社会
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社会 2017年07月05日 10時00分
古文書から紐解く巨大地震発生デー 第3弾 九州地方の異変と長野震度5強
熊本藩の地誌『肥後国志』の十四巻には、次のような一節がある。 「卯の刻(午前6時)より大地震い、午の刻(正午)にいたり、城楼崩壊す」 1619年、現在の熊本県八代市を震源としたM6とされる地震が襲い、同市にあった麦島城は何度となく襲いかかる激しい揺れのため、6時間後のお昼頃には、櫓などが崩壊してしまったという。まるで、昨年4月に発生し、熊本城を崩落させた熊本地震を思い起こさせる様だ。 さらに当時の地震は、熊本県のみならず、阿蘇山を越え大分県にも襲いかかっている。この時、大分県(豊後)の一部(竹田)を治めていた岡藩中川家の『中川史料集』によれば、地震発生当日の様子について、「岡大地震御城中所々破損」とある。竹田の岡城も被害を受けていたということだ。 「上益城郡益城町辺りを震源とした昨年の熊本地震の規模は、一度目がM6.5、二度目がM7.3。その大きな揺れは大分県に広がり、震度5強を記録している。これは専門家の間で中央構造線に沿ったものとされ、状況が約400前とそっくりなのです。さらに全国に目を広げれば、東北地方では1611年、青森県、岩手県、宮城県を中心に襲った慶長三陸地震が発生して大津波による被害が出たとされ、その8年後に熊本での大地震が起きている。東日本大震災後の5年後に熊本地震が発生している流れと似ている点も不気味です」(サイエンスライター) 中央構造線とは、九州から関東へと日本列島を貫く大断層だ。 6月25日午前7時2分頃、長野県南部を震源とする地震(推定M5.6)が発生し、同県の王滝村、木曽町で震度5強を観測し、その後も余震が続いた。 「気象庁では『直接的な関係はない』としているが、この地震がまさに中央構造線付近で起きた地震で、関連性を指摘する専門家も多い。つまり、同じく中央構造線上で起きた熊本地震との連鎖性も否定はできないのです」(同) 今年5月以降、大分県豊後大野市では大規模な地割れが発見され、時に1時間で2センチ以上亀裂が拡大する事態が起きた。この地域も、まさに中央構造線上に当たるため、専門家の間でも様々な憶測を呼んでいるのだ。 これまでに多くの地震や火山噴火を予測し的中させている、琉球大理学部名誉教授の木村政昭氏もこう言う。 「地割れが起きたところが問題です。昨年の熊本地震とも関係があり、中央構造線が影響を受けたことは間違いありません。熊本は昨年の大地震でストレスが取れましたが、逆に言えば、刺激を受けた中央構造線が動く可能性もあります」 6月20日には、大分県、愛媛県に挟まれた豊後水道を震源とするM5.0が発生し、大分県佐伯市で震度5強、九州と四国で震度1〜4の揺れを観測している。気象庁では「揺れの強かった地域では今後1週間程度、最大震度5強程度の地震に注意が必要」とした上で、地震の仕組みについて「陸側プレートの下に沈み込む海側プレートの内部で発生した地震で、活断層による熊本地震とはタイプが異なる」と説明している。 地震学が専門で武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏は、この時の地震について以下のように警鐘を鳴らす。 「震源の近くでフィリピン海プレートが潜り込んでいるし、中央構造線にも近い。どちらが影響しているか微妙な位置なんです。言えることは、地下42キロの深い場所で起きたため、幸いにして大きな被害は出なかった。もっと浅ければ、津波が発生していた可能性もあるし、何と言っても伊方原発(愛媛県)に甚大な被害をもたらしていたかもしれないということです」 この伊方原発を巡っては、'96年、高知大学などの研究グループによる中央構造線の調査により、約6キロの距離に2本の活断層があることが判明している。原発付近では、約2000年おきにM7〜8クラスの地震が起きるとされ、調査を行った高知大学の岡村眞客員教授は、M8の地震が起きた場合、原発を震度7の揺れが襲うと指摘。安全審査が不十分として、地元住民が原発運転差し止めを求め提訴し、現在も係争中だ。 400年前の熊本地震に話を戻せば、中央構造線に沿って地震が連続して起きていることが分かる。 まず、1596年9月1日に愛媛県で発生した慶長伊予地震(推定M7前後)が、中央構造線上の川上断層セグメントと呼ばれる部分で発生。さらに、その3日後、愛媛県伊方町の佐多岬から豊予海峡を挟んで対岸の大分県で、慶長豊後地震(推定M7.0)が発生している。そして、その翌日の9月5日、今度は震源を一気に京都に移し、慶長伏見地震(M7.0)が起きている。これらはすべて関連性があるとされ、「慶長の連動地震」とも呼ばれている。 800人余りの死者を出したとされる慶長豊後地震の際、布教活動のため現地にいた宣教師のルイス・フロイスは、『イエズス会日本通信』で「ある夜突然、波が二度三度と、非常なざわめきと轟音をもって岸辺を洗い、4〜5メートル以上の高さで打ち寄せた」としており、別府湾にあった瓜生島と久光島と呼ばれる2島は、この地震により沈んだと伝えられている。フロイスは被害の凄まじさをこうも綴っている。「地獄のような深淵は、男も女も子供も雄牛も家もその他いっさいのものを一緒に奪い去り、あらゆるものが海に変わったように思われた」。 一方の慶長伏見地震においては、京都や堺で死者数が1000人を超えたと伝えられ、伏見城内では600人以上が圧死したとされる。当時の様子をイエズス会士ジアン・クラッセが記した『日本西教史』によれば、難を逃れた豊臣秀吉は、城中に残った台所で一晩を過ごし、翌朝1キロ北東にある山に仮小屋を建て、しばらくそこに籠ったという。 いずれにせよ、中央構造線上での地震は、今も昔も変わらず巨大地震を誘発する危険を孕んでいるということだ。 前出の島村氏が続ける。 「昨年の熊本地震によって中央構造線が刺激され、活性化した可能性もあります。昨年10月には阿蘇山が爆発的噴火を起こし、今年5月にも熊本で震度4の余震を記録している。そして、大野市の地割れ。20日の地震の場合は、南海トラフ絡みとも中央構造線絡みとも取れるが、今後、予想だにしない大地震が発生するかもしれません」 中央構造線を考えれば、当然、阿蘇山の噴火も無視はできない。 熊本県上益城郡の厳島神社の神主だった渡邊玄察は、1632年から1701年までの約70年間にわたる年代記を書いているが、その中には阿蘇山の噴煙の様子も書かれている。 