記者会見によると、新井が引退の意向を球団に伝えたのは8月初旬。球団側からは「1か月間考え直してくれ」と慰留されたものの、その考えが変わることは無かったという。また、その理由について新井は「今若手がすごく力をつけてきてますし、これからの2年後、3年後、5年後のカープのことを考えた時に、今年がいいんじゃないかなという風に考えました」と説明している。
会見終盤には「最後日本一になって、みんなと嬉し涙で終われれば最高だなと思いますね。また、自分もなんとか力になれるように、最後の最後まで全力で頑張りたいと思います」と笑顔で語ってもいる新井。20年に及んだプロ生活の有終の美を飾ることができるのか、今後はその一挙手一投足がチーム共々注目を集めることは間違いない。
ところで、NPB公式サイトによると、新井は現時点で出場試合・打席・打数・安打・打点・犠飛・三振・併殺打の8部門で現役最高記録を保持している。そのどれもが、新井の息の長さを証明する“勲章”だ。
一方、中には歴代記録と比較するとそのすごさが一層際立つ記録もある。それが併殺打だ。新井の併殺打数「242本」は歴代6位の記録だが、トップ10には歴代1位の野村克也(378本)を筆頭に、衣笠祥雄(267本)、大杉勝男(266本)、長嶋茂雄(257本)、中村紀洋(257本)、落合博満(236本)、谷繁元信(236本)、土井正博(235本)、山崎武司(230本)といった稀代の強打者たちが新井と共にランクインしているのだ。
多くのファンに惜しまれつつ、現役引退へのカウントダウンをスタートさせた新井。その彼が球界屈指の強打者であったということは、このランキングでもしっかり証明されているといえるだろう。
文 / 柴田雅人