社会
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社会 2017年04月25日 10時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第219回 緊迫の北朝鮮危機
この号が発売されるころには事態が大きく動いているかもしれないが、北朝鮮危機が緊迫している。本稿執筆時点で、アメリカは原子力空母カールビンソンを主力とする空母打撃群を朝鮮半島に向けて航行させている。 日本経済新聞は4月12日に《北朝鮮攻撃なら事前協議 米、日本政府と確認》というセンセーショナルな見出しの記事を報じた。アメリカが軍事行動に踏み切る場合、日本政府が事前協議をすることを要請し、米側も応じる意向を示したとのことである。 またロイター通信によると、海上自衛隊は朝鮮半島の近海に向けて航行中の米空母カールビンソンと共同訓練を検討しているとのことである。「戦闘」のリスクが高まっている海域で、海上自衛隊がアメリカ海軍と共同訓練を実施する。時代は、大きく変わりつつある。 北朝鮮の核・ミサイル危機は、もともと“デッドライン”がある話であった。アメリカは北朝鮮が「核の小型化」に成功するか、もしくは北米大陸まで届く大陸間弾道弾を開発することは、絶対に許さない。その「前」の時点で、アメリカは確実に北朝鮮に対する軍事行動を起こすはずだ。 アメリカが北朝鮮をミサイル攻撃、あるいは爆撃した場合、北朝鮮軍はソウルに砲弾の雨を降らせる可能性が高い。何しろ、ソウルと国境は40キロしか離れていないのだ。ソウルに長射程砲の弾丸が降り注ぐと、万単位の死者、数十万単位の負傷者が出るのは確実と考えられている。 それでも、アメリカは北朝鮮に対する軍事的圧力を強めている。将来的に、北朝鮮がアメリカにまで届く核ミサイルを保有するリスクと、今、ソウルを砲撃されるリスクを比較し、前者の方が「重い」と判断したのではないだろうか。 また、今回の北朝鮮危機の深刻化には、中国国内の事情も絡んでいる。多くの日本国民が勘違いをしているが、中国は決して「一枚岩」ではない。中国指導部は現在、「習近平派」と「江沢民派(上海派、吉林閥)」の二つに分裂した状況にある。 中国共産党序列3位の張徳江、5位の劉雲山、7位の張高麗の3人は、江沢民派に属している。彼らこそが、軍閥で言えば北部戦区(旧、瀋陽軍区)を「領有」し、北朝鮮や金正恩の後ろ盾になっているのだ。 北朝鮮の生命線と化し、石油や食料を輸出しているのは、中国というよりは北部戦区なのである。北京政府が北朝鮮への「禁輸」を実施しても、ほとんど効果が見られないのは、北部戦区が「隠密輸出」をしているためなのだ。 習近平は2016年の軍改革の際に、瀋陽軍区を北京軍区と合併させ、コントロール下に置こうとしたが失敗に終わった。むしろ、瀋陽軍区は内モンゴル地区や山東半島を取り込み、北部戦区として巨大化してしまい、北朝鮮との結び付きをますます強めた。 4月6日からフロリダで行われた米中首脳会談において、トランプ大統領が習近平に「北朝鮮を自制させよ」と圧力をかけたのは確実だ。とはいえ、習近平には北朝鮮を「抑え込む」力など端からないのである。 また、'14年に失脚した周永康(江沢民派)の罪状の中には、「北朝鮮に対する機密漏洩罪」があったという報道が流れている。 香港紙「東方日報」によると、'13年に処刑された張成沢(金正恩の叔父にあたる)が、'12年に胡錦濤に面会した際に、 「金正日の跡継ぎは、金正恩ではなく、中国寄りで改革開放を進めるであろう金正男にさせるべきだ」 と語っていたことを、北朝鮮に密告したとのことである。 周永康の機密漏洩が事実だったとすると、なぜ金正恩が'13年に叔父の張成沢を残酷に処刑したのか、さらには今年の2月に金正男をマレーシアで暗殺したのかが、ようやく理解できる。張成沢を排除しても、金正男が中国(北京政府)に保護されている限り、金正恩は中国主導の「クーデター」という恐怖に怯え続けなければならない。 金正恩は、中国指導部の「北部戦区と無関係な勢力」つまりは習近平らに対し、極度の不信感を持っていると思われる。よくよく考えてみれば、金正恩が北朝鮮のトップに就いて以降、いや習近平が国家主席になって以降、中朝首脳会談は行われていない。最後の中朝首脳会談は、胡錦濤と金正日の2人によるものであった。 しかも、4月10日に韓国を訪問した武大偉・朝鮮半島問題特別代表は、 「中国はいかなる場合でも北朝鮮の核保有国としての地位を認定せず、黙認しない」 と、発言。中国というより「北京政府」は、完全に北朝鮮「切り捨て」の方向に動いていると見て間違いないだろう。 その上、金正恩にはあまり時間が残されていない。何しろ、今年の秋の中国共産党第19回党代表大会で、習近平国家主席と李克強首相を除く、「江沢民派」を含む5人が、年齢的な理由(67歳が上限)で引退すると考えられているのだ。すなわち、中国共産党の党執行部から、張徳江ら北部戦区の支配者らが消え失せてしまう可能性が濃厚なのである。 