社会
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社会 2016年05月04日 12時00分
補償はどうなる! 燃費詐欺 三菱自動車がゴールデンウィークも走っている(1)
「4年置きに不祥事なんて、オリンピックじゃあるまいし…。スリーダイヤの面汚しもいいところだ!」 三菱グループOBは怒り心頭だ。三菱自動車工業は2000年以降、五輪の開催年ごとに大きなスキャンダルを起こしてきたと言っていい。シドニー('00年)のときには凋落の原点となるリコール隠しが発覚。独ダイムラークライスラー(当時)傘下で再生を図っている最中の'04年にはアテネ五輪があり、分社化した三菱ふそうによるリコール隠しが明らかになった。'02年にこのことが原因の『横浜母子3人死傷事故(=大型トラックの左前輪が外れ、ベビーカーを押していた母子3人を直撃した事故)』など2件の死亡事故が発生したが、直後の“破綻危機”では三菱グループ各社に優先株を引き受けてもらうことで乗り切った。 北京五輪('08年)時はリーマン・ショックから業績が悪化し、ロンドン五輪('12年)の年は再びのリコール対応遅れで国土交通省から厳重注意を受けている。それ以前にも総会屋への利益供与事件(1997年)、巨額訴訟で話題になった米国三菱自動車セクハラ事件('96年)など、20年近くにわたって不正だらけの体質を自ら矯正できないまま今日に至っているのだ。 それでも再建を軌道に乗せるため金融支援で財務基盤を強化したり、軽自動車などに注力した結果、'13年には累積損失を解消している。 最近は円安の追い風もあって、'15年3月期の最終(当期)黒字は1181億円と過去最高を達成し、4000億円規模の手元資金を有するまでになった。 そして今年は五輪イヤー。まさかと思ったが、よくやく立ち直ったところで今回の不正発覚だ。主力の軽自動車で意図的に燃費性能を5〜10%高く見積もるという詐欺のような行為。同社製造の軽自動車の型式認証取得において、国交省へ提出した燃費試験データを不正な操作により改ざんしていたのである。 該当車は、同社が'13年6月から生産している『eKワゴン』『eKスペース』と日産自動車向けに供給している『デイズ』『デイズクルーズ』の4車種。他に『i-MiEV』でも道路運送車両法で定める方法とは異なる方法で燃費試験用データが測定されていた。『eKワゴン』を購入したオーナーの元には、ディーラーの営業マンから涙ながらのお詫びがあったという。 「昨年10月にマイナーチェンジした『eKワゴン』を購入しましたが、彼を責めるわけにもいかないけれどガックリです。決め手はやはり、カタログ値でスズキ『ワゴンR』の燃費を上回っていたから。ところが、使い始めると他社の軽より出足が悪く、燃費も伸びませんでした。カタログ値通りには走らないものだからとは思いましたが、こんな裏があったとは…。軽はリセールバリューも魅力の一つでしたが、それも期待できそうにないですね」(48歳・会社員) 下取り価格は、確かに目も当てられないだろう。都内近郊の中古車販売店店主も、今回の不正事件のとばっちりで愕然としている。 「報道を見て血の気が引きましたよ。『eKワゴン』は人気車種で、かなりの在庫があるのですが、このままでは売れ残る可能性が高い。赤字覚悟のバーゲンセールをやるしかないですね」 日産系のディーラーも迷惑顔だ。 「デイズは月販1〜2万台と軽の中でもかなりの人気車種ですが、店頭に並べていた車両はすべて撤去しました。販売停止はかなりの打撃ですが、それよりもお客様に申し訳なくて…。保障などの内容は未定ですが、とりあえず購入されたお客様には電話やメールで連絡を差し上げている最中です」(都内日産ディーラー)
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社会 2016年05月02日 14時00分
ミューラー本家に勝っちゃった『フランク三浦』の実力と人気