「それによれば、1662年は6月に京都に甚大な被害を出した寛文近江・若狭地震、9月に日向灘沖を震源とした地震が発生。さらに10月、宮崎県や鹿児島県の大隅半島に被害が及んだ外所地震の際に阿蘇山が噴煙を上げ、1691年に比較的大きな噴火をしている流れが分かる。ここでもやはり、中央構造線上での連鎖の可能性が見受けられるのです」(前出・サイエンスライター) 阿蘇山で最も恐ろしいのが、破局噴火とも呼ばれるカルデラ噴火だ。カルデラとは直径2キロ以上の火山活動によってできた、すり鉢状の窪地を指し、阿蘇カルデラの大きさは南北25キロ、東西18キロに及ぶ。このような火山では、地下に溜まったマグマが一気に噴き出し、地形をも変える大噴火を起こす可能性がある。 「阿蘇山では、約30万年前から9万年前までの間に、計4回の巨大カルデラ噴火を起こしているとされます。特に9万年前の噴火は日本列島で起きたカルデラ噴火の中でも最大級のものとされ、放出されたマグマは富士山の宝永大噴火(1707年)の1000回分にあたるといい、スケールがまったく違う。現代に被害を当てはめれば、降灰によって広範囲にわたりライフラインはすべてストップ、人体にも深刻な影響を及ぼし、森林も壊滅して回復には200年かかるという予測もある。昨今は富士山の噴火ばかりが注目されがちですが、九州の異変、そして、中央構造線の存在を考えれば、何が起きてもおかしくはない状況なのです」(同) 9万年前の阿蘇山カルデラ噴火では、火砕流が四国にまで及んだとされる。その火砕流も数百度の超高温を保ったまま、時速100キロを超えるスピードで流れるというから、ひとたまりもない。 「直近で日本列島において発生したカルデラ噴火は、約7300年前に薩摩半島の南約50キロの海底で起きた鬼界カルデラ噴火。これにより九州南部の縄文文化は壊滅し、別の文化を持つ縄文人が入ってきたことが、出土する土器の種類により判明している。それほどの被害が出ていることは分かってはいても、7300年前に起こったことだけに対策も立てようがない。しかも、通常の噴火と異なり前兆現象のデータもまったくないため、直前になっても予測することができないのです」(同) 昨年から今年にかけ、神戸大学海洋底調査センターが調査した結果、鬼海カルデラ内に直径約10キロの溶岩ドームを確認、今後、これが成長していくかどうかを調べる状況だという。 「同センター長の巽好幸教授によれば、日本列島で今後100年間に巨大カルデラ噴火が起こる確率は約1%。しかし、あの阪神・淡路大震災発生前日における今後30年間に発生する確率も、同程度でした。様々な巨大地震や噴火の発生確率が出されていますが、日本に住む限り、それらがいつ起きるか分からないということです」(同) 九州地方の異変は今後、どのような影響を及ぼすのか。
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社会 2017年07月04日 14時00分
タカタの民事再生法申請が予言する日本製造業の崩壊
日米を中心にエアバッグの欠損による巨大リコールを抱えていたタカタが、東京地裁に民事再生法の適用申請をすることを決めた。 2008年にホンダがリコールし、翌'09年にアメリカで初の関連死亡事故が発生してから8年。「あのタカタがつぶれるわけがない」と、最初の事故の一報の際は誰もが思った大企業が、あっけなく崩れ去った。その要因として、経営者側の危機意識の低さ、関係各社との甘えの構造、消費者意識の非共有など、さまざまな指摘がなされているが、一番の大きな理由は多くの日本企業が陥っていた“驕り”ではなかろうか。 タカタのエアバッグは世界中の自動車メーカーに採用されており、そのシェアは世界の販売台数の2割とも言われる。その結果、リコール台数は世界中で1億台を超え、費用総額は1兆3000億円にも上る。 「事故の初期対応さえ間違っていなければ、ここまで事は大きくならなかった。オーナー企業としての弊害がはっきり出てしまった悪い例」(経済アナリスト) オーナー企業の悪しき習性は、同社の再生手法についても足を引っ張った。取引先の自走車メーカー各社が法的整理による速やかな再生を求めたのに対し、創業家は経営陣として残ることを重視し、私的整理を求め、再生のスピードを遅らせた。そんな状況を見透かすように最終的にタカタのスポンサーとなったのが、中国・寧波均勝電子傘下の米自動車部品メーカー、キー・セーフティ・システムズだ。つまり、実質、中国企業に買収されることになる。 中国による日本の技術の買収は着実に、かつ予想以上に早く進んでいる。中国の自動車メーカーの生産台数が、トヨタやフォルクスワーゲンを上回る日が10年以内にやってくる可能性も否定できない、と発表しているシンクタンクもある。 日本の製造業は、中国に狙い澄まされている。東芝もそうだが、今が正念場なのかもしれない。
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社会 2017年07月04日 10時00分
絶体絶命の安倍首相が切る橋下徹、小泉進次郎「入閣カード」
ただでさえ加計学園問題で追い詰められている安倍政権が、新たなスキャンダルで絶体絶命だ。週刊新潮(6月29日号)により、自民党の豊田真由子衆院議員が政策秘書に対し暴行を働いた上、「このハゲーーーッ!」などと絶叫を浴びせていたことが報じられ、6月22日に早々に離党届を提出した。しかし、安倍チルドレンでもある豊田氏の前代未聞の振る舞いが、薄毛人口約1300万人とされる有権者を敵に回したことは間違いない。 自民党が7月2日投開票の東京都議選で大敗すれば、安倍政権そのものが危くなる状況。そんなところへ豊田氏の問題が起きたことから、今、起死回生策にと急ピッチで進められているのが、8月上旬にも断行すると見られる内閣改造だ。 「今回のハゲショックは、安倍首相にとっても自民党にとっても、かなり大きい。マスコミ各社の調査による内閣支持率は軒並み大幅にダウンし、ついに40%を切り始めている。この原因が加計学園問題や共謀罪の強行採決だったことは明白だが、共謀罪についてはある程度下がることは織り込み済みだった。しかし、豊田氏についてはタイミングが悪い上にインパクトが強過ぎる。“また自民党の2回生議員か”と過去の議員の件まで掘り返され、いい迷惑だ。このままいけば、都議選で大負け、内閣支持率も下げ止まらない。やはりカンフル剤が必要なのではないか」(自民党ベテラン議員) そんな中、内閣改造の目玉とされるのが、小泉進次郎農林部会長、さらには橋下徹前大阪市長の入閣だという。 