北部戦区が習近平の手中に落ちると、金正恩は今度こそ「何の後ろ盾もない」状況でアメリカという世界最強の軍事力と直面することになる。 トランプ大統領は、4月11日に、 『North Korea is looking for trouble. If China decides to help, that would be great. If not, we will solve the problem without them! U.S.A.』 と、ツイート。とりあえず、中国の「対処」に期待し、もし中国が対処しない場合、アメリカは中国なしで問題を「解決」すると、アメリカ大統領が自ら宣言したわけだ。 そして、少なくとも中国の北京政府には、北朝鮮問題を解決に導く手段が(今のところ)存在しない。 大東亜戦争敗北から72年。日本国民が「お花畑的な平和」から目覚めなければならない日が訪れたようだ。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年04月24日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第218回 グローバリズムのトリニティ(後編)
グローバリズムのトリニティ(三位一体)。 グローバリズムは「自由貿易」「規制緩和」「緊縮財政」の三つがパッケージとなって推進される。緊縮財政、あるいは「財政破綻論」という基盤があるからこそ、自由貿易や規制緩和が説得力を帯びる。 かつて、わが国の公共事業の入札は「指名競争入札+談合」によって受注されるケースが多かった。現在の日本では、指名競争入札や談合が、あたかも「悪」であるかのごとき認識が広がっている。とはいえ、そもそも指名競争入札と談合の組み合わせは、自然災害大国である日本において、土木・建設事業者間の健全な競争を維持しつつ、公共インフラの品質を改善し、かつ「各地域に土木・建設業者を存続させる」ために編み出された“先人の知恵”なのだ。 偏見なしで「良識」に沿って考えてみれば、誰でも理解できる。世界屈指の自然災害大国であり、大震災までもが発生するわが国において、土木・建設業界を「完全市場競争」に委ねていいはずがない。市場競争に敗北した企業が片っ端から倒産していくと、「土木・建設業が存在しない地域」が増えていかざるを得ない(すでに、増えている)。 大震災とまではいかなくても、わが国は雨季(梅雨)があり、台風も繰り返し襲来する国なのである。水害、土砂災害は毎年、いずれかの地域で必ず発生している。 水害や土砂災害が起きたとき、真っ先に現場に駆け付け、被災者の救援やその後の復旧、復興事業に尽力してくれるのは誰だろうか。地元の土木・建設事業者である。 何しろ、土木・建設事業者には人材があり機材もある。そして、これは何よりも重要なのだが、地元の情報を知っている。自衛隊といえども、情報なしでは何もできない。 大規模自然災害は、いつ、どこで発生するか誰にも分からない。わが国では各地に確固たる供給能力を保有する土木・建設業界が存続しなければ、国民が生きられない。だからといって、業界に競争が存在せず、品質の劣化を招き、価格がひたすら上昇するのも問題だ。だからこそ、指名競争入札と談合の組み合わせなのである。 指名競争入札の場合、公共事業を受注した企業が結果を残せないのであれば指名から排除される。指名に残るために、各社は公共インフラの品質を高めるべく、別に行政側が目を光らせていなくても懸命に努力する。また、指名された業者間の競争も、当然存在する。 もっとも、指名業者間で「苛烈な競争」などとやってしまった日には、やはり敗者が生まれるのは避けがたい。業者が競争に敗北し、倒産もしくは廃業してしまうと、その地域から土木・建設業が消滅するという事態を招く。 というわけで、指名競争入札で競争や品質向上を確保しつつ、談合(話し合い)により仕事を分け合うというシステムが進化したのだ。指名競争入札と談合が組み合わさってこそ、わが国では各地に土木・建設業を「競争」「品質向上」を伴う形で残すことができるのである。 この日本型システムが「邪魔」な存在があった。もちろん、アメリカのベクテルに代表される外国の土木・建設業者だ。何しろ、指名競争入札や談合のシステムがある限り、外資系企業が日本の公共事業のプロジェクトを受注するのは不可能に近い。 「指名競争入札や談合のシステムは、自由貿易や市場競争に反している。指名競争入札は一般競争入札とし、談合は禁止するべきだ!」 という圧力が、1988年の日米建設協議以降、アメリカから継続的にかけられるようになった。結果、わが国の政府は「外国企業の参入等による国際化の進展、建設市場における公正な競争の確保の要請」に応じた制度改革を進めていった。すなわち、規制緩和だ。 合わせて国内の公共事業について、外国企業が落札しやすいように仕様書の英語化も進んだ。つまりは、自由貿易である(もちろん、アメリカ国内の公共事業について、日本企業が落札しやすいように、仕様書を日本語化してくれるはずはないのだが)。