「北海道名物の『白い恋人』(石屋製菓)をもじって吉本興業が出した『面白い恋人』が販売差し止めを求めて提訴されたのは記憶に新しい('13年に吉本興業側が『面白い恋人』のパッケージデザインを変更することで和解)。最近では知的財産の理解が進み、国内のパクリ商品に対する意識は明らかに変わってきています」(全国紙社会部記者) 大阪は鶴橋生まれの『フランク三浦』も、そんなパロディー商品の一つだ。まず『フランク・ミュラー』と『フランク三浦』はどちらも腕時計のブランド。フランク・ミュラーはスイスの「天才時計職人」と呼ばれる有名人で、その時計の多くは100万円を超える。一方の『フランク三浦』は2012年に商標登録をとり、販売をしている大阪の会社。価格は4000円〜6000円。 「いわゆるパロディー商品だが、今回の経緯をいうと、特許庁が許可した『フランク三浦』の商標権登録(2012年)に『フランク・ミュラー』が異議を唱えた(2015年)。その結果取り消されたのだが、『フランク三浦』はこれが不服で知財高裁に訴えた(同年)。そして2016年4月12日、『三浦』側の勝訴とする判決が出たのです」(同) パロディー商品が本家に勝利するまさかの展開となった『フランク三浦』だが、実はこの時計、芸能界や野球界、歌舞伎界に至るまで愛好者は多い。関係者はこう話す。 「ディンクスの社長である下部良貴氏は元PL学園の野球部出身で、元ヤクルトの宮本慎也氏と同期。宮本氏が『フランク三浦』を気に入って、チームメイトや他の選手に勧めて野球界でブームとなった。そこから瞬く間に芸能界や歌舞伎界まで広まったんです」 しかし、その人気も作り手である本人たちにはやや予想外の展開だったようだ。 「『フランク三浦』自体、社長がノリで作ったもので、価格は3000円程度。社長も『ふざけて作っているだけで儲けなんてない』とボヤいていましたよ。しかし、裁判の結果には納得する部分もある。『フランク・ミュラー』の数字フォントはビザン数字と呼ばれる一般的なフォントですし、時計の形だってトノー型と呼ばれる、これまた一般的なものですからね。ただ以前、社長に聞いたら『何か言われたらすぐに辞める』と言っていたので、本人たちにとってまさかの勝訴だったと思います(笑)」(事情通) ユーモア、パロディーが分かる日本の裁判官もまんざら捨てたものではない。
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社会 2016年05月01日 16時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第17回
新潟県と福島県が水の分流を争ったドタバタ劇“只見川騒動”は、福島県が勝利した格好だったが、田中角栄は密かに「してやったり」であった。只見川の分流工事に伴う新潟県の道路整備という膨大な付加価値、権益を先読みしていたからである。 分流のためダム建設工事を請け負ったのは政府出資の電源開発株式会社(「電発」)で、昭和29年春からいよいよ突貫工事に着手した。高さ157メートルの巨大コンクリート壁の奥只見ダムを、前人未踏の秘境の地に造らなければならない。そのためには新潟県の上越線小出駅から湯文谷村の大湯温泉まで10キロの直線道路を造り、次いで22キロ先のダム建設地まで山また山をブチ抜いてトンネル道路を造る必要があった。ために、砂利、機材を運ぶための道路造りが先決だった。 田中のヒラメキは、まさにここにあった。「電発」はまず大湯温泉から先の22キロの道路造りから始めたが、その内、何と18キロが難工事のトンネル掘削工事であった。この工事で、いち早く新潟県民が潤った。当時の工事関係者の証言がある。 「この工事は当時のカネで40億円、新潟県始まって以来の大事業になった。奥只見には飯場が林立、新潟以外からも土木作業員が集められ、その数7000人を超えた。中で、特に北魚沼郡の農民は田んぼを耕しているよりよっぽどゼニになるということで、いっせいに作業員に“転向”してしまった。その後、北魚沼に土建業者が増えたのはその名残りだった。まぁ、この工事で札束がどんどん入ってくるもんだから皆すっかりアタマがおかしくなり、連日連夜、大湯温泉でドンチャン騒ぎをやる者が続出したもんです。一方で田中の長岡鉄道も、砂利、機材の運搬や独占販売で大もうけをしている。水で争い、道路をタダで造らせ、その上で誰もが潤う。田中のとんでもない頭の良さには、誰もが感心した」 田中のその超頭脳はまだまだこれに収まらず、さらに先を読んでいた。こちらは、地元記者のこんな証言となっている。 「道路を造るための用地買収は“割高”になる一方、道路ができるからその周辺の地価も当然ハネ上がる。また、豪雪地帯ゆえに除雪事業があり、トンネルは年中手当てをしていないと危険なゆえ補修事業も不可欠で、これが長らく公共事業として周辺住民および田中を潤すことにもなった。