「進次郎氏の入閣については、二階俊博自民党幹事長も否定していない。これまでは“早過ぎる”との声もあったが、フランスでは39歳のマクロン大統領が登場し、世界の注目を集めている。進次郎氏もすでに36歳でしょ。近い将来テッペンを獲るのであれば、初入閣は決して早くはない。本人も十分自覚しているはずです」(自民党関係者) 安倍首相は19日の会見で、「人づくり改革」に取り組む考えを示し、その担当相も設置するという。憲法改正の一項目として“高等教育の無償化”を掲げている安倍首相にとってはまさにキモとなるポスト。そこへ、進次郎氏を起用するとの情報が流れているのだ。 「そこへの入閣でなければ、官房副長官という話もある。というのも、安倍首相は森喜朗内閣時、進次郎氏の父、純一郎氏に推薦されたことで官房副長官に就任し、小泉内閣でも同ポストを務め頂点へのレールに乗った。そのため、進次郎を指名することで、安倍内閣への忠誠の“踏み絵”を踏ませる可能性もある」(別の自民党関係者) 橋下氏の場合はどうか。 「小池さんにシンパシーを感じて、水面下で緊密な連絡をとっていることは間違いない」(小池氏周辺関係者)という橋下氏。6月初めに行われた日本維新の会候補者の都議選総決起大会では、加計学園問題に触れ安倍首相の公私混同ぶりを批判していた。前出の自民党関係者はこう言う。 「20日、豊洲移転問題を巡る小池氏の豊洲移転と築地再活用の両論案については、一転、移転延期の決断そのものについて“小池さんこそ百条委で追及すべき”とツイッターで痛烈に批判している。その頃から永田町では“維新の政策顧問も辞した橋下氏は民間起用で閣僚入りするのでは”との情報が駆け巡り、自民党内でも“120%あり得る話”としてもっぱらです。ポストとしては、総務相か、加計学園問題で注目された地方創生担当相なのではないか」(同) 進次郎、橋下両氏の“カンフル剤”のほか、名誉挽回人事として、安倍首相周辺関係者からこんな話も聞こえてくるという。 「加計学園問題で対応を誤った菅義偉官房長官、萩生田光一官房副長官を外す説が有力です。自民党本部の副幹事長会議では、『都議選に大敗なら、次の内閣改造で菅は交代すべき』と批判が飛び出したという。菅氏の代わりには塩崎恭久厚労相や石原伸晃経済再生担当相ら安倍首相の“お友達”の名が挙がるとともに、加藤勝信一億総活躍相の名も出ている」(全国紙政治部記者) 菅氏の更迭の背景には伏線もあるという。昨年10月の衆院福岡6区補選では、故・鳩山邦夫元総務相の次男の鳩山二郎氏と、党県連会長の長男、蔵内謙氏の自民党系の2人が立候補し、分裂選挙となった。そこで鳩山氏には菅氏、蔵内氏には麻生太郎副総理が支援に回り、結果、菅氏がついた鳩山氏が勝利している。 「蔵内氏の父・勇夫氏は福岡県議団会長で日本獣医師会会長のため、当然、獣医学科の新設については獣医師がだぶつくと反対する。その意を受けた麻生氏と、官邸の意向で獣医学科新設に動く菅は、ここでも対立した。結局、菅氏が麻生氏を押し切ったわけですが、今度は麻生氏が一気に菅氏を排除する番というわけです」(自民党関係者) ただし、進次郎氏、橋下氏の入閣には批判的な見方もある。 「一時的に話題は呼ぶが、安倍政権にとって毒を飲むようなもの。事あるごとに足元から公然と批判する姿が目に浮かぶ。そもそも、進次郎氏などは安倍首相の踏み絵など踏まなくとも、後々首相の座は転がり込んでくるという自信もあるのではないか」(自民党重鎮) 安倍首相が次に切るカードは吉と出るか凶と出るか。
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社会 2017年07月03日 14時00分
天下の猛妻 -秘録・総理夫人伝- 鳩山一郎・薫子夫人(下)
鳩山家の血筋はいずれも揃って偏差値の高い超頭脳の持ち主で、「華麗なる一族」を構成している。 鳩山一郎の父・和夫は日本における法曹界の先駆者で、弁護士から東京帝国大学教授になり、わが国第1号の法学博士になっている。その後、代議士になり、やがて衆院議長の椅子にも座っている。 母は、春子。こちらは我が国の女子教育界を代表する教育者で、いまの共立女子学園の創設にも携わっている。夫・和夫を大臣にするために、時の首相だった原敬に切々たる手紙を書き送ったこともある“政治家の妻の鑑”でもあった。 また、鳩山薫子の義母ともなるこの春子は、一方で長男・一郎、次男・秀夫の2人の息子の教育にも熱心で、2人を小学生の頃から毎朝3時半に起こし、自ら英語、数学、漢字を教えてもいる。薫子を上回る「女丈夫」「良妻賢母」の一方で、元祖“教育ママ”でもあったのだ。 さて、一郎・薫子夫妻というと、1男5女をもうけたが、長男の威一郎がまたとんでもない超頭脳の持ち主だった。東京帝国大学法学部で「全優」の首席卒業。大蔵省に入ったあとは主計局長、事務次官とエリートコースを歩み、のちに田中角栄元首相に誘われて政界入りし、参院議員として外務大臣に就任している。この威一郎の政界入りに備えての薫子の「賢母」ぶりを示す、こんなエピソードがある。鳩山家を知る古い政界関係者から、筆者が聞いている。 「威一郎が大蔵省に入ったあと、薫子はわざわざ2人で謡曲を習った。謡曲は腹から声を出さねばならず、早くから政界進出をにらんで説得力、迫力ある演説の“予行演習”をさせていた」 その威一郎の妻は、安子。タイヤメーカー『ブリヂストン』の創業者・石橋正二郎の長女である。ちなみに、鳩山家はこの石橋家を通じた形で美智子皇后の生家である『日清製粉』創業の正田家とつながり、天皇家にもつながることになる。 そのうえで、威一郎・安子夫妻には2男1女ができ、長男・由紀夫は東大工学部を卒業。のちに政界入りして民主党政権で首相。昨年亡くなった次男・邦夫は東大法学部を首席卒業、由紀夫より一足先に代議士になり、文部・労働大臣などを歴任したといった具合だ。 一方、薫子の夫である一郎は東京帝国大学法科を優秀な成績で卒業。その後、29歳で東京市議、32歳で戦前の政友会から代議士として初当選したが、戦後は脳出血で倒れ車椅子生活を余儀なくされる中で、「悲劇の政治家」とも言われた。 当初、鳩山は、吉田茂元首相とはともに自由党を旗揚げするなど蜜月関係だった。また政治資金の面倒をみたりしていたが、戦前に軍国主義の台頭に協力としたという理由でGHQからパージ(公職追放)を受け、パージ解除後、政界復帰を窺っていたものの前述の脳出血で倒れるという苦境に見舞われている。