並行して、わが国では特に「談合」が、まるで悪の権化であるかのごとくたたかれるようになっていった。 談合が批判された主な理由は、 「談合により、公共事業の落札価格が不当に釣り上げられている」 というものだった。すでにして、日本国内には財政破綻論がまん延し、公共事業を「可能な限り安く実施する」という緊縮財政のコンセプトに沿った形で、談合が批判されていったのである。 無論、土木・建設企業が、不当に高い価格で公共事業を受注していたならば、それは問題だ。とはいえ、特に'97年の橋本緊縮財政以降は、とにかく「削減ありき」で公共事業予算が目の敵にされ、合わせて談合が「違法化」されていったのである。 揚げ句の果てに、2011年の東日本大震災の道路復旧、農地復旧の際の「受注調整」までもが、談合であると批判されている。非常事態において、復旧スピードを高めるため各社が話し合い、仕事を分担し合うことは「当たり前」だと思うのだが、わが国ではそうではないらしい。 緊縮財政による公共投資、公共事業の削減に加え、公共入札の一般競争入札化、談合の禁止と、立て続けの攻撃を受け、わが国の建設業許可業者数は、ピーク('99年度)の約60万社から、'15年度には47万社を割り込むまでに激減してしまった。 現在の日本は、すでに土木・建設業の業者不足、人手不足が深刻化する局面を迎えている。 ならば「外国企業」や「外国人労働者」に依存するしかない、という話になり、カネ(投資)やヒト(外国人労働者)の移動の自由化という自由貿易が進む。 実に、見事なスキームだとは思わないだろうか?みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年04月21日 14時00分
橋下徹前市長では通らなかった? 大阪市営地下鉄の民営化「可決」
先ごろ、大阪市議会本会議で、大阪市営地下鉄の民営化が大阪維新の会、自民党、公明党などの賛成多数で可決した。 地下鉄民営化は、大阪都構想、カジノ・万博誘致と並ぶ、維新の会の看板政策。税収アップや多角的経営と、大阪市にとって大きなメリットも期待されている。しかし、市営地下鉄はかつての赤字体質を解消、今や毎年黒字を出す優良事業だけに反対の声も大きく、橋下徹前市長時代には2度、否決されていた。 「しかし今回は、それまで反対の一辺倒だった自民党も、交通関連部署の新設などを含む12項目の修正を条件に賛成に回り、形勢は逆転したのです。市民団体も反対運動を起こすほどだったため、抵抗があると思っていましたが、意外にもすんなり決まりました」(市政記者) そのあっさりぶりの裏には、「市長が吉村(洋文)氏だったから」との見方が強いという。 自民党大阪府連の関係者がこんな話をする。 「共産党以外は、みんな地下鉄民営化の必要性は分かっていました。しかし、“橋下-松井一郎大阪府知事”の維新の会が達成したということにしたくなかったのです」 実際、市議会には大阪都構想でも「橋下の施策だから反対だ」といった考えが根強くあるという。 「その点、今の吉村氏は人の意見を聞くのが上手い。加えて、優しそうに見えてタフネゴシエーターですからね。吉村氏のリードがあったからこそ、可決にこぎつけたとも言えます。あのまま橋下市長が続いていたら、反対のままですよ」(前出・自民党府連の関係者) 結果的に吉村市長が“男を上げた”印象となり、維新の会内部では、「いつまでも橋下-松井の時代ではないだろう」の声も上がっているという。果たして今回の地下鉄民営化「可決」が、維新の会の次なる懸案、大阪都構想再チャレンジの成り行きにどう影響するか。
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社会 2017年04月21日 10時00分
人が動く! 人を動かす! 「田中角栄」侠(おとこ)の処世 第65回
腹心、二階堂進の反乱を抑えた田中角栄には、踵を接するように次の難題が忍び寄っていた。田中派のもう1人の幹部、竹下登の反乱であった。二階堂の反乱が、その引き金になった形でもあったのだった。 昭和60年1月、竹下を中心に、小沢一郎、梶山静六、羽田孜、あるいは竹下を先輩とする早稲田大学出身の小渕恵三、渡部恒三ら時の中堅、若手グループが、田中派内に勉強会とした「創政会」を立ち上げた。 背景には、まず最大派閥であるにもかかわらず、田中いわくの「駕籠に乗る人、担ぐ人、そのまたワラジを作る人」で、田中に世論のバッシングがあることから田中派から総裁候補を出せず、他派閥の同期が次々と大臣ポストを得る一方で“遠慮”をせざる得ないという不満が大きかった。田中が前面に出られぬなら、新しいリーダーのもとで田中派の実質的な再興を目指すべきだとの思いも重なったのである。 また、田中の信頼厚い後藤田正晴が中曽根内閣で官房長官になって以来、中曽根内閣を支え5年にわたって常に陽の当たるポストに就いていたこともあった。いくら「親分」の意向であるにせよ、中堅、若手のやっかみが少なくなかったということだった。