−−『THE MANZAI 2012』までおよそ1か月。現在の心境は?
瀧上「なんにも考えないようにしてるんです。去年は、『M-1グランプリ』はこうだったから、『THE MANZAI』ではこうだ、とかを考えすぎちゃって、結局、箸にも棒にもかからなかったんで。ちゅうえいとは思春期のとき、高校から一緒なんですけど、こいつ、1回もニキビなんてできたことないのに、去年は落選ってわかった瞬間、ボッてできましたからね」
ちゅうえい「瞬間に、ね。ずっとネットで結果を見てて。俺たちの名前がないから、ちょっとクリックが早すぎたのかなぁとか思いながら、ゆっくりめにして(笑)。それでも、優勝戦にもワイルドカードにも、ない。ってわかった瞬間に、ボッて悪性のニキビが(笑)。今年はもう、あんな気持ちを味わいたくないから、考えないようにしてますね」
−−『爆笑オンエアバトル』では、破られることのない記録を保持していますが、好影響はありますか?
ちゅうえい「困るんですよ。僕らが歴代連勝記録のトップで、ひとつ下がタカトシさん。営業に行くと、舞台に出る前の紹介で、『オンエアバトルの連勝記録第1位。あのタカアンドトシよりもおもしろい、流れ星!』って言われるんです。キツイ」
瀧上「しかも、出囃子は『M-1』の♪ビーズカンカンカ〜ン♪で(※1)。俺らが夢にまで見た決勝のSEを、富山の営業先で聴くという(笑)」
ちゅうえい「もうひとつわからなかったのが、その営業先は東京03さんも一緒だったんですけど、彼らは『キングオブコント』の優勝者なのに、♪ビーズカンカンカ〜ン♪で出ていった」
瀧上「営業あるあるだね。地方の人はやたら、『M-1』のSEを使いたがる」
−−そんな記録が実証しているように、漫才師として安定しているという賞賛の声が多いです。素直にどう思いますか?
瀧上「恥ずかしいです。無茶苦茶な漫才やってるなぁぐらいの評価がいいですね」
ちゅうえい「もちろん、ありがたいんですけど、おもしろいって思われてるんなら、もっとテレビとか賞レースに出ていないといけないのにって意味で、僕は恥ずかしい。第一線で活躍してないのに、申し訳ないというか。ありがたいとふがいないの、両方かな」
瀧上「安定感があるとか、うまいとか言われると、ベテランになっちゃったなぁって感じますね。先輩に言われたんですよ、『たしかにうまくなったけど、昔のような危なっかしさが、ちゅうえいになくなった』って。“あしたのジョー”のジョーが、うまいボクシングを覚えてしまった、みたいな。ちょうど数日前、野生を取り戻そうって話を、相方としてたとこで」
ちゅうえい「安定より、人は不安定なもののほうが見たいですから。だから、今までやってきた土台を踏まえつつ、過去のいい部分を掘り起こしてみようかと、そんな話をしましたね。来年の目標は、自分たちを出せるネタをやる! なんで」
瀧上「人間力を出せる漫才を、ね」
ちゅうえい「あと、僕は衣装を変えたい。さわやかなのに。(現在の猫柄Tシャツから)犬に。…ここ、太字で、かっこ笑い」
瀧上「誰が笑うんだ。かっこ、誘い笑いだよ!」
(※1)Fatboy Slimが歌う「Because We Can」。芸人がセンターマイクに向かう際に流れた曲で、大会を象徴する音源となった。
【プロフィール】ちゅうえい(左) ‘78年7月生まれ。瀧上伸一郎 ‘78年12月生まれ、ともに岐阜県出身。2000年結成。浅井企画所属。トークライブ『痴話喧嘩』が12月17日(月)の19時〜、東京・渋谷シアターDで開催。info@theater-d.comでチケット受付中。
流れ星のブログ http://ameblo.jp/asai-nagareboshi/
瀧上のTwitter https://twitter.com/togashi1212
浅井企画の公式サイト http://www.asaikikaku.co.jp/
(この連載の次回更新は12月の最終週)