<春季リーグが開幕し、1回戦2試合が行われた。早大・有原航平投手(4年)が三塁を踏ませずに4安打完封で、法大・石田健大投手(4年)を−省略−この日は神宮のネット裏には国内12球団に加え、ヤンキース、ドジャースなどメジャー4球団が視察。日米双方からの熱い注目にも…>(4月13日付/スポーツニッポン紙より)
両投手の活躍に頭を抱えているのが、広島東洋カープだ。有原は広島県・広陵高校の出身で、石田は広島工から法大に進んだ。地元出身の好投手は是が非でもほしいところ。まして、今オフはエース・前田健太のメジャー挑戦が確実視されており、今秋の1位指名投手は大瀬良大地と同じく、『ポスト前田』の意味合いも強い。
「今年は大学生、高校生の両方に逸材が多く、『豊作』と呼ばれています。有原、石田の競合は避けられませんが、たとえ抽選クジを外したとしても、有望選手はまだたくさん残っている。多くの球団が有原、石田の指名競合に参加するでしょう」(在京球団スカウト)
当然、広島も両投手に熱い視線を送ってきたが、巨人も不穏な動きを見せ始めたという。
12球団スカウトは他球団の指名選手も予想しながら、自軍の最終的な1位指名選手を決める。「昨年、広島は大瀬良(右投手)の指名に成功した。左投手の石田が本命ではないか」−−。こうした“読み”に、巨人の戦況が重なったのだ。巨人はエース左腕・内海哲也が10戦目の登板でやっと今季初勝利をおさめた。杉内俊哉もピリッとせず、左の先発投手の補強は急務である。
「有原、石田は甲乙付け難い。強いて言えば、有原に『エースの風格』を感じているスカウトも多い」(前出・同)
まだ結論は出せないが、巨人の1位指名の本命を有原と見るライバル球団も多かった。しかし、内海、杉内の不振を受け、「優先順位を有原から石田に変えた」とも見られている。
広島にすれば、地元出身の好投手を他球団にはやりたくない。また、高校生では広島新庄高校の左腕・山岡就也も高く評価されており、
「下半身がまだ細い。でも、それはまだまだ伸びしろがたくさんあるということ」
と、カープスカウト陣を揺さぶるような声も多く聞かれた。
「巨人は山岡の一学年先輩の田口麗人投手を昨秋指名しています。同校から2年連続でエース投手を指名することも十分考えられる」(前出・同)
有原か、石田かそれとも、地元高校生の山岡を獲って育てるか…。
広島と巨人の首位攻防戦は、ドラフト戦線にも影響を与えている。