警視庁組織犯罪対策1課は2月20日までに、韓国人に在留資格を取得させるために偽装結婚をしたとして、公正証書原本不実記載・同行使容疑で、大相撲元関脇・琴富士容疑者(49=本名・小林孝也=千葉県千葉市花見川区幕張町)と、韓国籍の飲食店従業員の女(29=東京都墨田区東向島)を逮捕した。
逮捕容疑は、昨年2月6日、韓国人女の在留資格を得る目的で、結婚する意思がないのに、台東区役所に婚姻届を提出し、千葉市美浜区役所で琴富士容疑者の戸籍原本に、虚偽の記載をさせたとしている。
同課によると、琴富士容疑者は「本当の結婚で、いずれ一緒に暮らすつもりだった」と容疑を否認しているが、女は「永住者資格を取るためだった」と認めているという。
女は別の日本人男性と同居しており、琴富士容疑者との結婚生活の実態はなく、謝礼として計125万円を支払っていた。
琴富士容疑者は80年春場所で初土俵を踏み、86年九州場所で新十両、88年秋場所で新入幕を果たした。90年名古屋場所では最高位の関脇に昇進。91年名古屋場所では、平幕で幕内優勝を遂げている。
それ以降、関脇に復帰はできず、94年九州場所で十両陥落。95年秋場所を最後に引退し、年寄・粂川を襲名して、佐渡ヶ嶽部屋で後進の指導にあたっていたが、99年7月に退職。一時はタレントとしても活動していたが、現在は野球賭博問題で角界を追われた元関脇・貴闘力(先代大嶽親方=本名・鎌苅忠茂)が経営する焼き肉店「貴闘力」海浜幕張店(千葉市美浜区ひび野)の店長を務めていた。
琴富士容疑者と琴光喜は、ともに佐渡ヶ嶽部屋OBで、幕内最高優勝経験者。大相撲の歴史に、大きくその名を刻んだ元力士が、角界を離れてから警察の世話になるのは寂しいことだ。
(落合一郎)
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