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補償はどうなる! 燃費詐欺 三菱自動車がゴールデンウィークも走っている(1)

 「4年置きに不祥事なんて、オリンピックじゃあるまいし…。スリーダイヤの面汚しもいいところだ!」
 三菱グループOBは怒り心頭だ。三菱自動車工業は2000年以降、五輪の開催年ごとに大きなスキャンダルを起こしてきたと言っていい。シドニー('00年)のときには凋落の原点となるリコール隠しが発覚。独ダイムラークライスラー(当時)傘下で再生を図っている最中の'04年にはアテネ五輪があり、分社化した三菱ふそうによるリコール隠しが明らかになった。'02年にこのことが原因の『横浜母子3人死傷事故(=大型トラックの左前輪が外れ、ベビーカーを押していた母子3人を直撃した事故)』など2件の死亡事故が発生したが、直後の“破綻危機”では三菱グループ各社に優先株を引き受けてもらうことで乗り切った。
 北京五輪('08年)時はリーマン・ショックから業績が悪化し、ロンドン五輪('12年)の年は再びのリコール対応遅れで国土交通省から厳重注意を受けている。それ以前にも総会屋への利益供与事件(1997年)、巨額訴訟で話題になった米国三菱自動車セクハラ事件('96年)など、20年近くにわたって不正だらけの体質を自ら矯正できないまま今日に至っているのだ。

 それでも再建を軌道に乗せるため金融支援で財務基盤を強化したり、軽自動車などに注力した結果、'13年には累積損失を解消している。
 最近は円安の追い風もあって、'15年3月期の最終(当期)黒字は1181億円と過去最高を達成し、4000億円規模の手元資金を有するまでになった。
 そして今年は五輪イヤー。まさかと思ったが、よくやく立ち直ったところで今回の不正発覚だ。主力の軽自動車で意図的に燃費性能を5〜10%高く見積もるという詐欺のような行為。同社製造の軽自動車の型式認証取得において、国交省へ提出した燃費試験データを不正な操作により改ざんしていたのである。

 該当車は、同社が'13年6月から生産している『eKワゴン』『eKスペース』と日産自動車向けに供給している『デイズ』『デイズクルーズ』の4車種。他に『i-MiEV』でも道路運送車両法で定める方法とは異なる方法で燃費試験用データが測定されていた。『eKワゴン』を購入したオーナーの元には、ディーラーの営業マンから涙ながらのお詫びがあったという。
 「昨年10月にマイナーチェンジした『eKワゴン』を購入しましたが、彼を責めるわけにもいかないけれどガックリです。決め手はやはり、カタログ値でスズキ『ワゴンR』の燃費を上回っていたから。ところが、使い始めると他社の軽より出足が悪く、燃費も伸びませんでした。カタログ値通りには走らないものだからとは思いましたが、こんな裏があったとは…。軽はリセールバリューも魅力の一つでしたが、それも期待できそうにないですね」(48歳・会社員)

 下取り価格は、確かに目も当てられないだろう。都内近郊の中古車販売店店主も、今回の不正事件のとばっちりで愕然としている。
 「報道を見て血の気が引きましたよ。『eKワゴン』は人気車種で、かなりの在庫があるのですが、このままでは売れ残る可能性が高い。赤字覚悟のバーゲンセールをやるしかないですね」

 日産系のディーラーも迷惑顔だ。
 「デイズは月販1〜2万台と軽の中でもかなりの人気車種ですが、店頭に並べていた車両はすべて撤去しました。販売停止はかなりの打撃ですが、それよりもお客様に申し訳なくて…。保障などの内容は未定ですが、とりあえず購入されたお客様には電話やメールで連絡を差し上げている最中です」(都内日産ディーラー)

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