しかし、リハビリで政界復帰が可能となるや、今度は吉田が鳩山を遠ざけ、2人の関係は悪化していったのだった。 やがて鳩山は自由党を離党して日本民主党を結成、第5次内閣で人気凋落の吉田を退陣に追い込み、鳩山内閣を誕生させたのは昭和29年12月。ここに薫子の鳩山家に嫁いでの悲願が達成されたということだった。 首相になった鳩山は、3次における内閣を率いる中で、日ソ(注・ソ連、現ロシア)国交回復への執念を燃やし続け、昭和31年10月、ついに日ソ国交回復共同宣言の調印にこぎつけた。このとき結ばれたソ連との条約では、「北方領土」4島のうち歯舞、色丹2島返還が約束されているが、いまなお領土問題解決には至っていないのは読者もご存知のところである。 その鳩山は退陣後の2年半後に死去。一方の薫子はその夫の死から23年後、93歳の天寿をまっとうした。その遺体は鳩山家の“本丸”「音羽御殿」(東京・文京区)の亡き一郎の遺影がかかる寝室に安置されたが、薫子の安らかな死に顔に白い布はかけられておらず、弔問客はその顔に無言の別れをした。生前、親しかった人々にこうした形を取るのは、鳩山家代々の“流儀”で、一郎のそれも、また同じだった。その後、薫子が共立女子学園理事長も務めていたことから共立学園葬がいとなまれ、あらかじめ一郎の墓の隣につくっておいた自らの墓に入り、静かな眠りについている。 鳩山は性格も手伝って、政治的にもいささか甘いところがあった。そうした中で、薫子は鳩山が首相になるや閣僚をはじめとする政治家夫人を集めての親睦会をつくって、政権の“一致団結”を後押しをするなど、全力で夫を支えたものだった。 「悲劇の政治家」に天下を取らせたのは、薫子あってのものと言えた。以後、歴代総理夫人の多くはこれを見習い、閣僚夫人との親睦会をやることで夫を支えることに汗を流している。 薫子の“知恵”が、いまにして引き継がれているということである。=敬称略=(次号は石橋湛山・うめ夫人)小林吉弥(こばやしきちや)早大卒。永田町取材48年余のベテラン政治評論家。抜群の政局・選挙分析で定評がある。著書に『決定版 田中角栄名語録』(セブン&アイ出版)、『21世紀リーダー候補の真贋』(読売新聞社)など多数。
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社会 2017年07月01日 11時00分
読売新聞vs朝日新聞 抗争勃発! 小池都知事が築地市場にスタジアム構想
東京都議選もはや終盤。自民党に火花を散らす小池百合子都知事率いる地域政党「都民ファーストの会(無所属推薦者を含む)」が、無党派層や民進離党者を取り込んで、都議会の第一党になるか注目されている。 その小池知事は6月20日に都庁で会見し、築地市場(中央区)の豊洲市場(江東区)移転問題について、築地と豊洲「共存案」を提示した。豊洲に市場を移転した後、5年後をメドに築地を、市場機能を持つ場として再開発すると…。 「共存案は、豊洲派からも築地派からも“いいとこ取り”との批判が続出している。一番の問題点は、豊洲に約6000億円もの事業費を投じながら、築地を再開発する財源をどこから持ってくるのかということ。税金を使うのか、工期も不透明。知事は『ベストなワイズスペンディングでいきたい』と話しているが、説明不足は否めない」(テレビ局都政担当者) 知事が示した「築地は守る、豊洲を生かす」をざっと説明していこう。豊洲は各機能を強化して「総合物流拠点」とし、築地は「5年をメドに食のテーマパーク機能を持つ一大拠点に再開発する」というもの。とりわけ、築地はブランド力を生かした「食のテーマパーク」化を鮮明にし、外食施設を含むショッピングモールなどの商業施設と、4万人収容規模のスタジアムを造る構想だという。 「当初、都は築地跡地をホテル、オフィス、住宅建設を目的とする事業者に売却し、売却益を豊洲の事業費に充てようとしていました。しかし、小池知事は“レンタル”の方針にスパッと切り替えた。更地で貸そうが、建物を作って貸そうが、年間200億円以上の賃料がとれるという試算が出たからです。築地は、東京、新橋、日本橋、銀座駅から近く、集客力は抜群です。さらに、2020年の東京五輪までに環状2号線を開通させる。こんな都心の一等地はここが最後。“引く手あまた”を見越しての判断です」(元東京都幹部職員) さっそく動き出したのが、読売新聞グループだ。巨人の本拠地・東京ドームは来年で築30年を迎える。老朽化が進んでいるのに加え、年間使用料が30億円と馬鹿にならない。そのため、3年後に迫る東京五輪・パラリンピック後の新国立競技場を業務委託の形で借り受けて、新たに本拠地とする案を模索していたのだが、今回の小池構想で方向転換したという。 「読売新聞グループは巨人のほか、傘下に東京ヴェルディ1969(男子サッカー)と日テレ・ペレーザ(女子サッカー)を実質的に抱えているため、年間を通じてスタジアムを使えるメリットがあります。試合の合間にコンサートライブや展示会を入れれば、十分採算が取れると踏んだのでしょう。もともと朝日新聞本社の目と鼻の先にある築地市場は、読売が早くから触手を伸ばし、本社建設の動きまであった地区です。結局、大手町の旧本社跡に新社屋を建設しましたが、築地に巨人のスタジアムを作れば、朝日に対して牽制になるという思惑もあるのです」(日本テレビ幹部) これに、冗談じゃない、と朝日新聞も“築地防衛”に乗り出した。こちらのカードは、Jリーグ・FC東京の本拠地スタジアム建設と、サッカー日本代表のメーンスタジアム誘致が狙いだ。 実は、FC東京の前身は、東京ガスフットボールクラブ。主要株主は東京ガスで、豊洲問題とは縁浅からぬ関係にある。朝日側はその東京ガスと連合して、FC東京をビッグクラブに育てる構想だという。 「そもそも論でいえば、豊洲は東京ガスの所有地でした。小池知事が豊洲市場移転を断念した場合、東京ガスはこれを買い戻し、ここに自前のスタジアムを造ってFC東京の本拠地を移す計画がありました。東京都に恩を売る形でカジノや大型商業施設も作り、統合型リゾート(IR)に転用する計画です。それが、今回の共存案で事実上消滅し、築地再開発に転換するという構図となった。サッカーに関して、力を入れているのが朝日新聞。読売の築地進出を阻止するため、都と連合を組むのです」(スポーツ紙デスク) 都議選真っ最中の小池知事は「築地スタジアム」を餌に、読売新聞と朝日新聞を競わせ、「自民と都民ファースト、どちらを応援するの?」と揺さぶりをかけているともとれる。 同時に、東京五輪のメーンスタジアム建設に伴い、本拠地喪失の目に遭っているのが、神宮球場を失うヤクルトだ。都内外に一時疎開した後、2022年度末に新神宮球場が完成するまで、先行きが不透明。 そこで囁かれているのが、一時移転先が東京ドームで、その後は築地の読売スタジアムに移るというプランだ。つまり、“巨人・ヤクルト相乗り構想”…。 ヤクルトの前身である産経新聞は安倍政権支持で連合しており、築地にカジノを誘致するIR計画でも読売と連携している。小池氏の支援があれば十分に可能だ。一方のFC東京には、東京新聞が応援している。 たかが築地の跡地問題と見てはいけない。都議選に乗じたスタジアム建設を餌に、大手新聞を手玉に取る小池氏はかなりの手練だ。