さらに、電発にとってダムがいざできてしまえば道路は不用になる。しかし、放っておけば道路補修から何まで、すべて自分のところでやらなきゃならない。カネが出るわ出るわで、やがて持て余し始めた。 田中のすごいところはここにもあり、今度は頃合いを見計らってこの工事専用道路の新潟県への払い下げを持ち掛けた。さらに、この道路を県道申請し、これも通してしまったんです。結局、県道編入ということになり、道路補修は全部県が面倒を見る形になり、補修の仕事でまた地元の土建業者も潤うという形になった。田中の発想は一石二鳥どころではなく“一石五鳥”くらいまでつながっている。タダ者ではないことが、よく分かる。こうして只見川騒動を契機とした形で、とりわけ南・北魚沼地方を中心に田中は“使える政治家”として認知を受けることなった」 田中におけるこうした道路と、以前にも触れた鉄道への誘導、敷設は、それまで閉ざされていた言わば光の当たらぬ所に住む者にとってはまさに僥倖、「現世利益」以外の何物でもなかった。一方で、政治家としての住民からの求心力は、この付与が何よりも強力であることを明らかにした。選挙について言えば、国家百年の大計へ向けて理想の旗を掲げる以上に、道路一本、鉄道一本などの「現世利益」の付与がはるかに効果があるということである。 こうした住民からの求心力は、やがて田中の選挙区〈新潟3区〉で実に会員数10万人を誇った空前絶後の最強の後援組織といわれた、かの有名な「越山会」として結実することになる。選挙のときは、この組織が巨大集票マシンとしてフル稼動する。後に、「越山会」最大の危機といわれた田中がロッキード事件一審実刑判決を受けた昭和58年12月の総選挙で、落選もあり得るとの報道の中、22万票という前代未聞の票を出し、その後、病いに倒れて国会登院一度もなしの同61年7月のそれでも18万という票を出してみせたのも、この組織の完璧な機能によるものだったのである。 田中は政治家にとって不可欠のこうした後援組織を、たった一代で築きあげた点が白眉であった。もとより、あらゆる組織というものは一朝一夕にはできない。田中もまた「現世利益」付与の一方で、文字通り地を這いずり回るような汗をかいている。組織とは、どう拡充していくものなのか。田中はそれを教えてくれる。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2016年05月01日 14時00分
爆買いツアー客消滅危機!? 中国政府窮余の関税大幅引き上げ策
中国人による爆買いツアーに黄信号が点滅し始めた。昨年まで絶好調だった大手百貨店や家電量販店に、軒並み急ブレーキがかかっているのだ。例えば、大丸松坂屋百貨店を運営するJ・フロントリテイリングは、このほど同店の今年3月の売り上げが対前年比マイナス7.2%と発表。さらに3カ月連続で前年実績を下回ったという。 「売り上げ減の理由としては昨年末に心斎橋店が改装工事に入り、売り場面積が4割減ったことも大きい。しかしやはり、いわゆる爆買いと称される中国人観光客のお客さま方の購入手法が、少し変わってきたこともあります。今まではありとあらゆる珍しい物、気に入った物を大量購入していたのですが、質や自分の趣向にあったものを吟味してジックリというふうに変わりつつあります」 同社広報担当者はこう分析し、さらに付け加えた。 「マイナスとはいえ仕方ない面もあります。というのも'14年から'15年夏頃にかけては、株バブルに連動した“超爆買い”とでも言うべき対前年比4倍、5倍の驚異的伸び率を示した店舗もありました。今は少し落ち着いての対前年比マイナス。全体的に堅調さは続いていると言えます」 同様に爆買いで売り上げを伸ばしてきた大手家電量販店は、日本の正月に当たる中国の春節(旧正月)時期の今年2月、売り上げを対前年比2割も減らしたという。やはりJフロント広報担当者が言うように、中国人観光客の買い物手法が“手当たり次第”から、品質重視や機能を比べて選ぶという側面が強くなったことがあるのだろう。 今年、日本政府観光局(JNTO)が発表した数値では、昨年の訪日外国人は1973万人と2000万人に迫る。この大台の数字は、JNTOでは2020年東京オリンピック時の目標としていたものだが、大幅に前倒しとなり、今年度中には突破しそうだ。 