これまでお笑いの賞レースと言えば、「漫才の王=M-1グランプリ(テレビ朝日系)」「コントの王=キングオブコント(TBS系)」「ピンの王=R-1ぐらんぷり(フジテレビ系)」「女芸人の王=THE W(日本テレビ系)」だったが、同番組はこれらと同様に、“ロケ王”を決定するという企画。熱海を舞台にそれぞれの芸人コンビがロケを行い、その模様をスタジオにいる千鳥・ノブ、大悟、宮川大輔、堂本剛が見届け、面白さを審査するというものだった。
かまいたちは、シンプルかつ巧みな手法でロケならではの面白さを引き出していた。街歩きをしながら談笑する2人を捉えるカメラ。すると、濱家が立ち止まりお店を紹介し始めてカットが1人になる。ひとしきり説明し終えると、カメラが戻り、山内が私服から“バドガール”や“スパイダーマン”に様変わりしているといった展開だった。ホラを吹くカラオケスナックの店主や、なぜかヘルメットを被ってその店主の帰りを待つ年配女性など、個性豊かな地元民たちともうまく絡んでスタジオの笑いを誘っていた。
三四郎は、水着女性3人へのナンパを敢行。これに成功し、見晴らしの良いロケーションで軽妙なやり取りを見せる。露天風呂でシャンパンを飲むバカンスのようなシチュエーションの中、相田が「おっぱいどのくらいすか?」と尋ねて女性から「下品!」とツッコミを受けたり、小宮が「思い切って言うけど…突先(乳首)見てぇなぁ」と発言するなど、お色気深夜番組のような展開で見る者を楽しませた。
銀シャリは、体当たりのウォーターアクティビティを披露し、食レポで通行人とトークして笑いを誘うなど安心感のあるロケを展開。温泉を引いている屋根工事を営むお店を尋ね、店主から鰻がお風呂に入る許可を得ると、橋本が「これが天井知らずの優しさ」と“らしい”発言。苦笑いの店主をよそに自宅へと潜入する流れになった。鰻はあえて風呂には浸からず、洗い場に寝そべり蛇口から出るお湯を楽しむというボケに出てスタジオを沸かせていた。
ダイアンは、自分たちで釣った魚を調理してもらい食レポでボケるなど、定番ながらオール夜間という条件のロケを敢行。“フォーマルなジャケットを着て釣りをする”といったシュールさを織り交ぜつつ、温泉が熱すぎて2人ともお湯に浸かれなかったり、西澤が津田にお尻を見せ「ケツ毛がすごい!」と悶絶させるなど“ダチョウ倶楽部のコント”のような手法で笑いを起こしていた。
最終的に優勝したコンビはかまいたち。しかし、それぞれの芸人コンビが違った特色でロケの楽しさを引き出しており、新鮮な面白さを感じる内容だった。
ネット上では「かまいたちのロケ慣れ半端ないな」「濱家と絡むスナックのマスター面白い」「ダイアンかわいそう 昼ロケならもっとおもろいはず」「銀シャリぐらいの感じが見てて一番楽しい」「風呂入らないのは鰻っぽいな」「三四郎の入浴は良くやった 久々にバブルな感じ」「露天風呂で相田がオラついてくれたらもっと面白かった」など盛り上がりを見せていた。
また、番組全体に対する声として、「フジとしては意外な当たり番組」「普通に2時間特番とかで見たかった」「ゆるくて久々に面白い番組見た」といった意見もあった。
同番組は、もともと昨年からフジテレビが行っている公開イベント形式の「企画プレゼン大会」で銀賞を獲った企画。昨年、チャンピオンに輝いた『超逆境クイズバトル!!99人の壁』が放送されて好評を博し、今月15日に第3弾が放送されたことでも話題となった。
フジテレビは、2011年の夏に抗議デモが2回続けて起きるなど、番組作りに対する保守的な姿勢にバッシングが浴びせられる時期もあった。しかし、それから約7年の時を経て、徐々に新陳代謝が起こっているのかもしれない。ぜひこの成功を受けて、同番組の第2弾にも期待したいところだ。