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大阪府警を舐めきった樋田脱走犯の“瀬戸内グルメ旅”

 「ここの土地は何が美味しいの? いま休職中で、この旅が終わったら復職する予定なんだ。上司も理解してくれていてね」

 脱走犯・樋田淳也容疑者(30)は立ち寄り先で地元の人に語り掛けていた。
8月12日に大阪府警富田林警察署から逃走し、48日目に山口県周南市の道の駅で逮捕された容疑者のこの予期せぬ行動に、警察は完全に裏をかかれていた。
犯罪者の逃亡というより、これじゃまるで優雅な“瀬戸内グルメ旅”だ。

 大阪をスポーツタイプの白い自転車で出発。8月23日には、広島県尾道市と愛媛県今治市を繋ぐ「しまなみ海道」を通って四国入りした様子が周辺の防犯カメラに写し出されていた。

 翌24日、容疑者は大胆な行動に出る。観光サイクリストを優遇する愛媛県庁を訪れて地図をもらい、〈日本一周中〉というプレートまで作ってもらっているのだ。

 25日、香川県観音寺市の道の駅に立ち寄り、ここで同じく「自転車日本一周」を目指していた男(44=占有離脱物横領容疑で逮捕)と知り合う。26日には、隣の三豊市の寺で2人が目撃されている。ともにお遍路の笠をかぶっており、「これだけで寺が無料で泊めてくれる」と話していたという。

 28日、2人は別行動をとることにし、樋田容疑者は30日に高知県田野町の道の駅や四万十町で目撃されている。この道の駅では、「ここら辺りのウナギは美味いね」と店員に話しかけている。

 その夜、同県須崎市の道の駅で警察官に職務質問を受けたが、偽名で答え、警察官が自転車の防犯登録番号の照会をしなかったため事なきを得た。

 9月1日に男と再び合流。愛媛県今治市の無人島・見近島に渡り、キャンプ場で2泊3日野宿。この無人島での生活を、「景色がよく、毎日潜ってアワビや牡蠣を採って食べて美味しかった」と、のちに広島県竹原市の道の駅で会った男性に話したという樋田容疑者。同市でも釣りをして魚を捌き、煮たり焼いたりして食べたと語っている。

 9月18日には、山口県周防大島町の道の駅に姿を見せた。支配人には、岩国市にある有名日本料理の店名を挙げ、「そこで食事をしてから、この道の駅の名前を聞いてきた」と話した。さらに、「どこか美味しいところ、ありませんか?」と聞き、支配人が地元のラーメン屋を教えると、すぐに行って「とても美味しかった」と感想を述べたという。ここでも連日、海で牡蠣などの貝やワカメ、魚を採って楽しみ、約1週間滞在。

 この他にも、行く先々の近隣住民たちから差し入れを受け、地元名産の「タコの炊き込み弁当」なども万引き。真夏の“グルメツアー”は、逮捕された山口県まで8府県、計1000キロ以上に及んだ。

 大阪府警は10月10日、樋田容疑者の逮捕時の所持品36点をホームページで公開したが、その中には携帯型テレビやDVDプレーヤーのほか、テント、ガスバーナー、バリカンなど比較的高価なものがずらりと並んだ。大阪府警は数万匹の苦虫を嚙み潰したようだろう。まったくもってふざけ切った逃亡犯だった。

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