昨年急増の訪日外国人数の中で断トツのトップは、やはり爆買い中国人。前年比107%増の499万人だった。実はこの勢いは、今年に入っても衰えていない。JNTO調べでは今年1月、2月の中国人訪日数は97万3900人で、対前年比66.4%増と40万人近くも増加しているのだ。それなのに各小売店とも爆買いにブレーキとは、いったいどういうことなのか。中国ウオッチャーが言う。 「昨年の中国GDPが6.9%増と前年の7.3%から落ちたことが大きい。この数値は25年ぶりの悪さ。しかし、中国政府の公表数値も怪しいもの。実際、中国を訪れると、開発や建設が全般的に遅れていることが分かります。実際は4%台とも囁かれています」 その言葉もうなずける。昨年6月の上海市場大暴落により、中国企業の抱える債務はおよそ2000兆円にも上るといわれている。そのため中国政府は、慌てて景気回復策を矢継ぎ早に打ち出しているのだ。しかし、どれも焼け石に水的対策ばかり。国際経済アナリストが中身を解説する。 「その筆頭が日本での爆買い締め付け。中国政府は昨年秋、中国人約6億人に普及している中国の『銀聯カード(預金口座とひも付けられた決済用カード)』を使って海外で外貨を引き出す際の上限額を、今年1月1日から1枚当たり年間最高10万元(約170万円)までとの規制をかけた。以前は1日1万元(約17万円)まで引き出し可能だったから、使う人ならば数千万円も可能だった。それを大幅に締め付けたのです」 こうしたカード限度額使用規制の背景には、銀聯カードで政府幹部らが汚職で得た人民元の資金を海外で外貨に換えたり、資産家らが人民元安の進行を見込んで海外に資金を流出させたりするのを阻止する狙いもあったという。つまり、爆買いストップとマネーロンダリングの防止だ。この4月からは新たな爆買いストップ策も繰り出した。中国政府は、海外購入した商品を国内に持ち込む際に課す関税を引き上げたのだ。 「中国国内にだぶつく国産商品の消費を促す狙いがある。具体的には家電は20%から30%、高級腕時計やゴルフ用品は30%から60%引き上げられました」(財務省関係者) 前出のウオッチャーはこういぶかる。 「中国は自国経済がアップアップなのに、日本が中国人の爆買いで景気上昇することにイラついている面もある。しかし、これで爆買いにどこまでブレーキをかけられるかは、まだまだ不透明ですね」 実際、中国製と比較し、圧倒的品質を誇る日本製コンドームの中国人爆買いは依然、続いているという。 「小売店で需要がひっ迫して、製造が追い付かず今年に入っても出荷制限を掛けている状況です」(相模ゴム工業広報担当) 中国政府も、そこまではコントロール不能のようだ。
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社会 2016年04月30日 16時00分
チャームポイントは危険のサイン! ホクロの黒い真実とは
人間の体に必ずあるホクロ。位置によってはセクシーにも見えるので、チャームポイントとして捉えている人もいます。でも逆に、コンプレックスに感じている人もいます。 女性の中には、美容整形で取ってしまう人もいるほど。突然できたり、色が薄くなったり濃くなったりと、小さいのに大きな悩みの種にもなります。いったいホクロとは何なのでしょうか。 今回は、看護師の大木アンヌさんに、知っておくべきホクロの知識をお聞きしてきました。■ホクロの正体はメラニン 「ホクロは医学的に色素性母斑と言われ、原因はメラニン色素。表皮のもっとも下の層である基底層にあるメラノサイトが、紫外線などの影響を受けて活性化し、メラニンを作り出します。そのメラニンが集まってできるのがホクロです。ホクロには先天性と後天性のものがあり、後天性のものは年齢を重ねるごとに大きくなったり数が増えたりします。先天性のものも、悪性だったりすると大きくなる場合があります」■ホクロの原因は紫外線だけではない 「ホクロを作る大きな原因は紫外線。ですから増やしたくないのであれば、日焼け対策はしっかりと行う必要があります。しかし、原因はそれだけではありません。女性に多いのが、妊娠などのホルモンバランスの崩れによるもの。また、ストレスなども原因に。気になって触りすぎると、摩擦による刺激によって大きくなったり増えてしまうこともあるので注意が必要です」■ホクロのガンには要注意 「ホクロというのは良性腫瘍のことを指しています。