しかし、田中は耳に届くこうした不満を一喝、全く相手にせず言ったものだ。「彼らは生意気なことを言うが、勉強が足りない。後藤田は役所をきっちり押さえているが、彼らが10人集まったって後藤田1人にかなうものか」 さて、この「創政会」設立に対し、当初、田中は「勉強会、大いに結構。ただし、“早稲田グループ”に偏ってはいかんよ。幅広くやれ」などと竹下に注意、余裕のあるところを見せていたが、やがてその判断が甘かったことが分かる。2月7日、先の議員などを含め田中派議員40名が正式に「創政会」発会式を執り行ったことで「派中派」として名乗りを上げたのと同然とし、田中は態度を一変させて激怒、直ちに田中支持グループに命じて切り崩し工作を開始したのであった。ロッキード裁判で無実を晴らし、できるなら首相復帰との野望も抱く田中にとって、派閥を割る行為は何としてでもつぶさなければならなかったということだった。 このころの田中は、子飼いの面々に裏切られたの思いから大荒れに荒れ、ウイスキーのピッチはいやが上にも早まった。 「創政会」正式設立から3週間足らずの2月25日、東京プリンスホテルで羽田孜の「励ます会」パーティーがあり、田中はここに来賓として出席した。筆者はこれを取材しているが、田中のウイスキーの飲み方に驚いたものだった。ホステスにオールド・パーをなみなみと注がせ、水はほんの申し訳程度。そのほとんどストレートに近い水割りをフタ口で飲んでしまったのである。これで体が持つのかア然としたものである。そして、来賓として竹下もいる中、一席こうブッている。 「田中派の総裁候補は、一に二階堂進、二に江崎真澄、三に後藤田正晴だ。順序を間違ってはダメだッ。田中角栄は話を聞かないと、若い連中は言うが、これからは“賢者は聞き、愚者は語る”でいく。もっと、若い連中の話を聞くつもりだ」 それから2日後の27日、田中は脳梗塞で倒れた。“狂気”の高まりがさせたものと思われた。この羽田のパーティーでの話は、これが政治家・田中角栄の実質的な「最後の言葉」となっているのである。東京・飯田橋の逓信病院に入院、一命は取り留めたものの言語障害などが残り、田中の政治生命は突如として終わりを告げることになった。 一方の竹下は、「創政会」旗揚げから1年余で田中が倒れたことにより一度はこれを解散したものの、昭和62年7月「経世会」として新たに竹下派を発足させた。竹下に従ったのは「創政会」のメンバーを中心に総勢113人、竹下と対立した二階堂グループ、後藤田などの中間派、それぞれ10名余はこれに加わらなかった。最盛期141人を誇った田中派、田中の「専横政治」も、ここにおいて15年の歴史に幕を閉じることになる。 その後、ロッキード裁判は一審有罪のあと直ちに控訴されたが棄却され、それでも田中弁護団は田中が入院中のさなか上告して争う姿勢を崩さなかった。しかし、上告中の平成5年12月16日、田中が死去したことにより公訴棄却となり、謎を残したまま歴史の中にうずもれたことになっている。享年75、戒名は政覚院殿越山徳栄大居士であった。 田中亡き後、「田中政治」に時に批判の声を投げ掛けた人物の言葉が残っている。 「政界にこんな『天才』が現れるのは、50年に一度あるかなしかだろう。『金権政治』という単純なパターンで、彼を裁ききることはできない」(作家・松本清張) 「福田赳夫や大平正芳が束になっても、田中1人にはかなわなかった。指導力、政治力、いろんな意味でだ」(元自民党幹事長・保利茂) 次回は、本連載の最終回になる。田中という政治家の改めての功罪、いま生きていたらどんな政治を展開しただろうかに言及してみたい。(以下、次号)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材46年余のベテラン政治評論家。24年間に及ぶ田中角栄研究の第一人者。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書、多数。
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社会 2017年04月20日 14時00分
東京電力 先が見えない経営陣刷新の不安
東京電力ホールディングス(HD)は3月31日、新経営体制を発表した。2011年の福島第一原発事故直後から東電の立て直しに奔走してきた廣瀬直己社長の後任には、電気の小売り部門トップの小早川智明氏(53)、会長には日立製作所名誉会長の川村隆氏(77)が就く。 6月の株主総会を経て正式決定される新体制。現社長の廣瀬氏は続投を強く望んでいたというが、代表権のない副会長に就き、福島第一原発の事故対応に専念するという。なぜ孤軍奮闘のイメージで、これまで難しい舵取りをしてきた廣瀬氏を外さざるを得なかったのか。 東電内部事情に詳しい経営アナリストが、こう解説する。 「根底には当初、廣瀬体制で国と東電が打ち出した再建費用の概算数値が甘く、天文学的に膨れ上がってしまったことがあります。