48歳の女は18日、豊田市役所でカバンの中に忍ばせていた刃渡り16.4センチの包丁を出し、窓口にいた男性職員に対し、「税金が払えないから私を殺して」などと叫んだ。職員が包丁を取り上げ通報し、女は銃刀法違反の疑いで逮捕された。
凶行の理由は何だったのか。女は取り調べに対し、「税金を滞納し、このままだと財産の差し押さえをすると言われ、死ねと言ってるのかと思った」と供述している様子。女は定職についておらず、アルバイトとして生活しているため、税金の支払いに四苦八苦していたようだ。
このニュースに、ネットユーザーからは「税金が高すぎるし、払えないから差し押さえると脅されればこういうことになりかねない」「貧しくて働いても働いても給料が安く生活が苦しいのに『差し押さえるぞ』と平気で通知を出す。こういう人が増えるのではないか」「女の行動は論外だけど、強制差し押さえをチラつかせるのはやりすぎだ」「国の税金回収は反社会的勢力よりひどい。気持ちはわかる」と、女に同情的な声が上がる。
一方で、「差し押さえになるのはよっぽどのこと。滞納期間があり、警告もしていたはず。少しでも払えばなんとかなる部分もあったのでは」「自己破産などいろいろな手立てがあったはずだ」など、女が短絡的に包丁で乗り込んだことに疑問を呈する声も。
また、「国はこういう苦労している人から税金を巻き上げて、無駄なことに使いすぎだ」「苦しんでいる人から税金をむしり取っていることを自覚するべきだ」「しっかりと使い道を国民に説明するべきだ」という声が上がった。
女の行動は犯罪だが、「お金がないのに税金の支払いを督促されたうえ、差し押さえをチラつかされ殺してほしいと思う」という心理は理解できるもの。納税は国民の義務ではあるものの、生活困窮者に強制支払いを迫ることについては批判がある。
今後、同様の事件が増えかねない日本社会。税金を巻き上げれば良いという短絡的な発想の前に、公務員や議員の給与、そして無駄遣いを徹底的になくしていくことにも着手するべきだ。
文 神代恭介