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社会 2017年06月30日 14時00分
森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 やはり原発新増設だった
6月9日の日本経済新聞が、驚くべき記事を掲載した。経済産業省が、国のエネルギー計画の見直しに際して、原子力発電所の新増設や建て替えの必要性を明示すると報じたのだ。 現在、政府のエネルギー政策の基本は、原発依存度を可能な限り低減させていくというものだ。自民党の公約もそうなっている。つまり、長期的な“脱原発”を目指すことにしているのだ。そのなかで経済産業省は、原発の新増設を行うという。これはエネルギー基本政策への反逆ともいうべき方針だ。 実は、私にはこうなるのではないか、という予感がしていた。政府が原発を重要なベースロード電源と位置付けたことも理由のひとつだが、最大の理由は、この数年、政府が太陽光発電を目の敵にし始めていたからだ。 福島第一原発の事故以降、国は再生可能エネルギーを拡充するために、様々な施策を打ち出してきた。なかでも最も大きな効果を発揮したのが、太陽光発電の固定価格全量買い取り制度だった。 太陽光発電で作られた電力を20年間にわたって電力会社が固定価格で買い取ることを義務付けたため、太陽光発電に参入する事業者が急増した。太陽光発電は、電力使用量が最も増える夏場の日中に大きな出力を発揮する。だから、原発事故後、日本の原発が全停止するなかでも、夏場の電力ピークを何とか乗り切ることができたのだ。 しかし、原発なしでも電力をまかなえるという事態は、原発村の住人たちを慌てさせたのだろう。そこで彼らが採った施策が、太陽光発電への嫌がらせだったのだ。 まずは、単価の切り下げだ。'12年度に全量買い取り制度が導入されたとき、買い取り単価は40円だった。それが毎年切り下げられ、今年度は21円となった。5年で半額だ。太陽光パネルの価格が下がったからという説明がなされているが、太陽光発電には、土地代、固定資産税、設備稼働のための電気代、設備保全費などさまざまなコストがかかる。それを考えたら、21円というのは、事業がほとんど成り立たない価格だ。そもそも、我々庶民が支払っている電気代の単価より安いのだ。 嫌がらせは他にもまだある。送電網の容量不足を理由に、いま太陽光発電の買い取りを行う地域は、厳しく制約されている。本来であれば、送電線の容量を拡大すればよいだけの話なのだ。 さらに'15年からは、無制限無補償の出力制限が導入された。電力会社の電気が余った場合には、太陽光発電を買い取りませんという制度だ。つまり、せっかくの太陽光発電を捨ててしまえということだ。これでは、太陽光発電を計画する事業者は、採算の見通しがつかない。 実際問題として、いま太陽光発電への参入は失速を迎えている。政府がエネルギー基本計画で示した再生可能エネルギーの電源割合22〜24%という水準に、遠く及んでいない現状での失速だ。 日本経済新聞には、「再エネが拡大するほど原子力などの安定電源の重要性が増す」と書かれているが、それは誤りだ。出力が変動する太陽光を補完する火力発電や蓄電池こそが、今後、重要になるのだ。
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社会 2017年06月30日 10時00分
古文書から紐解く巨大地震発生デー 第2弾 富士山噴火と連鎖するM9襲来
「これまで世界各地で発生したM9クラスの巨大地震は、翌日から数年以内に周辺の火山噴火を誘発しているのです」 こう指摘するのは、地震学が専門の武蔵野学院大特任教授・島村英紀氏である。 海外に目を向けると、1952年のカムチャツカ地震(M9)、'60年のチリ地震(M9.5)、'64年のアラスカ地震(M9.2)、2004年のスマトラ島沖地震(M9.1)では、近隣の火山が例外なく噴火している。やはり巨大地震と火山噴火は関連があるのか。日本では東日本大震災から6年が経ち、島村氏も「富士山の噴火の可能性も捨てきれません。引き続き警戒した方がいいと思います」と警鐘を鳴らしている。 富士山の最後の噴火は、江戸時代中期、1707年に起きた宝永大噴火。その直前には、推定M8.6〜9クラスとされる宝永地震が発生している。南海トラフ巨大地震だ。 「この時は、東海道沖を震源とする東海地震と紀伊半島など南海道沖を震源とする南海地震が同時に発生し、南海トラフのほぼ全域の断層が破壊されています。死者2万人以上、倒壊家屋6万戸、津波による流失家屋は2万戸に達したと推測され、記録に残る日本最大級の地震とも言われているのです」(サイエンスライター) 宝永地震が起きた10月28日の翌日の朝方、現在の静岡県富士宮市付近を震源とする強い地震が発生し、駿河、甲斐で強い揺れを感じたという記録が残っている。さらに11月10日頃からは富士山の山麓で地響きが始まり、12月16日に宝永大噴火が始まった。 当時、沼津市東熊堂にある大泉寺にいた僧・教悦は、『元禄大地震覚書』で、そもそも富士山の地響きは宝永地震の4年前に関東地方を襲った元禄地震(推定M7.9〜8.5)の後に始まったとも記している。 「いずれにせよ当時の記録を総合すれば、宝永地震の余震が続く中、富士山の山麓一帯ではM4からM5程度の地震が数十回起きた後に噴火。東斜面から高温の軽石が大量に麓へ降下し、家屋を焼いて田畑を埋め尽くしたという。夕暮れになると噴煙の中に火柱が見え稲妻も飛び交い、約2週間にわたり人々を脅かし続けたのです。噴煙は上空20キロにまで達し、火山灰は100キロ離れた江戸にまで達したといいます」(同) 富士山は、歴史上分かっているだけで12回以上の大噴火を起こしている。では、宝永大噴火の前の貞観噴火の際はどうだったのか。