そして、今後の再建費用をも含め拠り所とされたのが、新潟県の柏崎刈羽原発の再稼働。しかし、昨年10月に就任した米山隆一知事が再稼働に極めて慎重で、數土文夫会長、廣瀬社長の説得にもガンとして首をタテに振らない。これらの行き詰まりを役員の一新で打破しようという動きです」 しかし、東電再建策は相当な修正を余儀なくされそうだ。 昨年暮れ、経産省が音頭を取る「東電改革F1(福島第一原発)問題委員会」で報告された事故処理費用によれば、当初7兆円と見積もっていた廃炉・賠償・除染にかかる費用は'13年12月に11兆円に増え、さらに昨年、22兆円へ倍増してしまった。このうち東京電力が7割に相当する16兆円を負担することは決定し、一方で原子力発電所を保有する他の電力会社が4兆円、国が2兆円を負担する案が浮上している。 「このコスト増大、見積もりの甘さは、何も現体制のせいばかりではありません。国も認可法人が50.1%の株を所有し実質国有化しているので、国の当初の再建費用コスト計画も甘かったということです」(同) そのため東電は、6月決定の役員人事を睨みながら、3月22日には前述のF1委員会の提言に沿う形で、再建計画「新々総合特別事業計画」(新・総合特別事業計画の改定)の骨子を発表。その内容は、(1)送配電や原発など各事業ごとに他社と再編して収益力を向上させる。(2)新潟県・柏崎刈羽原発の再稼働というものだった。 しかし、全国紙経済担当記者は「課題は山積。何一つ保障はない」と、新体制、新再建計画に懸念を示す。 「再編計画については、他の大手電力との統合などが考えられる。東電は中部電力と火力発電では新たにJERA(ジェラ)という新会社を設立するが、それ以外ではなかなか統合の方向が見いだせずにいます」(同) 政府や東電にすれば、福島関連費用の16兆円を30年間にわたって負担していくには、年間約5000億円の資金が必要になる。現在も東電は年間4000億円程度を負担しているが、残り1000億円の捻出は、現状のままでは至難の業。そのため、原子力事業の他社との統廃合が必要なのだ。 「国や東電が内心ひそかに描いているのが、原子炉のタイプ別統廃合。つまり、東電と同じ原子炉沸騰水型軽水炉(BWR)を持つ東北、中部、北陸など各電力会社との統合は地域的にも合理的。しかし、3社は発電を原子力発電に依存する度合いが低く、あえて東電の原子力発電事業と統合する必然性は少しもない。統合により、自社の利益が吸い込まれることを警戒しています」(業界関係者) となると、政府、東電は年間1000億円の収益改善効果があるとされる柏崎刈羽原発6号機と7号機の再稼働が何が何でも必要となる。しかし、新潟県の米山知事は「3つの検証が終わらない限り再稼働の議論はできない。検証には数年かかる」と突っぱねているのだ。“3つの検証”とは、福島原発事故の原因解明、事故による住民の健康と生活への影響、柏崎刈羽原発で事故が起きた時の避難計画だ。 「さらに柏崎刈羽原発では、新たに軟弱な地盤の問題も生じている。米山知事は福島原発事故の原因については地震説論者で、新潟県の検証によっては津波説を唱える東電の意に反し地震対策が必要になり、コストが莫大になる」(地元記者) よって、米山知事に再稼働を説得するのは東電新役員でも極めて難しそうな状況だ。 「新会長の川村氏は、かつてリーマンショックで8000億円近い赤字に陥った日立製作所の社長に就任し、V字回復をもたらした。一方、新社長の小早川氏は電力自由化の荒波を最小のダメージで乗り切った実績を持つ。そんな2人がどんな経営手腕を発揮するのか見ものです」(経済紙記者) 立ち直ることはできるのか。
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社会 2017年04月20日 10時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 てるみくらぶの罪
航空券が発券できなかったり、ホテルの予約が取れていないなど、トラブルを頻発させていた旅行会社、てるみくらぶが、3月27日、ついに破産を申請した。負債総額は151億円だが、すでにツアー料金を支払ったにもかかわらず、旅行ができなくなる契約は3万6000件で、被害金額は99億円に及ぶという。 日本旅行業協会の弁済業務保証金制度で、一部が補償される可能性があるが、その額は支払額の1%程度だという。ほぼ全損ということだ。 森友学園が国有地を8億円引きという安さで購入したことに国民の怒りが集中したが、今回の被害はその10倍以上だ。ところが、てるみくらぶを選んで損失を出したのは、消費者の「自己責任」だという意見を言う人も多い。 私は、消費者が事前に経営破たんを予見できたとは思えない。例えば、てるみくらぶの売上高伸び率は、'14年度39%、'15年度51%、'16年度51%と、急成長を続けていたからだ。 山田千賀子社長は、会見で破たんの理由を、新聞広告のコストが嵩んだためと述べたが、その瞬間、私はおかしいと思った。全国紙の全面広告にかかるコストは1回1000万円程度だ。