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2013年・日本人メジャーリーガーはどうなる? 黒田博樹(ニューヨーク・ヤンキース)

 メジャーリーグには、日本の野球メディアが使わないデータ数式も定着している。その1つである『ランサポート』(以下=RS)によれば、黒田博樹は昨季、20勝に到達していたことになる。

 RSとはその投手が登板した際、味方打線の挙げた平均得点を表すもので、黒田は4.30(点)。メジャー平均は4.45(点)だったので、援護射撃に恵まれていなかったかが分かる。また、昨季喫した11敗のうち、自責点4以下の試合は9。あくまでも数字上だが、「20勝に到達していた」と言われるのはそのためだ。
 今季の黒田が、ヤンキースはエースとして扱うだろう。ヤンキースの看板投手、CCサバシアは6月にDL(故障者リスト)入りの屈辱を味わった。当時の報道によれば、「DL入りは6年ぶり」とのこと。そのタフネスぶりから「ラバーアーム=ゴムマリのような丈夫な腕」とも称されたが、昨季は2度DL入りしている。しかし、ヤンキース首脳陣は、2016年まである契約を全うして欲しいと思っているのだろう。「13年は、サバシアが投げるときは球数が多くならないように注意していきたい」なるコメントも聞かれるようになった。ヤンキースが黒田残留を最優先事項に挙げたのもサバシアの衰えが隠しきれなくなってきたからである。

 昨年の成績を改めて見てみると、防御率、登板数、クオリティ・スタート(=QS)、WHIP、イニング数、勝利数がチームトップ。名実ともに、「ヤンキース投手陣の顔」である。米報道によれば、黒田の最大の武器はスライダー。右バッターの外角ギリギリのストライク・ゾーンから鋭角に曲がっていく軌道は「一流」とあったが、黒田はこの鋭角に曲がるスライダーを右バッターのインコースや、左バッターの膝元にも使う。とくに右バッターのインコースに投げるときが興味深い。対戦打者は自分の体近くに来た「ボール球」だと思って避けるが、鋭角な曲がり方でストライク・ゾーンに入っていく。決め球のシンカー、フォークボールは対戦バッターに応じて使い分けているため、相手打線は狙い球を絞りきれないという。

 「キャンプ、オープン戦はスロー調整です。今季38歳になる年齢からして、マイペース調整が許されるのは当然ですが、不安材料を挙げるとすれば、オープン戦終盤に入っても、ストレートの速度が戻っていないことですね」(米国人ライター)
 ヤンキースは黒田との残留交渉において、複数年契約を提示。毎年のように言われているが、1年契約にこだわるのはやはり広島カープへの帰還が念頭にあるからか…。昨季は、メジャー移籍後最高となる16勝を挙げた。2ケタ勝利を収めれば、ヤンキースはシーズン途中から残留交渉を始めるだろう。

※メジャーリーガーのカタカナ表記は『週刊ベースボール増刊 Major LEAGUE 12年3/20号』(ベースボールマガジン社)を参考にいたしました。

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