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松井秀喜 来季もヤンキース残留

 ゴジラはニューヨークに残留。契約切れを機にニューヨーク・ヤンキースから放出されるのではないか、と去就が注目されていた松井秀喜(35)が結局残留で一件落着となった。この結果、日本復帰→阪神タイガース入り説は完全に消えた。

 「こんな日は素直に喜びたい。そう滅多にあることではないからね」
 ライバルのレッドソックス戦(23日)で22、23号と2本のホームランを立て続けに放った松井秀は、試合後のインタビューで本当に嬉しそうに話した。そして27日(日本時間28日)の時点で、チーム127試合で71打点をマークするなど、100打点到達も視界良好となり、松井の表情はそれまでのモヤモヤが吹っ切れたように明るくなっている。
 ヤンキースの担当記者が語る。
 「そうでしょう。松井は、今シーズン限りで放出される、とずっと言われてきたし、本人も一度は退団を覚悟したんですが、ここにきて人が変わったように打ち始め、ヤンキース側も、残留を決めたようです。最後は松井のエージェント(代理人)とヤンキースの話し合いで答えが出たようだ」
 マルチ契約を結んでいる大リーガーは、契約最終年になって次の契約で動くことはない。最低でもその前年に代理人が次の契約を取るためにかけずり回っている。

 松井の場合もそうだ。「松井の代理人はとっくの昔に行動しています。聞いたところでは、松井を高く評価していたトーリ監督がヤンキースを辞めてドジャースの監督に転身したときから、松井のドジャース移籍を警戒して代理人がヤンキースと話し合いを持っていたそうです」。大リーグ通の話である。「松井の場合、故障を抱え、ヒザを手術したりしているから、代理人はかなり頑張ったと思う」とも。
 ヤンキースが松井の限界を見越し、シーズン中に他チームとトレード交渉したことは事実である。それも指名打者に弱点を持つア・リーグ球団が相手だった。同じリーグでも東地区のヤンキースと対戦が少ない西地区のチームに声をかけたという。
 同時進行で松井秀の代理人とヤンキースが会談を重ねていた。ヤンキースが松井と再契約に傾いた理由には5つの要素があった。

(1) 打点が多く勝負強い
(2) 野球をよく知っている
(3) 首脳陣批判をしない
(4) チームメートとうまくやる
(5) 地元の日系人から絶対の人気があるし、日本からのファンも多い

 そして残留の決め手になったのは「現在の松井秀では複数年契約をする他球団はない。体の状態、年齢から来季は1年契約となる。年俸も当然抑えられるし、それならば使う価値がある」(担当記者)となる。
 大リーグではどんな大選手でも晩年は1年契約を交わしながらいくつもの球団を渡り歩くことが多い。その点は考え方がドライである。そしてオファーがない場合に日本の球団に声をかけるというやり方が相場となっている。
 ただ注目しておかなければならないのは8月31日のトレード。この日は優勝争いしているチームが最後の補強を行う最終日で、午前零時までトレード可能だ。“フラッグ(優勝旗)トレード”と呼ばれる。選手がもっとも神経過敏になる日だが現在の松井秀の活躍を見れば、この最終大逆転はないだろう。

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