それを100回打ったところで、コストは10億円にとどまる。しかも、売り上げは急増しているのだから、新聞広告は、確実に効果をあげていたことになる。 それでは、破たんの本当の原因は何なのか。それは、てるみくらぶのビジネスモデル自体にある。 てるみくらぶは、売れ残った飛行機の座席を安く仕入れて、格安ツアーを組んでいた。ところが、最近は航空券の販売がネット経由で行われるようになったことを受けて、座席が余ったり、余りそうになった場合は、航空会社自身が格安で座席を売るようになったのだ。 そうした事情は、ホテルも同じだ。その結果、てるみくらぶの仕入れコストは上昇し、利幅が小さくなった。それを埋め合わせるために、てるみくらぶは、売り上げを拡大する戦略に出たのだ。しかし、コスト上昇は、とどまることを知らず、結局、売れば売るほど赤字という状態に陥ってしまった。 事業を撤退・縮小するのは、拡大するよりはるかに難しい。涙ながらに謝罪した山田社長は、「うちがこけたらどうなるかという恐怖があった」と述べたが、それは本音だろう。 資金不足で自転車操業に陥るなかで、58人もの新規採用を決めてしまったのも、拡大戦略のなかにしか活路が見いだせなかったからだろう。 しかし、てるみくらぶを破産へと追い込んだ仕入れコストの上昇は、旅行業界を共通して襲っている環境変化だ。このまま行くと、第二、第三のてるみくらぶが生まれかねない。 だから、いまやらなければならないのは、消費者が支払った旅行代金を保全する仕掛けづくりだ。例えば、消費者の支払った旅行代金の半分程度を旅行が行われるまで、業界団体に預託するといった仕組みが必要なのではないか。 旅行業界は、学生に大人気の就職先だ。もし、今回のようなことが続けば、その人気も失われ、旅行業界自体が、信頼を失ってしまうだろう。
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社会 2017年04月19日 14時00分
3年ぶり国内新車販売増の一因になった日産の車作り原点
日本自動車販売協会連合会が発表した2016年度の軽自動車を含む国内新車販売台数は、507万7904台と、3年ぶりに増加に転じた。そのうち軽自動車は5.1%減の171万9971台と、ピークだった'13年度から3年連続の減少となった。燃費不正事件や軽自動車税の増税などで低迷している軽自動車の苦戦を、好調な普通車が補った格好だ。 「普通車増加の一番の貢献車種は、トヨタの4代目プリウス。'15年末の発表後から安定して台数を確保し、トヨタの販売増にもつながりました。このままトヨタ一強かと思いきや、'16年度一番の波乱と言える出来事が11月に投入された日産『ノートeパワー』の大ヒット。既にモデル末期だった『ノート』に、エンジンでモーターを充電しつつ動力源にもする『eパワー』を搭載。従来の電気自動車では自宅などに電気を充電するシステムを新たに設置する必要があり、敬遠されがちでしたが、この『eパワー』は外部からの充電が不要ながら電動自動車のパワーを楽しむことができ、かつ高燃費という一石二鳥の発想で、日産久々の大ヒット車種となったのです」(自動車ライター) 日産は'16年11月の新車販売台数で、1986年9月以来、30年ぶりの首位奪還を果たした。 「『ノート』の大ヒットは、モデルチェンジを行うことで台数を稼いでいた従来の販売スタイルを完全に否定するような、エポックメイキング的な出来事です。フルモデルチェンジから4年たった車種が新車販売月間台数で1位になるというのは近年あまり聞いたことがありません。実際に『ノートeパワー』の加速と減速は、ガソリン車や従来のハイブリッド車にはない運転する楽しさを感じることができます。日産がCMで言う“やっちゃえ”の発想は、他メーカーにとっても車作りの原点に立ち返って開発を見直すきっかけになるかもしれません」(同) 今年は2年に一度の『東京モーターショー』が10月に開催される。国産各メーカーは若者の車離れなどの寂しい風潮を吹っ飛ばしてほしいものだ。
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社会 2017年04月19日 10時00分
自民・公明分裂 小池百合子都知事が握る安倍首相退陣のキンタ○(2)