しかし、中には悪性のものも存在します。それが、メラノーマ(悪性黒色腫)と言われるもの。いわゆるホクロのガンです。メラノーマは抗がん剤の効果が低いことで知られています。ですから、早期発見、早期治療が不可欠。特徴として、急に大きくなったり、形がいびつで左右非対称だったり、足裏にできやすいなどがあるので、そういった点を見極め、気付いたら早めに病院に行くようにしてください」 ホクロをチャームポイントだと言って、喜んでいられない状況もあるようです。急にできたホクロには注意が必要。まずは観察して、異変があるようなら早めの対処を心がけましょう。【取材協力】大木アンヌルーマニア人ハーフの看護師。家庭や恋人同士で使える簡単な医療の知識を少しでも伝えていくため、ライターとしても活動中。
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社会 2016年04月30日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 パナマ文書の本質
パナマ文書の流出が世界中に衝撃をもたらしている。パナマ文書というのは、タックスヘイブンへの法人設立を代行するパナマの法律事務所が過去40年間に行った取引の記録。その中に、イギリスのキャメロン首相やロシアのプーチン大統領の友人、中国の習近平主席の親族などが含まれていたのだ。 世界には、50以上のタックスヘイブンが存在し、そこでは所得税や法人税が無税、あるいは非常に低い水準に設定されている。貧しい国が企業を誘致するために、そうしたことをやっているというのが一般的な理解だろう。そのこと自体は正しいのだが、タックスヘイブンの問題は、富裕層が所得や資産を移して、節税や脱税をしているということだけではない。 タックスヘイブンの多くは、島しょ部にあり、かつて欧米列強の支配地域だったところだ。バミューダ諸島やケイマン諸島は、いまでも英国の海外領土だ。 タックスヘイブンは、英国系、米国系、欧州系の三つに分類されているが、それぞれ宗主国の金融市場と深く結びついている。そして、本国の金融市場の補完をしているのだ。 本国の金融市場は、まともな金融取引しかしない。言わば表の顔だ。しかし、金融市場には、“裏の顔”がある。表には絶対に出せないヤバい取引を任せているのが、タックスヘイブンなのだ。 つまり、ロンドンのシティやニューヨークのウォールストリートは、タックスヘイブンとセットで存在しているのだ。そして富裕層の資産を中心に、世界ではとてつもない規模の資金がこのタックスヘイブンに流れ込んでいる。 '11年に、ニコラス・ジャクソンの『タックスヘイブンの闇』という本がイギリスでベストセラーになった。この本によると、タックスヘイブンが保有する資産は、すべての銀行資産の半分、対外投資の3分の1にも達するという。しかも利用されるのは、単に課税逃れのためだけではない。富裕層がなぜ富裕層の暮らしを続けていられるのかと言えば、彼らが自分たちの資産を10%以上の利回りで運用しているからだ。 しかし、冷静に考えてみて欲しい。この低金利の世の中で、二桁の利回りが実現するはずがない。タックスヘイブンでは、あらゆる闇取引が行われているのだ。麻薬や売春で得た資金のロンダリング、テロリストとの兵器売買、企業の乗っ取り、商品投機、そして北朝鮮の核兵器開発の資金までが、タックスヘイブンで取引されているという。ヤバいカネには高い利回りがつくのだ。 だから、タックスヘイブンの利用者が非難されるべきは、単に課税を逃れているというだけでなく、カネを増やすためなら手段をまったく選ばないそのスタンスにある。 パナマ文書については、5月にもその全文が公開されるという情報もある。そうなると、日本の要人の名前も出てくるかもしれない。となれば、本当のカネの亡者が誰なのかが、白日の下にさらされる。 4月6日の記者会見で菅官房長官は日本政府として文書を調査する考えがないことを示している。しかし国会は、すべての議員にタックスヘイブンの利用の有無を調査すべきだろう。
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社会 2016年04月29日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第172回 いわゆる『国の借金』が130兆円減った!
