search
とじる
トップ > スポーツ > 笑う真弓に泣く星野─再逆転の可能性は?

笑う真弓に泣く星野─再逆転の可能性は?

 笑う人あれば、陰で泣く人あり─。85年の日本一猛虎打線をほうふつとさせる、巨人の一発打線を圧倒する阪神のすさまじい破壊力。日本一の時には斬り込み隊長の1番バッターとして大活躍、今季は5年ぶりにリーグ優勝へサイ配をふるう真弓明信監督。チーム低迷時には「2年契約の切れる今季限り」とウワサされていたのに、今や手のひら返しで坂井オーナーからも続投を要請されている。

 地獄から天国へ、笑う真弓監督。対照的なのが星野仙一オーナー付きシニアディレクターだ。真弓監督が今季限りとささやかれていた時には、「来季、星野監督復帰」情報がスポーツ紙にデカデカと掲載され、星野氏本人もすっかりその気。「もう一度、監督として勝負したい」と講演会やラジオ番組などで強烈アピールしていた。が、今や誰も星野氏の監督復帰など話題にしない。こちらは天国から地獄へで、泣く人だ。
 「勝てば官軍、負ければ賊軍」というのは、勝負の世界の鉄則だ。が、同時に「勝負の世界、一寸先はヤミだ」というのも、これまたプロ野球界の定説だ。
 現状では、笑う真弓に泣く星野。この立場が再逆転する可能性があるのだ。阪神OBの一人がこう語る。
 「2年前の岡田を見てみろ。大独走V間違いなしと言われて、岡田もすっかりその気になっていたら、チームが急失速して、巨人に大逆転を許し、引責辞任するしかなくなった。今はオリックスの監督をやっている。真弓だって浮かれていたら、大どんでん返しがあるぞ」と。
 確かにその恐れはある。猛虎復活に阪神ファンは5年ぶりの優勝を確信して、連日、真夏の虎祭り騒ぎだが、もし巨人にリーグ4連覇を許せば、その反動は計り知れないだろう。「惜しかった。よくやった」とならないのは、2年前の岡田監督の引責辞任を見れば、よくわかる。
 「優勝すれば、新たに2年契約を期待できる。が、優勝できなければ、岡田の二の舞で引責辞任とまでいかなくても、真弓は来季1年間限定の続投になるだろう。来年が正念場になる。星野の現場復帰のチャンスはまだ残る」と、前出の阪神OBがこう予測する。
 阪神のオーナー付きシニアディレクターという立場上、「巨人・原頑張れ」と表立ってエールを送れない星野氏だが、内心では巨人・原監督にカツを入れたいところだろう。それだけの貸しがあるのも事実だからだ。

 1年目の02年、日本一になりながらフロント首脳との衝突で第一次政権がわずか2年間の短命で終わった原監督を励ましたのは、18年ぶりに阪神を優勝させた星野監督だった。
「読売はひどいことをする。まだ若いんだから、もう一度、早くグランドへ戻ってこい」と激励。甲子園での阪神対巨人最終戦後のセレモニーで、原監督を抱きかかえ、送別する異例のパフォーマンスを演じ、原監督が感激の涙を流している。
 それだけではない。原監督がポスト堀内としてわずか2年間のブランクで巨人に復帰できたのも、星野氏のおかげだ。大本命は星野氏だったのに、巨人大物OB、阪神ファンの猛烈な反対運動が起こり、星野氏が泣く泣く巨人監督を断念したからだ。原監督が世界一の監督になったWBCもそうだ。北京五輪で惨敗した星野監督の続投が既定路線になっていたのに、イチローらの反対で辞退せざるを得なくなり、緊急代役で原監督が指名されたのだ。
 星野氏のおかげで現在があると言っていい巨人・原監督が恩返しをして、阪神・真弓監督を破るかどうか。笑う真弓、泣く星野の立場がもう一度、入れ替わるかどうか。キーマンは意外にも巨人・原監督と言える。

関連記事


スポーツ→

 

特集

関連ニュース

ピックアップ

新着ニュース→

もっと見る→

スポーツ→

もっと見る→

注目タグ