦を望む構えだ。また、吉田103kgに対し、バーネット117kgの体格差にも「気にならない」と自信満々に言い放つ。
吉田は「あくまでも挑戦者の気持ちで」「勝敗にはこだわらない」などと殊勝な言葉を放つ一方で「すさまじい試合ができればいいかな。ファンの皆さまに、心に残る試合を見せたい」。その口調からはバーネット狩りの手応えを感じさせた。
バーネットとはかつて共に汗を流した練習仲間でもある。互いの手の打ちを知り尽くした者同士の一戦だけに、吉田が新たに手に入れた武器が勝敗を分けるカギになりそうだ。