それにしても、長らく自民党と連立を組んできた公明党、さらに、支持母体の創価学会にいま、何が起きているのか。 学会ウオッチャーが言う。 「公明党はどの党と組む際にも、その政策の色の濃さから相手が見つからない。今も“やむなく自民党”というのが実際のところです。しかし、'15年に断腸の思いで了解した安保法、さらに昨年には、公明党内で真っ二つに賛否が分かれたカジノ法案も、自民党は日本維新の会と組むことによって強引に可決するなど、腹に据えかねる振る舞いが続いた。そんな折、創価学会、公明党が最重要視する東京都議会に小池百合子が現れ、自民党を敵にまわしてなぎ倒していった。その姿に、創価学会や公明党は真贋を見定めようとした。さらに小池新党が誕生し、これは安倍政権、自民党の後を担う本物の政党だと見分けたのでしょう」 背景には、昨年末から今年にかけて、公明党が独自にアンケート調査をした結果の小池氏の人気ぶりもあるという。 自民党関係者が嘆く。 「どの党も都議選の調査をしているが、結果はどれも同じで絶望的。予測では、都民ファーストの会、言わゆる小池新党が常に59議席から60議席獲得とブッチギリ。公明党は小池氏と組むことによって23人全員が当選。対して自民党と言えば、現在の57議席から半分以下の23から25議席という惨憺たる予測なのです」 しかも、それらの調査に含まれる年内の総選挙想定でも、小池新党が国政で候補者を擁立すれば、東京で20議席以上獲得するという恐るべき数字まで弾き出されたという。さらに、石原慎太郎元都知事の息子、石原伸晃、宏高兄弟を筆頭に、下村博文都連会長、萩生田光一官房副長官の落選という調査情報さえある。 「これを全国レベルで見れば、小池新党が衆院で50議席以上取っても不思議はない。小池さんも、それを見越して勉強会の国政研究会を立ち上げて意欲満々です。朝日新聞が4月1日、2日に都内有権者に行った世論調査で出た小池氏の支持率は74%という、小池さん自身もビックリの数字も追い風となる。この趨勢のまま、小池新党と公明党は、まずは都議選で勝利し、都議会は盤石となるでしょう」(小池氏周辺関係者) そんな状況に、公明党も総選挙での小池新党の大躍進を確信し、自公解消の動きに出始めたというのだ。 小池氏周辺関係者が続ける。 「国政に小池新党が進出し、大躍進するのは確実。自民党は今の293議席から大幅減で、どこかと連立を組まなければ政権を維持できない。その時、イニシアチブを握るのは小池新党になる。国政でも公明党は小池新党と連携し、国政を揺さぶる方向にシフトしつつある」 創価学会は'17年を「世界広布新時代 青年拡大の年」とし、青年部の活動を盛り上げ、都議選などに勝利すると宣言する。 「そんな学会には、新年早々、創価大が2度目の箱根駅伝出場で往路9位と大躍進のニュースが飛び込み、しかも、前日の1月2日は池田大作名誉会長の誕生日だった。学会本部はこの上昇気運で、都議選と総選挙の活動で団結を固めたい。勝利すれば、それまで内部に溜まっていた様々なストレスも解消されますから」(前出・学会ウオッチャー) 公明党も、もはやこの動きに応えなければならない状況なのだという。 「自民党はいま、公明党の連立解消情報に非常に敏感になっており、各都道府県の自民党支部宛てに、候補者予定情報の外部流出に注意するよう通達を出しているという。すでに、強気でいられる状況ではないのです」(前出・政治部記者) いずれにしても、小池氏が今後、国政レベルで安倍政権と組むか組まないか、それにより公明党の動向も決まる。小池氏に股間を握られた安倍首相はどう出るのか…。
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社会 2017年04月18日 14時00分
7億円詐欺女 タイで逮捕! 3200万円でホストを飼った62歳の“女の性”
そこは姫御殿とよばれる豪邸だった。熊本県益城町の田園の中に異彩を放つ豪邸は、シックな母屋に離れがついた洋風一軒家だ。熊本県益城町と言えば2016年の熊本県地震で大きな被害があった場所。地方とはいえ土地、建築費を含め1億円ははるかに超えているだろう。 「一昨年の8月に借金取りが押し掛けてきて、家の中に入ろうと強引に壁に穴を開けるなどして騒動になったんです。その時は近隣の人たちが止めて事なきを得たのですが、少しして彼女の姿を見掛けなくなった。夜逃げしたのか、と噂していたんです」 こう語るのは、3月30日に出資法違反容疑でタイ警察に身柄を拘束、逮捕された、山辺節子容疑者(62・熊本県益城町)の“豪邸”の近隣住民だ。 「山辺容疑者は'14〜'15年にかけ、日本の大手企業へのつなぎ融資を謳い、“出資すれば元本を保証して25%の利息を払う”などと持ちかけ、愛知、東京の男性2人から6800万円をだまし取った疑いが持たれている。さらに、共犯者の男女2人とともに50人以上に同様の話をした上で、少なくとも7億円以上を集めたと見られています。昨年初めに日本を出国し、熊本県警が1月に逮捕状を取って国際手配していたのです」(全国紙社会部記者) 結果、現地警察によりタイ北東部の町で発見、拘束されたのだが、その時、山辺容疑者は31歳のタイ人の交際相手と一緒だったという。 「その男性によれば、山辺容疑者とは昨年夏、リゾート地のパタヤビーチでホストをしているときに知り合い、深い関係になって一緒に暮らし始め、月に2万〜3万バーツ(約6万〜9万円)を援助してもらっていたという。ただし最近、畜産業を営む男性の実家の建物などが新築されており、その資金も山辺容疑者が出していたという情報もある。山辺容疑者は男性に“エリコ”と呼ばせ、38歳と年齢を偽り、付き合っていたのです。