時は平安時代初期の864年にまでさかのぼる。 「貞観大噴火では、溶岩が北西麓の一帯を埋め尽くした。そこへ木々が覆い茂り森林地帯として再生したのが青木ヶ原樹海です。宝永大噴火とともに、文献に残る富士山の噴火で最大規模とも言われています」(同) 貞観大噴火の記録は、朝廷が編纂した歴史書『日本三代実録』に収められており、専門家の間では信頼すべき唯一の資料だという。それによれば、7月2日、駿河国から朝廷に「十数日前から富士山が噴火しており、流出した溶岩流が本栖湖に流入した」という第一報が届いている。次いで8月下旬には第二報が甲斐国から京都にもたらされた。 「溶岩流は北西の富士五湖の本栖湖と、当時、北麓にあった広大な“せの海”という湖に流入し、民家が溶岩流の下敷きとなったばかりか、別の溶岩の流れは河口湖方面へ向かったという。現在の西湖と精進湖は、溶岩が流れ込んだせの海の名残なのです。また、この甲斐国からの報告には、湖への溶岩流入前に大きな地震があったことも書かれています」(地元記者) 宝永大噴火と同じく、この貞観大噴火についても巨大地震との関連性が指摘されている。 「貞観大噴火の5年後の869年には、M8.3以上と言われる貞観地震が起きている。しかも震源は三陸沖で、津波により東北地方は甚大な被害を受けたとされ、東日本大震災はこの地震の再来だったとまで言われている。そもそも、この時期は地震と噴火が繰り返し発生しており、現在と状況が似ているとする専門家もいるのです」(前出・サイエンスライター) 順に追えば、貞観大噴火、貞観地震の4年後の868年に、兵庫県近辺を震源とした播磨国地震(推定M7.0以上)、878年に相模トラフを震源としたとされ関東地方に被害を出した相模・武蔵地震(推定M7.4)、887年には諸説あるが南海トラフ巨大地震の見方が強い仁和地震(推定M8.0〜8.5)、その後、900年代に入ると青森県と秋田県にまたがる十和田火山(十和田湖=カルデラ湖)が大噴火を起こしている。 「さらに貞観地震の6年前に現在の富山県から新潟県にかけても大地震が、同時期に鳥取県付近でも地震が起きている。現在に置き換えれば'04年の新潟中越地震、'00年の鳥取県西部地震や昨年の中部地震、播磨国地震は阪神淡路大震災となる。となれば、まだ起きていない巨大地震は関東近辺、そして南海トラフを震源としたもの。連鎖という見方をすれば、東日本大震災から富士山噴火、そして関東直下や南海トラフ巨大地震への流れも考えられるのです」(同) 話を宝永大噴火に戻せば、現代に起きたとしても被害は甚大だ。 「東京都内では数センチ、横浜あたりでも十数センチの火山灰が降り積もると予想されています。東海道新幹線は降灰により運行ができない。東名高速の御殿場付近では1メートル以上の火山礫が堆積するとされ、完全に寸断されてしまいます」(同) 首都高速も数センチの火山灰で覆われ、使えなくなる見込みだ。もちろん、大気中に舞う火山灰で飛行機も運航が不可能となる。 「飛行機は構造上、火山灰にめっぽう弱い。エンジンの燃焼室に吸い込まれると溶けてタービンの羽根などに付着して固まったり、冷却孔が塞がれることで、エンジンが故障してしまうからです。操縦席の窓ガラスには傷がつき、視界も塞がれてしまう。実際に海外では、機体が大気中の火山灰を吸い込みエンジンが停止するケースが起きているのです」(航空雑誌編集者) 最近の例では、2010年4月、アイスランドにあるエイヤフィヤトラヨークトル山の噴火で、欧州の約30カ国の空港が閉鎖となり、1週間にわたって10万便もの航空機が運休した。 「富士山の噴火でもしばらくは完全ストップとなるでしょう。宝永大噴火の上空20キロまで吹き上げた噴煙を考えれば、富士山から相当離れた場所でも運航ができなくなる。そもそも、空港に火山灰がわずかでも溜まっていれば、離発着自体ができませんからね」(同) また、送電線に湿った火山灰が降り積もれば、その重みで送電線が断線することもあるという。そのため、広域で停電が起こる可能性さえある。加えて、飛行機のジェットエンジンと同じ構造のガスタービンを備えた火力発電所が東京湾沿岸に集中していることも問題だ。東京湾沿岸は、富士山が噴火した場合に大量の灰が降り注ぐとされ、稼働が困難と見られているのだ。 さらに噴火の被害で恐ろしいのが、火山灰そのものにより引き起こされる健康被害だ。 「火山灰はガラス質の物質を含みます。これを吸い込んで体調を崩す人の数も、数百万人単位になることが予測されている。目が傷ついたり、気管支や肺に入り込んで呼吸困難や気管支炎を発生させる恐れもあります」(健康ライター) 政府は、富士山の噴火による火山灰はわずか数センチ降り積もっただけでも水と混ざり合って泥状になり、滑りやすくなるため自動車などの移動は困難となると注意を喚起している。噴火後数日間は外出もままならなくなるだろう。しかも火山灰は積雪などよりも重量があり、建築物が押し潰される可能性さえもある。 「直接、噴火の被害を受けていなくても、体調を崩した場合に病院へ行くこともできず、交通状況が復旧するまで自宅などで待機するしかない。火山灰は大気中に数カ月間は滞留するため、長期間にわたり健康被害が出るとされています」(同) ちなみに宝永大噴火では、当時の江戸の町や相模、武蔵の国一帯に約7億立方メートル、東京ドームで約560杯分もの火山灰を降り積もらせたという。当時、江戸に住んでいた朱子学者の新井白石は『折たく柴の記』で、富士山大噴火により江戸市中に灰が降ったときの様子を次のように克明に記している。 「前夜の地震に続いて昼頃から雷鳴のような音が聞こえ、やがて雪のように白灰が降ってきた。降灰は午後8時頃やんだが、地鳴りと地震はそのまま。(旧暦の11月)25日からは黒灰が降り始め、空中に飛散する大量の火山灰で呼吸器の疾患を起こす人が続出した」 防災ジャーナリストの渡辺実氏が言う。 「かつての富士山大噴火では、それでも犠牲者が出なかったとされている。理由は、麓に人が住んでいなかったためです。しかし、現代のシミュレーションの中には溶岩流が東名高速を呑み込む恐ろしいものもある。宝永大噴火が起きた江戸時代とは比べものにならない被害が発生するでしょう」 渡辺氏は、「富士山の観測網には今のところ異常は出ていない」としながらも、今後、噴火の可能性についてこう語る。 「富士山の噴火は首都直下地震の後か、南海トラフの後という説が有力ですが、東日本大震災であれだけ地殻が東へ引っ張られ、火山が活性化しただけに、今であっても不思議ではないのです」 加えて島村氏は、巨大地震の危険をこう指摘している。 「貞観時代と現代が同じような地震活動期だと言われるが、それに関しては、さらに学問的な検証が必要です。しかし双方、地下の基盤岩が動き、地震が起こりやすい状態にあることは間違いない。江戸時代の18世紀から19世紀にかけても地震が頻発していましたが、20世紀は比較的少なく、それが当たり前の状態となっていた。しかし、東日本大震災によって、地震が頻発する時代に戻ったと思われます」 大噴火と連鎖して起きた際は、過去とは違った想像を絶する被害が待ち受けているかもしれない。
