「岡田彰布監督の指揮官復帰も阪急側が積極的でした。現体制(阪神電鉄)だけに任せておけないと思ったのでしょう」(プロ野球解説者)
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阪急阪神ホールディングスが誕生したのは、2006年。すでに16年が経ち、2018年からは新入社員もホールディングスの一括採用となっており、
「阪神、阪急の隔たりはない」
と言い切る声も多く聞かれた。
しかし、タイガースの今後について、旧阪急出身者は「もう、黙って見ていられない」の心境になったようだ。
「矢野燿大前監督がキャンプイン前夜に退任表明をし、大混乱となりました。胴上げのリハーサル、ホームランを打つと玩具のメダルを首に掛けたり…。それでも、優勝できたのなら口は出しませんでした」(球界関係者)
阪急出身者が球団トップになったからと言って、経営方針が変わるわけではない。だが、来年のペナントレース前半は“要注意”である。前出のプロ野球解説者がこう言う。
「岡田監督は大山悠輔の一塁、佐藤輝明の三塁固定、中野拓夢の二塁コンバートなど、次々とチーム改造を進めています。でも、彼らは来年3月のWBCメンバーに選ばれる可能性が高く、強化合宿の期間を含め、キャンプ、オープン戦の時期はチームを留守にします」
主軸選手の長い不在期間も指しての発言だろう。岡田監督は開幕ダッシュにはこだわらないとも話している。
阪急出身者が入ってきても、勝ち星につながらないとなれば、旧阪神側のスタッフとの間に“亀裂が生じる”なんてことにならないだろうか。
“スロースタート”を予感させる情報はほかにもある。
12月12日の「新入団選手 発表会見」でのことだ。岡田監督を囲むようにして、新人7選手の記念撮影が行われた後だった。岡田監督は井坪陽生(関東第一)、戸井零士(天理)の両高卒野手に、
「鍛えた後の体付きをしとんな~」
と、話し掛けた。
普通に考えれば、井坪、戸井は二軍スタートであり、一年目は基礎体力の強化となる。しかし、岡田監督はオリックス指揮官時代の11年、高卒ルーキー・後藤駿太(現中日)を開幕スタメンに抜てきしている。当時とはチーム状況も異なるが、記者団が「井坪、戸井も一軍か?」と聞き直した。
新入団会見の和やかさ、リップサービスもあったと思うが、岡田監督は2月11、12日予定の全選手による紅白戦での起用を、「そらあるわな」と“約束”した。
「岡田監督は試合に出し続けることで若手を一人前にしてきました。若手を含め、大抜てきもありそう」(前出・球界関係者)
その大抜てきが勝敗に直結しない時期もある。18年ぶりのV奪回は「阪急色ウンヌン」ではなく、旧阪神、阪急が本当に統合されたのかどうかに懸かっている。(スポーツライター・飯山満)