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育成出身・松本の首位打者争いでテレビ視聴率も回復!?

 昨年度のセ・リーグ新人王、松本哲也(25=巨人)が打撃成績の1位に躍り出た。4月11日時点で打率4割8分3厘は両リーグトップであり、盗塁王争いでも2位・福地寿樹(東京ヤクルト)を大きく突き放している。ほかにも松本が1位争いをしている打撃成績の各分野は、得点(1位=21)、安打(1位=28)、三塁打(1位=2)、塁打(1位=44)など。今さらではあるが、『育成選手』から這い上がった彼の努力に改めて敬意を贈る関係者は少なくない。

 昨年オフ、松本のトレーニング内容には賛否両論だった。
 「彼が課題に挙げたのは筋トレでした。パワーアップが目的とのことで、報道陣の『何故?』の質問に、ホームランが打ちたいと答えていましたので」(メディア関係者)
 専修大学時代、確かに松本は本塁打も放っている。東都リーグでは「一発のある俊足外野手」とも称されていたが、プロに進んでからの魅力と素質は「足」であり、パワーアップの必要性はないと思われていた。しかし、松本は筋トレにもかなりの時間を割いてきた。
 「長野(久義)の加入を悪い方向に捉えているのではないかと懸念するむきもありました。長野も俊足で、松本との違いは一発があるかないか。彼はホームランが打てないと外野のレギュラー争いに生き残れないと勘違いしているのではないか、と…」(同)
 従って、キャンプインの時点で、もっとも心配されていた選手が松本だった。

 「打撃練習でも、松本の打球はライナー性のものではなく、飛距離を出す飛球の方が多かったんです」(同)
 「松本が自分の打撃を見失い、長野が定位置を」−−。そう予想する声は他球団のスコアラー陣からも聞かれたが、筋トレによるパワーアップの目的は「ホームラン」ではなかったことが判明した。ライバルチームのスコアラーの1人がこう言う。
 「昨季までは外角球をチョコンと当て、遊撃手の頭を越えるヒットが多かった。『外角球しか打てない』という想定で、内角球や外角の落ちるボールで攻める対策を立てていましたが、今季は内角球を鋭く振り抜くパワーが習得している」
 パワーアップで、対戦チームの研究を上回り、「ホームラン狙い」の言葉に惑わされたマスコミ陣も脱帽である。

 巨人戦のテレビ図視聴率推移を見てみると、もっとも平均視聴率が高かったのは1983年の27.1%。結果論ではあるが、王政権、第2次長嶋政権よりも『第1次藤田政権』の平均視聴率がもっとも高い(ビデオリサーチ社調べ/関東地区参考)。この数値については、巨人内部でも分析を行っている。巨人が出した1つの仮説は、「83年に限らず、平均視聴率が高かった年度は松本匡史など、俊足バッターがいた」というもの。原辰徳、松井秀喜など中核打者が安定した成績残しているのが前提だが、「俊足バッターの活躍」に人気回復の活路を見出そうとしている。2007年・高校生ドラフトで走塁能力の高い藤村大介(熊本工)を1巡目指名し、翌08年の橋本到(4位/仙台育英)、昨年の長野1位指名も『走塁能力』が大きな決め手になったという。一発タイプのパワーヒッターをFAでかき集めた反省もあるのだろうが、“ホームランなしの首位打者”が出現すれば、プロ野球中継のテレビ視聴率にも回復の兆しが見えてくるかもしれない。(一部継承略)

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