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社会 2017年06月29日 17時00分
藤井総太四段が“飛び級” 「竜王戦」挑戦権獲得で一気に“14歳七段”の誕生へ
昨年、14歳2カ月で史上最年少プロとなった将棋界の天才・藤井聡太四段は初戦、加藤一二三九段(77)との対局を皮切りにして、現在29連勝で新記録を樹立し、連勝はどこまで伸びるか、いま日本中が注目している。このまま勝ち進んでいくと、8大タイトル戦「竜王戦」(優勝賞金4,320万円)の挑戦者になる可能性がある。渡辺明竜王との決戦に勝利すると、史上最年少のタイトルホルダー誕生となるのだ。 さて、一般には知られていないが、もし藤井四段が「竜王戦」の挑戦者になると、その時点で四段から七段に一気に昇格する。前代未聞“14歳七段”の誕生というわけだ。さらに、竜王のタイトルを獲れば八段の段位を獲得する。通常は1年に一回の昇段だから藤井四段は次に上がれるのは五段ということなのだが…全てにおいて規格外だ。 藤井四段は3月、非公式戦ながら、棋界トップに君臨する羽生善治三冠(46)を破る白星を挙げて注目を集めた。連勝のかかった公式戦ともなれば50人以上の報道陣と10台以上のテレビカメラが入り、彼の一挙手一投足が報道され、本人が食べた昼食のメニューまで報じられる始末だ。 「中学生でプロ入りを果たしたのは、加藤一二三、谷川浩司、羽生善治、渡辺明の4人ですが、いずれも後にタイトルを取っている。世間の注目も高く、騒ぐなという方が無理ですよ」(ワイドショースタッフ) 将棋会館には、毎日のように藤井四段への取材の申し込みが殺到しているのだが、それを陰ながら支えてきたのが、藤井四段の母親だ。 「プロになったとはいえ、彼はまだ中学3年生です。将棋の練習に加え、学校の勉強もある。取材で時間が削られるのを少しでも減らそうと、息子のために盾となり取材に応対してきたんです」(同) ところが6月に入り、母親がマスコミへの露出を突如、控えるようになったという。原因は過熱する藤井ブーム。「連勝を重ね、藤井四段に対する世間の注目度が高まり過ぎた」とは、将棋連盟関係者。 「公式グッズとして2000円以上する彼の扇子が売り出されるや、わずか30分で売り切れ。彼が対局日に食べた関西将棋会館近くの定食屋のメニューすら、同じものを食べに来る客でごった返しています。お母さんの発言も影響力が強く、彼が将棋を始めるきっかけになったという、お婆ちゃんがプレゼントした『スタディ将棋』もバカ売れして品薄状態ですし、4歳のときに父親が買い与えたという『キュボロ』という知育玩具も売れに売れている。もはやお母さんの発言力は芸能人以上です。でも、お母さんはあくまで愛知県で普通に暮らす一般人。自分の発言一つで日本市場が動き出す状況に戸惑った。何より、騒がれ過ぎて息子の対局に影響が出てしまうことを心配して、取材を控えるようになったのでしょう」(将棋連盟関係者) とはいえ、藤井四段の実力は本物で、多くの棋士たちが彼を“天才”と言う。実力は今後も伸びることが予想されており、母にとっては嬉しくも悩ましい日々がまだまだ続きそうだ。 通常、棋士の対局は平日に行われるが、藤井四段の対局については「土日中心にする」と将棋連盟の佐藤康光会長が語った。「羽生七冠」以来、突然に降って沸いた藤井フィーバーに連盟もメディア対応に苦慮しているようだ。
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社会 2017年06月29日 14時00分
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第227回 デフレ型経済成長
6月8日、内閣府から2017年1〜3月期の国民経済計算(改定値)が発表になった。◆実質GDP 対前期比プラス0.3%◆名目GDP 対前期比マイナス0.3%◆GDPデフレータ 対前期比マイナス0.5% 名目GDPとGDPデフレータが共に縮小する中、実質GDP(経済成長率)のみがプラス化した。一体、どういうことなのか。 国民はモノやサービスを「生産」するために働き、顧客に消費、投資として「支出」をしてもらうことで「所得」を得る。所得創出のプロセスにおいて、生産、支出、所得の三つは、必ずイコールになる。 そして、国内の「生産」の合計こそがGDP(国内総生産)だ。とはいえ、生産=支出=所得になるため、GDPとは実は国内の生産の合計であり、支出(あるいは需要)の合計であり、同時に所得の合計でもあるのだ。GDPが増えている国は「所得が増えている」というわけで、豊かになっていると判断して構わない。 生産面のGDP、支出面のGDP、分配(所得)面のGDP。三つの面から見たGDPは、すべて総額が同じになる。これを、GDP三面等価の原則と呼ぶ。 GDPは優れた統計だが、厄介な問題をいくつも抱えている。 まずは、金額で見た需要としてのGDP、つまりは名目GDPだ。名目GDPは金額で見るため、物価の影響を露骨に受ける。 例えば、筆者が講演というサービスを生産していると考える。筆者の講演料が1回当たり100万円(筆者の講演料は、実際にはそこまで高くないが)とする。1年間に10回、講演をした場合、1年間の筆者の講演サービスの「生産」、筆者の講演に対する「需要」、そして筆者が講演で稼いだ「所得」は、すべて1000万円となる。結果、日本の名目GDPが1000万円増えた。 この状況から、筆者の講演料が1回110万円に上昇した。講演回数は、以前と同じく年に10回。この場合、筆者の「生産」「需要」「所得」はすべて1100万円に増大するのである。名目GDP10%成長だ。 とはいえ、別に筆者の講演「サービスの生産量」が増えたわけではない。単に、講演料が値上がりしただけだ。すなわち、物価上昇である。 名目GDPは、実質の生産量が一定(もしくはマイナス)であったとしても、物価が上昇する「だけ」で拡大するのだ。