「目標はグループリーグを突破すること」。そう消極的に語った指揮官の言葉は、人選を物語っているようだった。
反町康治監督はこの日、北京代表の18選手を発表した。昨年、五輪のために帰化した李をはじめ伊カターニアでプレーする森本ら23歳以下だけのメンバーを選出。予選で出場権獲得に貢献した梅崎、唯一のアテネ五輪経験者で、ここのところ五輪代表から遠ざかっていた平山のサプライズ再招集はなかった。
あくまで指揮官は「サッカーに対する情熱、日の丸に対する誇りなど心技体のうち、心を一番重視した」布陣だと胸を張るが、結局のところOA枠も使わず、決定力不足とタレント不在の感は否めない顔ぶれ。まだ確定こそしていないものの、ブラジルですらロナウジーニョ、アルゼンチンもリケルメといったスター選手を呼び寄せる意向だけに、大久保嘉人や遠藤保仁を呼べなかった反町ジャパン。目標にグループリーグ突破としか言えないのも無理ない。
振り返ってみれば、とんだドタバタ選考劇だった。12日に遠藤がウイルス感染症で辞退したばかりか、当初得点力不足解消のため招へいに動いた大久保も、所属クラブのヴィッセル神戸の事情から、結局呼び寄せられずじまい。
しかも、大久保招集については隠密に話を進めていただけに、その誤算は大きかった。
某Jリーグ関係者がその舞台裏を明かす。「ソリさん(反町監督)は5月にあった強化委員会の段階から大久保をオーバーエージで招集することを考えていたようです。というのも、ソリさん自ら神戸の安達社長に電話で申し入れを行ったり、通常なら協会サイドがやるような仕事を1人で率先してやっていましたから。それなのに期待していた得点源の大久保が呼べなくなった。完全に計算が狂ってしまったんです」
まさしく“迷走人事”の末に結成された反町ジャパン。早くも「ぶっちゃけ、このメンバーでオランダやナイジェリア、そしてアメリカとガチンコで闘ってグループ通過できればお役御免」(前出関係者)との見方もあるが、果たしてどんな結末が待っているのか。本番では采配で迷走しないことを祈るばかりだ。