62歳とは思えぬ若作りでした」(外信部記者) この男性には家を貸し、給与を渡していたが、男性は牧場関係の仕事ではないかとみられる。そのほか2年間同棲してくれれば1000万バーツ(およそ3200万円)を支払うと提案したそうだ。さすがに、62歳では男を捕まえておくことは出来ず、金を抱かせて囲ったということだろう。哀しい女の性だ。 山辺容疑者は益城町で生まれ育ち、20歳過ぎに結婚、2人の子供をもうけた後に離婚している。その後、熊本市内でクラブホステスとして働き、自らスナックを開いたという。 当時の山辺容疑者を知る人物はこう話す。 「なにしろ客扱いがうまく店はいつも満員でした。県内の会社経営者などが常連で、中には深い関係になった客もいたようです。自分でも“どんな老人でも勃たせられる”なんて言って、床上手を豪語していましたよ。それで10年ぐらい前に建てたのが、あの自宅豪邸。当時は何台もの高級外車を乗り回していたものですが、まさか海外で捕まるとは」 山辺節子容疑者の共犯者の逮捕があれば、山辺容疑者のことを含め7億円もの大金の行方など、さらに詳細が分かるはず。じきに全容が明らかになる。
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社会 2017年04月18日 10時00分
自民・公明分裂 小池百合子都知事が握る安倍首相退陣のキンタ○(1)
“東京都議会の自公連立解消は、7月2日投開票の都議選に向けた限定的なもの”とタカをくくってきた自民党だが、ここへ来て「公明党が国政レベルでも本気で自公解消に打って出ようとしている」(関係者)と、警戒感を強めている。 さらに、都議会で公明党との連携の意思を明確にしている小池百合子都知事の出方が、今後の安倍政権の生き死にのカギを握っているというのだ。 「自民党が公明党内の“連立解消やむなし”の本気度を感じている理由は、いくつかある。例えば、後半の国会の審議日程をめぐっては、自民党が最重要視しているテロ等準備罪の法案について、公明党は最後の最後で形式的にシブシブ受け入れた。しかし、進行次第では流れればいいと思っている節がミエミエでしたからね」(自民党関係者) 3月27日の'17年度予算成立を受け、自民党は後半の国会で、いわゆる共謀罪、テロ等準備罪法案を6月18日の会期内に何としてでも成立させるため、衆院で4月6日に審議入りするよう公明党に協力を求めた。しかし、公明党は昨秋の臨時国会で継続審議となった債権関係規定を見直す民法改正案や、性犯罪の厳罰化を柱とする刑法改正案の優先審議を譲らなかった。 「共謀罪では野党が猛反発して国会が大紛糾し、6月18日の会期末までに自民党主導で強行採決となれば、連日、その荒れ具合が報道され、国民の反発の声が大きくなることは目に見えています。公明党は、それが間違いなく直後の都議選に悪影響を及ぼすと見ている。23人全員の当選を目指す公明党にとって、1議席でも落とすことはとんでもない話。そのため、共謀罪は都議選の後の国会で審議してもらいたいというのが本音」(全国紙政治部記者) 共謀罪を巡っては、金田勝年法相が野党からの質問を受けた際に「私の頭脳というんでしょうか、対応できなくて申し訳ありません」などと素っとぼけた答弁をするなどして、公明党サイドの苛立ちは募るばかり。 ある公明党関係者も、まさに苦虫を噛み潰したような表情でこう話す。 「金田氏は一橋大出身の元大蔵官僚だが、腹芸もできないし、政治家には不向きなのではないか。野党もボンクラ大臣だと見下しているから、言葉尻を捉えて引きずり降ろせば共謀罪は阻止できると躍起ですよ」 それでも公明党は、最終的に民法改正案などを先議することで、4月6日の衆院審議入りを了承したが、先の自民党関係者は言う。 「野党の抵抗と日程のきつさで、6月18日までの成立はかなり厳しい。そこで最後、強行突破やむなしとなれば、公明党は猛反対する可能性が高いだろう。結果、共謀罪は4度目の廃案の憂き目にあい、しかも自公の亀裂が決定的となる」 公明党の連立解消への動きはまだある。 「森友学園問題では3月末、安倍首相側近の西村康稔総裁特別補佐らが、証人喚問を受けた籠池泰典前理事長を偽証罪で告発する可能性を明らかにしたが、これに公明党の大口善徳国対委員長が大反対してウヤムヤになった。安倍首相が苦しむ中、その悪夢を晴らすための告発だったが、それを筋論で反対してくる。公明党は安倍首相などどうなってもいいと言っているのと同じだ」(自民党幹部) 加えて、都議選に向けての選挙ポスターでも、公明党はあからさまな“自民党離れ”の態度を示している。 「候補予定者のポスターです。これまで国政選挙などでは、高い支持率の安倍首相と候補者が並んでいましたが、今回の都議選ポスターでは首相の代わりに小池氏、山口那津男党代表で統一したものになっている。各党関係者はそれを見て、『公明は本気だ。これは先を見据えた連立組み替えポスターだ』と囁いているほどです」(前出・政治部記者)
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