というわけで、物価を定点観測し、得られた物価指数(=GDPデフレータ)で名目GDPを割ることで、実質GDPを「計算」する。○実質GDP=名目GDP÷GDPデフレータ 分かりやすく書くと、名目GDPの動きから物価変動の影響を除いたものが、実質GDPの成長率、すなわち経済成長率になるのである。 さて、実は実質GDPにしても深刻な問題を抱えている。例えば、名目GDP(需要)が縮小するデフレ期に、名目GDPの「縮小率」をGDPデフレータの「下落率」が上回るとどうなるか。何と、実質GDPがプラスで「計算」されてしまうのである。 名目GDPが低迷するデフレ期に、GDPデフレータという物価指数が大きく下落すると、需要が縮小しているにもかかわらず、経済成長しているという意味不明な状況に至るのだ。 名付けて、デフレ型経済成長である。 先の例で言えば、講演料100万円、講演回数が年10回、名目GDP1000万円の状況から、講演料が90万円に値下がりした。それに対し、講演回数は年11回に増えた。すると、筆者の所得=名目GDPは990万円になる。 講演回数が増えたということは、筆者は「以前よりも働いている」という話になる。講演サービスの「生産量」が1割増えたわけだから、実質GDPは10%成長だ。それにもかかわらず、年間に講演で稼ぐ所得は10万円減ってしまうのである。まさに、徒労だ。 この「徒労感」にあふれるデフレ型経済成長に、現在の日本は落ち込んでいる。 冒頭の通り、現在の日本は名目GDP成長率、GDPデフレータ成長率が共にマイナスに落ち込んでいる。ところが、物価下落率が名目GDPの縮小率を上回ってしまったため、実質GDPがプラス化してしまったのだ。 名目GDPという「需要」の縮小も、物価の下落も、共に「デフレーション」特有の現象だ。日本はデフレに陥っているにもかかわらず、物価下落率が需要縮小率を上回り、「経済成長して見える」という状況に至った。すなわち、デフレ型経済成長である。 四半期別の日本のGDPデフレータ「前年同期比」をグラフ化してみた。 2014年4〜6月期、消費税増税で物価が強引に引き上げられ、GDPデフレータは上昇した。一時的に物価上昇率が、対前年同期比3%を上回ったのだ。 とはいえ、その後は次第に上昇幅を縮め、'16年7〜9月期以降はマイナスに転じてしまう。消費税増税が物価あるいは「デフレ」に与える影響は、継続することが分かる。 現在、日本国民は継続的に消費「量」を減らしている状況にある。消費税が増税され、実質賃金が低下した以上、当たり前だ。2017年4月まで、日本国民は(うるう年の影響を除くと)何と20カ月連続で、実質消費を減らしているのだ。 国民が消費「量」を減らし続けている以上、日本国内の物価が上昇するはずがない。日本が消費税増税により「再デフレ化」したのは明らかだ。 ところが、デフレ型経済成長は、曲がりなりにも実質GDPが増えている(ように見える)ため、政治家や国民が「経済は好調だ」と勘違いし、肝心要のデフレ対策が打たれなくなる可能性が高い。 日本経済は、再デフレ化した。政府は「5期連続プラス成長」などとやっている場合ではないのである。みつはし たかあき(経済評論家・作家)1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。
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社会 2017年06月29日 10時00分
北朝鮮ミサイル開発資金潤沢の理由は海外40カ国に散らばる“北の働きアリ”にあった
北朝鮮は長年、「やがて体制が崩壊する」と言われ続けてきた。韓国は「敵(北)はやがて崩壊する」と主張しているが、北朝鮮もまったく同じ。「資本主義の韓国では貧しい民衆の権利は守られず、迫害された大衆はやがて革命を成功させ、我々に合流するであろう」と喧伝している。いま、外国資本に頼りっきりの韓国の経済は崩壊へと向かいつつある。今年の年末からは“脱北”ならぬ“脱南”もささやかれ始めているのだ。 「中国当局は非公式ながら国内企業の一部に対し、北朝鮮労働者の雇用を停止するよう指示を出した模様です。北の出稼ぎ労働者は中国において、核・ミサイル開発に向けた外貨獲得手段の一つになっていました」(北朝鮮ウオッチャー) 国連安全保障理事会の北朝鮮制裁委員会が6月の初めに「4月の北の対中国石炭輸出量はゼロになった」と発表したが、金正恩朝鮮労働党委員長はまったくこたれていない。というのも、海外で働く北朝鮮の労働者は中国以外にも40カ国、10万人にも上ると言われ、年に約2億5000ドルをせっせと納めてくれるからだ。 「北朝鮮は在外大使館を通じてのビジネスが規制され、ドイツでは厳しい措置が取られましたが、規制の弱いキューバやロシア、イラン、さらにはパキスタン、バングラデシュ、ラオスに拠点を移しています。米国は高麗航空(北朝鮮の国営航空会社)利用のボイコットを呼び掛けましたが、依然として中国やロシアに飛んでおり、中国人の北朝鮮への観光旅行も衰えていません。また、肝心要の銀行取引の制裁については、北朝鮮は外国にあるダミー会社を使って制裁を回避しており、中国の仲介者を通じて受・送金を行っているのが実態なのです」(同) このようにして得た外貨が北朝鮮経済を下支えしているとともに、巨額の資金を要する核・ミサイル開発に使用されていることは間違いない。加えて国内経済は、総合私設市場=闇市(チャンマダン)で蓄財した新興の“銭主”の登場により決して悪くはない。 「4月13日、金正恩委員長が“経済制裁など利いていない”とあざ笑うように『黎明通り』にそびえ立つ超高層マンション竣工式のテープカットを行いましたが、ここには銭主資本が投入されています。平壌市内などの新築高級マンションの3分の2は銭主と組んだ中国資本の所有と言われます」(在日中国人ジャーナリスト) 最初に“銭主”となったのは日本に親戚がいる帰国者だったが、その後、外国から合法的に物資を調達できる立場にあり、流通手段を手にしている貿易機関の幹部、許認可権を有する政府部門の幹部らが新たに加わった。 とはいえ、これら“資本主義者”の隆盛は正恩政権にとって両刃の剣だ。日本からも「遊戯関連企業」等から北へ資金が流れていることは周知のこと。各国に沢山の“北の働きアリ”がいる限り北朝鮮は資金に困ることはないということだ。
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