独走状態での優勝も予想されていた巨人が勢いに乗り切れない理由は、リリーフ陣の不振だ。そう考えると、リリーフ投手の好不調がチームの命運を決めると言っても過言ではない。
(チーム防御率)(救援陣の防御率)
広島 3.49 3.20
巨人 3.78 4.42
阪神 4.28 4.55
中日 4.39 4.72
DeNA 4.90 3.86
ヤクルト 4.95 5.80
※5月11日時点
巨人は是が非でも『救援投手』を補強したいのではないだろうか。球団創設80周年のメモリアルイヤーを優勝、日本一で飾りたいはずだが、昨季球団史上最多セーブを挙げた西村健太朗、山口鉄也が揃って不振。久保裕也が帰って来たが、彼らは常に走者を背負う“綱渡り継投”である。
「どの球団も力のあるリリーバーは(トレードに)出しません。シーズン中に補強するとしたら、外国人投手を探した方が現実的です」(プロ野球解説者)
しかし、今年は違う。実績のあるクローザーの放出もあり得る状況だという。それは、北海道日本ハムファイターズの武田久(35)のことだ。
武田久は開幕から調子が上がらず、二軍降格も経験した。他球団がざわめいたのは、再昇格後の冷遇だった。クローザーとして一時代を築いた功労者だが、栗山英樹監督が通告したのは『中継ぎ降格』。栗山監督は「考え抜いた末…」「いちばん難しい場面を投げてもらう」と、武田久のプライドに配慮した言い方で『配置換え』の理由を説明していたが、こんな声も聞かれた。
「日本ハムは高額年俸のベテランに冷たい。ベテランからすれば、自分から出て行くか、肩たたきに合うかの2つに1つ。鶴岡はFA権を行使して他球団に働き場を求め(現ソフトバンク)、チームに残留しても、中田翔のコンバートでレギュラーの座を剥奪された小谷野のようなベテランもいます」(関係者)
武田久に代わってクローザーに収まったのは、5年目の増井浩俊(29)。栗山監督の誠意は伝わったが、通算200セーブも見えてきただけに、「セットアッパーよりもクローザーで」の思いも強いのではないだろうか。
前出の関係者がこう続ける。
「星野監督が楽天の指揮官に就任した2010年オフ、武田久のトレードを画策したと聞いています。国内FA権を獲得した12年も、当時、藤川の米挑戦でクローザー不在となった阪神も調査していました」
12年オフ、日本ハムは2年契約(推定年俸2億4000万円)を提示し、武田久を引き止めた。今季はその“高額・複数年契約”の最終年でもある。二軍降格も経験したので減俸査定は必至。まして、クローザーのポジションまで奪われたのだから、武田久が身の振り方を考えたとしても決しておかしくはない。
セ6球団は、「武田久はまだまだやれる」と見ているそうだ。前出のプロ野球解説者がこう言う。
「仮に日本ハムがシーズン途中のトレードを申し込まれたとしても、決して無下な断り方はしないと思いますよ」
武田久に注目だ。