五輪出場権を懸けた「アマチュアボクシング女子世界選手権」(中国・秦皇島)に、女子ボクシング・ミドル級でエントリーしたしずちゃん。5月14日の2回戦では、シャフトーザ・ニザモワ(ウズベキスタン)に3回1分54秒、レフェリーが試合を止めるRSC(レフェリーストップコンテスト)で勝利。だが、15日の3回戦ではアンドレア・シュトローマイヤー(ドイツ)に、1回1分56秒、3度目のダウンを喫し、RSCで敗れた。同大会でアジア最上位になることができなかったしずちゃんの出場権獲得はならなかった。
残された可能性はミドル級ではアジアに1枠だけ設定されていた推薦枠。これは国際ボクシング連盟(AIBA)の第三者委員会が選考するものだが、日本アマチュアボクシング連盟は、この申請を行っていないという。同枠を希望する場合は、1月16日までにIOC(国際オリンピック連盟)に申請する必要があったのだ。
5月17日、連盟の山根明会長は「連盟としては申請文書を受け取っていないので、申し込みができなかった。出発前に何の説明も聞いていない」と釈明。同時に「女子の五輪出場はなくなりました」と明言。これで、いちるの望みが残っていたしずちゃんの五輪出場は完全消滅した。
日本アマチュアボクシング連盟では今世界大会での五輪出場権の獲得方法について、日本側の認識と実態が違っていたことが、現地に行って初めて明らかになる失態もあった。AIBA側の説明不足もあったかもしれないが、日本アマチュアボクシング連盟の不手際、確認不足は反省すべきところ。
釈然としない形で幕を閉じたしずちゃんの五輪狂想曲。当の本人は「自分の中ではまだ闘いが終わっていない気がする。まだまだ強い人とやってみたい気持ち」と現役続行を希望しており、来年5月のアマチュアボクシング全日本実業団選手権への出場を視野に入れたもようだ。
(落合一郎)