IMF(国際通貨基金)が日本経済の成長率の見通しについて、2016年は+0.5%、'17年は▲0.1%に引き下げた。'17年の経済成長率についてマイナスと予測された先進国は、もちろんわが国のみである。 いよいよ消費税増税の見送りと、大々的な財政政策の拡大が必須の状況になってきたわけだが、例により、 「わが国は莫大な借金を抱えているため、消費税を増税するしかない。大規模財政政策の拡大もできない」 などと、間違った認識から逃れられない国民が少なくないため、本稿で“朗報”をお伝えしておこう。何と、日本政府の負債、いわゆる「国の借金」は、ピーク時と比べて130兆円以上も減っているのだ。しかも、130兆円の減少とは'15年末時点であるため、現在はさらに減っていること確実である。 いわゆる「国の借金」を130兆円超も減らしたのは、何を隠そう安倍政権なのである。安倍政権の経済政策は「国民が豊かになる」経世済民という点では、逆方向にまい進するタイプばかりだ。とはいえ、安倍政権発足後の「量的緩和」政策が、日本政府の実質的な負債を恐るべき勢いで減らしているのもまた、間違いのない事実なのである。 まずは基本を押さえてほしいのだが、わが国は「国家全体」として見ると、世界一のお金持ち国家だ。日本の民間、政府が保有する対外資産から対外負債を差し引いた対外純資産は、'14年末時点で366兆8560億円に達し、文句なしで世界最大だ。日本は国家として見れば、世界一のお金持ち国家なのである。 そのお金持ち国家日本の「中」において、政府が民間から借りているのが、いわゆる「国の借金」、正しくは「政府の負債」である。日本政府の負債について、「国の借金」あるいは「日本の借金」と呼ぶのは、明確な間違いだ。 そして、日本政府の「国内の民間」からの負債は1000兆円を超えており、確かに巨額ではあるのだが、100%日本円建てだ。なぜ、日本円建てなのかと言えば、わが国は「貯蓄過剰」を意味する経常収支黒字国で、政府は普通に日本円建てで資金調達可能であるためである。ついでに書いておくと、対外純資産とは経常収支黒字の蓄積になる(統計的にそうなっている)。わが国が世界一のお金持ち国家であるのは、長年、経常収支の黒字を続けてきたためだ。 ところで、日本政府は日本銀行という素晴らしい「子会社」を持っている。これは定性的な話ではなく、本当に日本銀行の株式の55%を日本政府が持っているのだ。日本政府は、日本銀行の親会社に該当する。 日本政府は子会社の日本銀行に日本円を発行させ、市中銀行などが保有する国債を買い取ることで、実質的に借金を返済することが可能なのだ。何しろ、親会社-子会社間のおカネの貸し借りは、連結決算で相殺されてしまう。別に、日本政府が日本銀行保有の国債について返済しても一向に構わないが、しなくても構わない。利払いも同様だ。いずれにせよ、連結決算で相殺となる。 現在、日本銀行は「量的緩和」政策を継続しており、年間の純増80兆円という驚異的とも言うべきペースで市中銀行から国債を買い取っている。もちろん、黒田日銀は「デフレ対策」として量的緩和を実施しているわけだが、現実の話として日本政府が過去におカネを借りる際に発行した借用証書(国債)の保有者が、民間銀行から日本銀行へと移っている。 下図(※本誌参照)の通り、日本政府が実質的に抱える負債、すなわち「日銀以外」が保有する国債・財投債・国庫短期証券は、'12年9月に731.3兆円でピークを打った。その後、黒田日銀が発足し、量的緩和政策が拡大したことで、'15年末には601.5兆円にまで減少した。すなわち、日本政府は子会社の日銀の国債を買い取らせることで、実質的な負債を130兆円も減らしてしまったのだ。 しかも、これはあくまで'15年末時点の数字だ。その後も量的緩和政策は継続しているため、日本政府の実質的な負債がさらに減っていることは疑いない。 ちなみに、この手の話をすると、 「日本銀行が保有している国債はどうするんだ! 結局は返済する必要があるはずだ!」 などと突っ込まれるわけだが、子会社から借りている負債など、日本滅亡の日まで放っておけばいい。いずれにせよ、連結決算で相殺される。 あるいは、どうしても日本銀行が「負債としての国債」を保有していることが気になるのであれば、償還期限が来たものから政府発行の「無利子無期限国債」と交換していけばいい。無利子、無期限の国債となれば、これは現金紙幣と同じになるため、さすがに「借金」扱いすることは不可能になる。 無論、日本銀行は売りオペレーション(国債を売却し、マネタリーベースを回収する)のために、ある程度の国債は保有していなければならない。