さらに、都議会で公明党との連携の意思を明確にしている小池百合子都知事の出方が、今後の安倍政権の生き死にのカギを握っているというのだ。
「自民党が公明党内の“連立解消やむなし”の本気度を感じている理由は、いくつかある。例えば、後半の国会の審議日程をめぐっては、自民党が最重要視しているテロ等準備罪の法案について、公明党は最後の最後で形式的にシブシブ受け入れた。しかし、進行次第では流れればいいと思っている節がミエミエでしたからね」(自民党関係者)
3月27日の'17年度予算成立を受け、自民党は後半の国会で、いわゆる共謀罪、テロ等準備罪法案を6月18日の会期内に何としてでも成立させるため、衆院で4月6日に審議入りするよう公明党に協力を求めた。しかし、公明党は昨秋の臨時国会で継続審議となった債権関係規定を見直す民法改正案や、性犯罪の厳罰化を柱とする刑法改正案の優先審議を譲らなかった。
「共謀罪では野党が猛反発して国会が大紛糾し、6月18日の会期末までに自民党主導で強行採決となれば、連日、その荒れ具合が報道され、国民の反発の声が大きくなることは目に見えています。公明党は、それが間違いなく直後の都議選に悪影響を及ぼすと見ている。23人全員の当選を目指す公明党にとって、1議席でも落とすことはとんでもない話。そのため、共謀罪は都議選の後の国会で審議してもらいたいというのが本音」(全国紙政治部記者)
共謀罪を巡っては、金田勝年法相が野党からの質問を受けた際に「私の頭脳というんでしょうか、対応できなくて申し訳ありません」などと素っとぼけた答弁をするなどして、公明党サイドの苛立ちは募るばかり。
ある公明党関係者も、まさに苦虫を噛み潰したような表情でこう話す。
「金田氏は一橋大出身の元大蔵官僚だが、腹芸もできないし、政治家には不向きなのではないか。野党もボンクラ大臣だと見下しているから、言葉尻を捉えて引きずり降ろせば共謀罪は阻止できると躍起ですよ」
それでも公明党は、最終的に民法改正案などを先議することで、4月6日の衆院審議入りを了承したが、先の自民党関係者は言う。
「野党の抵抗と日程のきつさで、6月18日までの成立はかなり厳しい。そこで最後、強行突破やむなしとなれば、公明党は猛反対する可能性が高いだろう。結果、共謀罪は4度目の廃案の憂き目にあい、しかも自公の亀裂が決定的となる」
公明党の連立解消への動きはまだある。
「森友学園問題では3月末、安倍首相側近の西村康稔総裁特別補佐らが、証人喚問を受けた籠池泰典前理事長を偽証罪で告発する可能性を明らかにしたが、これに公明党の大口善徳国対委員長が大反対してウヤムヤになった。安倍首相が苦しむ中、その悪夢を晴らすための告発だったが、それを筋論で反対してくる。公明党は安倍首相などどうなってもいいと言っているのと同じだ」(自民党幹部)
加えて、都議選に向けての選挙ポスターでも、公明党はあからさまな“自民党離れ”の態度を示している。
「候補予定者のポスターです。これまで国政選挙などでは、高い支持率の安倍首相と候補者が並んでいましたが、今回の都議選ポスターでは首相の代わりに小池氏、山口那津男党代表で統一したものになっている。各党関係者はそれを見て、『公明は本気だ。これは先を見据えた連立組み替えポスターだ』と囁いているほどです」(前出・政治部記者)