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優勝への第一関門 なぜ、広島カープは『交流戦』に弱いのか!?(後編)

 リーグ首位の陥落から3日目の6月11日、広島東洋カープは埼玉西武ライオンズとの一戦を雨で流した。同日、ライバル巨人が北海道日本ハムファイターズとの延長戦を征したため、ゲーム差は『2』まで広がった。
 「雨天中止となった同日の西武戦は13日に組み込まれることとなりました。したがって、広島は12日から変則の4連戦を戦うことになります。野手も堂林、廣瀬、キラ、松山を故障や不振で欠いています」(NPB関係者)
 先発投手陣は本調子ではない。そのうえ、エース・前田健太は脇腹痛で登板を回避することが決まっており、セットアッパー・一岡竜司の右肩痛で戦線を離脱している。この変則連戦は、故障者続出の広島にとってさらに苦しいものとなりそうだ(同時点)。

 過去9年間の交流戦の対戦成績は、以下の通り−−。
対北海道日本ハム 14勝25敗1分け
対千葉ロッテ 15勝20敗4分け
対オリックス 15勝24敗1分け
対東北楽天 19勝21敗
対ソフトバンク 12勝25敗3分け
対埼玉西武 21勝17敗2分け

 広島がトータル成績で勝ち越しているのは、埼玉西武だけだ。もっとも、近年の埼玉西武は前半戦で躓き、ペナントレース終盤で猛チャージを掛ける戦い方が続いている。主力選手の故障、不振など理由はさまざまだが、西武も本調子で交流戦を戦っていない。

 広島のチーム打率は2割5分5厘で、リーグ5位(6月16日時点)。本塁打71はリーグトップだが、三振472もリーグワーストだ。エルドレッド、キラ、ロサリオの外国人勢がここまで順調に長打を量産した結果であり、「本塁打=強振」と捉えれば、三振が多くなるのも当然だろう。興味深いのは『四球数』。広島打線がここまで選んだ四球の数は、185。この数値はリーグ5位である。その影響だろう。四球を選ぶバッターが少なくなった、あるいは、そういった機会が少なくなったため、出塁率も3割2分1厘と低くなった(同5位)。三振の多さと、四球が少なさ−−。近年のパ・リーグには、好投手も多く出現した。ダルビッシュ、田中将大、金子千尋、攝津正、岸孝之、涌井秀章…。彼らは変化球の持ち球も多く、対戦バッターに応じてウイニングショットを変えることもできる。かつ、ストレートも速い方である。「四球が少ない」ということは、ジックリと対戦投手のボールを見極める攻撃機会が少ないわけだ。かつての広島打線は機動力(高出塁率)で『1点』をコツコツと積み上げる攻撃スタイルだったが…。

 もちろん、現・広島打線は機動力野球の看板を下ろしたわけではなく、単独スチールのできる俊足選手も多い。だが、出塁率が低いために、『パ・リーグの好投手対打線』には発展させられず、『対バッター』のまま戦っているのではないだろうか。

 パ・リーグ出身のプロ野球解説者がこんな指摘をしていた。
 「パはストレートの速い投手が多く、セは変化球投手が多い印象がある。パ・リーグのバッターはセの名高い投手に苦手意識がないのは、そのためだと思います。でも、『マエケンだけは…』と話すパ打者も少なくありません。もし、大瀬良が本調子のまま交流戦に突入していたら、同じ印象を抱いたと思います」
 広島のエース・前田健太、大瀬良大地は、変化球でストライク・カウントを稼ぎ、力強いストレートも投げられる。打線の出塁率が高まれば、広島は交流戦の戦況を一変させることも可能だと思うが…。

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