とはいえ、現時点で日本国債の3割強が日本銀行に保有されている状況なのだ。さすがに、多過ぎる。 というわけで、日銀のオペレーションのために必要な分を残し、日銀保有国債は順次、無利子無期限国債と交換していけばいいのである。結果的に、日本政府の負債は実質的にはもちろん、名目的にも「消える」という話になる。 前述の通り、政府とは通貨を発行することが可能な存在なのだ。インフレ率が低迷している以上、日本政府には実質的に財政問題は存在しない。現実に、日銀の量的緩和政策の影響で、政府の実質的な負債は着実に減少していっている。 問題は「財政」ではなく「需要不足」であるという現実を、そろそろ日本国民や日本政府は認識するべき時期だ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2016年04月29日 10時00分
東京湾“イワシの内臓”が警告する環境ホルモンと精子激減の関連性
「海は、捨てられたプラスチックの袋小路」と表現する研究者もいるほど日本の海が危ない。 先頃、ゴミとして海に浮遊する5ミリ以下の大きさの微細なプラスチックが、東京湾のカタクチイワシの8割近くの内臓から検出された、と東京農工大の高田秀重教授らのチームが発表したが、これが人体に思わぬ影響を与える可能性があるという。 「高田教授は、この『マイクロプラスチック』という微細プラスチックは、人が食べても排出されるため直接的な影響はないとしている。しかし、東京湾の魚は日常的にプラスチックを食べていると見られ、長期的に見ると悪影響を及ぼすとの見方もあります」(健康ライター) 世界の海には5兆個の『マイクロプラスチック』が漂っていると言われているが、日本近海は特に汚染がひどい、との研究結果もあるという。問題は、プラスチックに付着した有害化学物質が人体に蓄積する恐れがあることだ。 ちなみに「マイクロ」というのは「100万分の1」を意味する言葉で、1マイクロ・メートルといえば100万分の1メートル、すなわち1000分の1ミリ・メートルのこと。 『ホスメック・クリニック』院長の三好基晴氏が言う。 「このプラスチックは、有害な化学物質を吸着しやすい性質があるのです。プラスチックを通じ海鳥などが体内に化学物質を取り込むわけですが、それらの中には、現在では使われなくなったPCB(ポリ塩化ビフェニル)や農薬のDDTなども含まれているのです」 しかも、これらPCBやDDT、さらにダイオキシンなど、環境の中にあって生物本来のホルモン作用を攪乱する環境ホルモンには、人間の精子を減らす働きがあるのだ。 「50年前、1ミリリットルあたり約1億1300万個だった人間の精子が、現在は4000〜5000万個にまで減少したという研究もある。環境ホルモンは体内において抗テストステロン作用を引き起こし、男性の生殖器能や性衝動を引き起こす作用さえ抑制する。早い話、草食系男子が増えたのは、これが原因とも言えるのです。しかも、環境ホルモンは体内で活性酸素を増やし、精子の主成分であるたんぱく質や卵子との結合に必要な酵素にも大きなダメージを与えることも分かっている。このままでは、人類が滅んでしまうとさえ言う研究者もいるほどです」(前出・健康ライター)
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社会 2016年04月28日 14時00分
乙武氏の妻を参院選担ぎ出し!? 逆風の安倍自民が画策
甘利明前経済再生担当相の金銭授受問題をめぐり、4月8日、東京地検特捜部がついに都市再生機構(UR)や関係建設会社などの強制捜査に乗り出したことで、安倍政権への逆風がますます強くなっている。 「夏の参院選に向けタイミングが悪過ぎる。宮崎謙介氏、参院選の目玉候補にするはずだった乙武洋匡氏の不倫とボディブローが効いています」(自民党幹部) そんな中、安倍政権内からは「この逆風を逆手にとる秘策がある」との声が聞こえてくるという。 自民党選対関係者が、こう耳打ちする。 「実は、乙武氏の妻の仁美さんをサプライズで擁立しようという案が急浮上しているんです。選対でも真剣に討議している最中ですよ」 乙武氏は昨年暮れに東京都教育委員を辞任したことから、「自民党が参院選の目玉候補にするのは確実」とされ、近々に出馬表明が行われる予定だった。しかし、そこに炸裂したのが週刊新潮(3月31日号)に掲載された5人の女性との不倫記事。結果、出馬は見送りとなったのだが、一躍クローズアップされたのが仁美さんだ。 不倫報道後の4月5日、自身の誕生日パーティーにおいて乙武氏は涙を浮かべながら謝罪。その一方で同席した仁美さんは、周囲を和ませパーティーを陰で盛り上げていたという。 「仁美さんが立派なのは、会の最後に登壇した挨拶。最後まで夫をかばい、『やはり私にも責任の一端はあります』と家族として再出発を誓ったのです。これには出席者一同、妻に免じて乙武氏を許そうという気持ちになった」(夕刊紙記者) その場の様子を知った自民党関係者は、こう話したという。 「乙武氏は使えなくても、あの場でユーモアを交え堂々と話せる仁美さんはいける。障害者の夫の苦労を語り、好意的に受け取られた。出馬が決まったSPEEDの今井絵理子氏は、恋人の件(風俗店経営時代の逮捕歴が発覚)があるからアテにならないが、彼女なら当確だろう。甘利問題も“乙武の妻”を担ぎ出せば注目も薄まる」 秘策はいつ打ち出されるのか。
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社会 2016年04月28日 10時00分
専門家が警鐘! 熊本震度7は南海トラフ巨大地震の前兆現象!(3)
地震調査研究推進本部はこの巨大地震について、「関東大震災などのように、相模湾から房総半島南東沖にかけてのプレート境界付近で発生する地震によって、伊豆諸島の北部を中心に強い揺れや津波による被害を受けたことはあります。しかし、この伊豆・小笠原海溝付近では、M8クラスの巨大地震の発生は知られていない」と問題にしていない。しかし一方、「歴史を紐解くと、1605年に発生した慶長地震(M7.9)は震源が伊豆・小笠原諸島ではないか」との見方を示す地震学者もいる。 「地震学の世界では、慶長地震について房総沖と徳島県沖のどちらか二つが震源とされている。ただし、詳細なデータが残っていない中、専門家の間では、これとは別に伊豆・小笠原が震源域ではないかと囁かれ出しているのです。このときは、八丈島や和歌山が津波による被害を受けている。もし、伊豆・小笠原諸島で地震が発生した場合、地震動そのものはフィリピン海プレートで吸収されてしまうため、本州では揺れはさほどでもないと考えられるが、問題は津波。フィリピン海プレートは薄くて跳ね返りやすいために、広範囲に渡り被害が出ると見られています。事実、30メートル級の津波を予測している地域もあるほどです」(前出・サイエンスライター) 南海トラフを中心に、南は日向灘、北は伊豆・小笠原諸島で危険が高まる巨大地震。今回の地震では、さらに阿蘇山の巨大噴火についても懸念されている。 火山噴火予知連絡会の副会長を務める九州大学の清水洋教授は、「震源の位置を詳しく解析しないとはっきりしたことは分からないが、昨日(4月15日)までの地震活動と比べると、阿蘇山のかなり近い場所で規模の大きな地震が発生しているため、火山活動に影響がないとは言い切れない状況にある」と語っている。 「日向灘からのプレッシャーでマグマ溜まりが押し上げられている。今回の地震が阿蘇山への影響がないとは言い切れない。大丈夫とは思うが、しばらくは警戒した方がよさそうです」 こう話す前出の木村氏が最も心配するのは、“ケタ違いの噴火”だという。 阿蘇山では、30万年前から9万年前までの間に、四度のカルデラ噴火(破局噴火)が発生している。特に9万年前の噴火は日本のカルデラ噴火としては最大級のものだ。放出したマグマは600立方キロメートル以上に達し、その量は江戸時代の富士山宝永噴火の1000回分に当たるとされる。 「破局噴火は、地下のマグマが急激に地上に噴出して壊滅的な被害を生む。直近のものは屋久島近辺で約7300年前に起きた鬼界カルデラ噴火ですが、この時に南九州の縄文文化が一度滅び、しばらくして別の文化を持った縄文人が入ってきたという見方もある。つまり、地形、文化までをも変えてしまうほどの破壊力を持っているのです」(前出・サイエンスライター) 神戸大大学院理学研究科の巽好幸教授(マグマ学)などは以前、日本で起こりうるカルデラ噴火について、100年以内に1%の確率で発生し、最悪の場合は日本の総人口にほぼ匹敵する約1億2000万人が死亡すると試算していた。こうした研究結果を発表した当時は冷ややかな目もあったが、布田川断層帯の北東端が阿蘇山のカルデラまで伸びていることが分かった今、否定できるのだろうか。 日本の天変地異史上に深い傷跡を残した「熊本地震」。さらなる巨大地震と噴火の引き金にならないことを祈るばかりだ。
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